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店舗受取サービス「ボピス」とは?

インターネットによるオンラインショッピングが日常化している現在。顧客と店との商品のやりとりも多様性に富み、新たな局面を迎えています。今回は、Web注文の商品を店舗で受け取る「ボピス(BOPIS)」に注目し、国内外で台頭してきた背景や、導入のメリットについて紹介します。

【目次】
「ボピス(BOPIS)」とは?
「クリック・アンド・コレクト」との違い
注目されている背景(理由)
「ボピス(BOPIS)」のメリット
導入しているブランドの例

「ボピス(BOPIS)」とは?

ボピスは、オンラインとオフラインを融合させたマーケティング戦略、OMO(Online Merges with Offline)の一環で、「Buy Online Pick-up In Store」の頭文字を取った言葉(BOPIS)になります。文字通りECサイトなどオンラインで購入した商品を店頭で受け取るシステムを指し、現在、海外の小売業ではハイブリッドなショッピング方法として利用が急増。アメリカでは世界最大級のスーパーマーケットグループ・ウォルマートが、Amazonへの対抗策として導入したことで認知度が拡大し、日本のアパレル業界でも大手企業を中心に導入が進められています。なお、インターネット上で購入した商品を店頭で返品する「Buy Online Return In Store」という仕組みはボリス(BORIS)と言い、こちらもECにおける重要な戦略の一つとなっています。

ECについては、2020年12月の記事

今、話題のファッションECに迫る Vol.1 ~アパレル業界におけるECとは

をご参照ください。


「クリック・アンド・コレクトとの違い」

ボピスの同義語として「クリック・アンド・コレクト(Click & Collect)」という言葉もよく知られるようになってきました。これは、オンラインで購入した商品を自宅以外の場所で受け取るシステム全般を指しており、実店舗だけでなく、コンビニエンスストアやロッカー、ドライブスルーなども受け取り場所として活用されています。ボピスと同様、日本でも活用が期待されていますが、店舗での対面販売が優先されている現状からか、現在の導入率は小売業全体の2%程度に留まっています。


注目されている背景(理由)

ボピスが大きな注目を集めている背景には、2020年から続く新型コロナウイルスの感染拡大が大きく影響しています。厳粛なロックダウンなどで巣ごもり需要が加速していた時期から、徐々に日常が取り戻され、外出やショッピングを楽しみたい、しかし感染防止の観点から店舗内の滞在時間は短縮したいという店と顧客のニーズが合致。アメリカではブラックフライデー、サイバーマンデーなどのオンライン売上が年々増加の一途をたどっており、その中におけるボピスの利用率も右肩上がりとなっています。ボピスの運用にはECサイトとの両立が必須で、システムの確立にある程度の時間と労力を要しますが、店舗に足を運ぶ大きなきっかけとなるため、導入を検討する企業が増えつつあります。


「ボピス(BOPIS)」のメリット

消費者

通常のオンラインショッピングでは、商品が手元に届くまでに梱包や発送といった作業が生じるため、どうしてもタイムラグが生じてしまいます。しかし、ボピスの場合、お目当ての商品をWebで注文し、店舗に在庫があれば購入が可能。仕事の休憩時間などに決済を完了させておけば、帰宅途中に店舗に立ち寄って商品を受け取ることができます。店側で抱えている在庫から商品を確保するため送料が不要となり、経済的にもお得。店内滞在の時間を短縮できるので、新型コロナウイルスの感染リスクを下げることができます。

■送料の負担がない                                                                    ■購入時の時間短縮                                                                    ■好きな時間に受け取れる(すぐに手に入る)                                                              ■在庫の確保ができる                                                               ■受取時に実物の確認ができる

事業者

ボピスがもたらしたショッピングスタイルでもっとも大きいのが、ついで買いや衝動買いと言われる行動です。アメリカでは、ボピスを利用した来店客の約8割が、目的以外の商品も購入しているという統計も。これまで商品選びにかかっていた時間を試着や裾直しなどに充てることができるので顧客満足度も向上し、売れ筋商品の分析、情報の蓄積など、マーケティングにおいても重要な役割を担っています。また、スタッフによるレジ打ちや接客を省くことで人手不足が緩和され、発送用の梱包材も不要となるため、コスト削減やエコの促進にも繋がります。

■物流コストを抑えられる                                                                    ■人件費の削減                                                                    ■「ついで買い」「衝動買い」を期待できる                                                              ■EC事業者との差別化                                                               

導入しているブランドの例

日本のアパレル業界でいちはやくボピスを導入したのが、作業着の専門店であるワークマン。2020年3月から大手ECを離脱し、自社サイトのみの販売に転換、注文から最短3時間で商品の受け取りを可能にするという画期的な改革は、大きな話題となりました。現在、ボピスの利用がオンライン注文の約7割に達している同社では、2027年3月までに宅配での商品発送を終了させる予定です。「有明プロジェクト」と銘打った経営改革に取り組んでいるユニクロもボピスを導入し、明細書と返品カードを持参することで全国の店舗で返品を受け付けています。しまむらも自社ECサイトでの販売のうち、店頭受取が9割を超えるなど、当事者も予測していなかったほどの効果を上げ、ボピス導入の成功事案として注目を集めています。

TEXT:伊東孝晃

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