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ファッション業界ウラ話

あなたの身近にも!?企業秘密の漏えい問題をファッション業界で考えてみる

先日自動車業界において「退社した社員が自動車の設計図に関わる情報を持ち出した」として、営業秘密の漏えいを理由に損害賠償が認められたことがニュースになりました。営業秘密の漏えいは、意外と身近な問題なのです。

では、ファッション業界では具体的にどのようなことが営業秘密にあたるのでしょう。そして、どんなことに気を付けなければいけないのでしょうか。今回はファッションと法律を考えるWEBサイト「FASHIONLAW.JP」メンバーである法務博士のニシムラミカさんと河瀬季さんのお二人に、法の専門家の立場から教えていただきました。もしかすると、あなたにも心当たりがあるかも……?

今回お話を聞かせてくれた方
FASHIONLAW.JP
執筆:法務博士 ニシムラミカさん
監修:河瀬季さん

企業の機密情報の漏えいを意図的に行うことは論外ですが、例えば、転職した後に、前の会社でお付き合いのあった取引先をうっかり使った場合などでも、営業秘密の漏えいと言われる可能性があります。「前の会社はどんな取引先とお付き合いがあったのか」という情報が「営業秘密」に該当する可能性があるからです。 

では、ファッション業界では具体的にどのようなことが「営業秘密」にあたるのか、考えていきましょう。

3個の条件を満たすと「営業秘密」になる

営業秘密は、不正競争防止法という法律によって保護されています。そして法律上、3個の条件を全て満たすものが「営業秘密」と決められています

1. 秘密性

「営業秘密」と認められるためには、それが実際に秘密として管理されていることが必要です。つまり、単に会社が「これは秘密の情報だ」と思っているだけではダメです。目安は2個あります。

  1. それが「営業秘密」だと見て分かるか。
    たとえば書類に部外秘と記載されていたり、金庫に保管されている場合は、見れば「営業秘密」だと分かります。
  2. その情報にアクセスできる者が制限されていること。
    社員以外の者はアクセスできなかったり、当該情報にアクセスした者に権限なしに使用・開示してはならない旨の義務を課している場合には「制限されている」と言えるでしょう。ただ、「どのくらい厳格に制限する必要があるか」というのは、会社の規模にもよります。大企業ではIT技術を駆使したアクセス制限がないとNGでも、中小企業では朝の集会で社員に口頭注意を行っただけでOKだったりします。

2. 有用性

生産方法や販売方法など、会社の事業活動に有用な技術上または営業上の情報であることが必要です。つまり、事業に有用でない情報は「営業秘密」には該当しません。

例えば、店頭に関わるスタッフに想定できるものとしては、顧客名簿、販売マニュアル、商品や内装用品の仕入れ先リストなど。これらは全て「営業活動に役立つ情報」です。また、生産に関わるスタッフに想定できるものとしては、生地の加工技術、染色方法や材料、素材の仕入れ先リストなど。これらは「商品生産に用いる技術等に関する情報」ということです。

3. 非公知性

既に一般の人が知り得る状態になっている情報は、いくら会社が「これは秘密だ」と言い張っても「営業秘密」にはなりません。複数の社員に情報を教える場合は、守秘義務をかける必要があります。

ファッション業界で特に問題になりそうなものとしては、既に発売された洋服のパターンや縫製方法でしょう。服を解体することで明らかになってしまう以上「既に一般の人が知り得る状態になっている」と言えます。デザインも、店頭に並んだ以上は、容易に知り得る状態です。従って、これらは「営業秘密」に該当しません。前の会社で使っていたパターンを新しい会社で使っても「営業秘密」の漏洩にはならないのです。

ファッション業界では何が「営業秘密」にあたるのか

以上の3個の条件を全てクリアしたものだけが、「営業秘密」として法律的に保護されます。例えば、社長が「わが社の門外不出の最高技術」と豪語する特殊な技術があったら、それは「営業秘密」でしょう。

しかし、必ずしもこんな大げさなものとは限りません。例えば「以前勤めていたショップの大のお得意様の連絡先」は、秘密管理をされている可能性が高いはず。そのお得意様とどんなに仲が良かったとしても、住所を持ち出して新しいお店からDMを送るのはアウトです。

また、デザイナーが旅先で出会った、どこよりも質のいいカシミヤ原毛を提供してくれるチベットの農家(?)があったとして、このことをミーティングで「秘密」と言われていたら、もう「営業秘密」に該当する可能性が高いでしょう。新しい転職先で「いい仕入れ先知っています」なんてぽろっと言ってしまったらアウトかもしれません。

「営業秘密」の漏洩に注意!

このように、法律の「営業秘密」は、ファッション業界で働いている人の常識的な感覚とは必ずしも一致しません。「前のブランドと同じパターンや縫製で服を作る」というのは、感覚的に「パクリ」であって許されない、と思われそうですが、これは法律上ではセーフ。しかし、自分が仲が良かった取引先やお得意様に連絡を取ったら、営業秘密の漏えいだと言われてしまった……なんてことにもなりかねないのです。転職の際には、上記の「営業秘密になる3条件」をチェックしておきましょう。

なお、営業秘密については、欧米もおおむね同じ基準で運用されています。グローバルに転職する人も、同じようなポイントに注意すれば良いでしょう。

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