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ファッション業界で働く女性の活躍支援団体、WEF公開シンポジウム「グローバルに活躍する-日本が変わる 目線を上げよう-」レポート【後編】

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2015年11月4日(水)、ファッション関連分野で働く女性の活躍支援団体、一般社団法人ウィメンズ・エンパワメント・イン・ファッション(以下、WEF)主催の公開シンポジウム「グローバルに活躍する-日本が変わる目線を上げよう-」が開催されました。

グローバルに活躍する日本女性の代表である、経団連で初の女性役員に就任された、BTジャパン社長の吉田晴乃氏と、一橋大学名誉教授の石倉洋子氏が登壇。ご自身の経験をもとに、グローバルに活躍するために必要なマインドについてお話していただきました。

今回の後編では、WEFで理事を務めるファッションジャーナリストの生駒芳子氏を交え、これからの社会で必要とされる女性の役割や、お二人の考えるワークライフバランス、ファッションへのこだわりなど、ディスカッション形式でお話しいただいた内容をレポートします。

レポート前編はこちらをご覧ください。

資本主義の今、女性が果たせる役割とは?

ファッションジャーナリストの生駒氏は、はじめに、ご登壇されたお二人の今日の装いから感じる、“ファッションの可能性”についてお話しされました。

生駒芳子氏(以下、敬称略)「ファッションとは、自分を高めるだけではなく、周りを明るくすることも出来る素晴らしい力を持っています。今日のお二人の装いから、それを強く感じました。石倉さんのファッションからは、世界を駆け巡る女性だからこその『自由』、吉田さんのファッションは、スカイブルー色でまさに『希望』という言葉がぴったりだと感じました。しかも、足元には13cmヒールを履かれていて、格好良いですね!

今、ファッション業界においても、女性管理職の割合は非常に低いです。購買者は女性が圧倒的に多いのに、不思議です。ファッション業界のみならず、今後様々な業界で女性の管理職が増えていくことを踏まえて、お二人に質問をしていきたいと思います」。

このあと、生駒氏の進行によってディスカッションは始まります。

WEF_1_前編

生駒「まず、お二人は、男性社会の中でキャリアアップをされていますが、男性社会での軋轢を感じたことはありますか?また、その軋轢をどう乗り切ってきたのでしょうか」。

石倉洋子氏(以下、敬称略)「私はフリーランスとして、外から人と接することが多いからか軋轢を感じたことは少ないですが、個人でやっているからこそ少しでも失敗すれば二度と声が掛からない、そういった意味での軋轢はあります。

対して、女性ということでのメリットも沢山感じます。男性社会にいる女性は目立つので、すぐに覚えてもらえるところや、男性の女性に対する競争意識がまだないので、色々なことを相談されたり、話を聞くことが出来るのも女性ならではかもしれません」。

吉田晴乃氏(以下、敬称略)「どうしても、『男性社会の軋轢』と捉えてしまいがちなのですが、そうではありません。たまたま今までビジネスのフィールドが男性社会にあっただけで、私はこれを『ビジネスの軋轢』だと思っています。飛行機が空気抵抗なしに飛ばないのと同じで、軋轢がなければ成長も出来ないと考えています。常にビジネスは命がけで、戦いの場。楽なはずは絶対にないので、私も命がけで取り組んでいます」。

生駒「吉田さんは、経団連初の女性の審議員会副議長になられましたね。周りからの気遣いなどは感じましたか?」

吉田「そうですね。とっても気を遣っていただいていると感じます。気を遣われないような存在に、早くならなければならないと思っています。その一方で、新しいことに付き物であるこのようなトランジションを楽しむ精神も必要だと考えています」。

生駒「まさに資本主義の今、女性が果たせる役割とはどのようなものだと思いますか?」

石倉「女性の強みとは、複数の社会を持っていることだと思います。昔から男性は仕事が中心の社会で生きており、女性は仕事や家庭、趣味など、構造的に複数の社会を持っています。資本主義というものは、ステークホルダーに様々な観点が必要だからこそ、色々な世界を持っている女性が活躍出来る余地は、大いにあると言えるでしょう」。

吉田「日本の女性というのは、世界的に見ても相当なクオリティコンシャスです。ものに対しての厳しい目を持っているからこそ、今海外からものを買いに来る人が多い。このような、ものに対する厳しい目というものはもっと世に出していくべきだと思います」。

生駒「そう考えると、クオリティコンシャスである女性が企業のトップにいないことはますます不思議です」。

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ロールモデルが考える、ワークライフバランスとは

生駒「まさしくロールモデルのお二人、キャリアを積みながらのワークライフバランスをどう考えていますか?」

石倉「今の若い世代の方達のワークライフバランスは昔に比べて大きく変わってきています。お父さんが子供を保育園に連れていく姿や、土日に遊びに連れていく姿をよく見かけるようになりました。日本のトップの方々の世代と大きく違います。これからワークライフバランスが変化していくにあたって、日本での大きな課題は『長時間労働』。これに対して、働き方もフリーランス、パラレルキャリア、在宅ワークなどが増えていくと思います」。

吉田「日本にはおよそ300万人の貧困層の子供達がいて、およそ6割がシングルマザーの家庭。離婚や病気など、多くの問題が起きる家庭で、一人の収入だけに頼ることとは非常にリスキーですよね。だからこそ、女性が働ける環境づくりをもっとつくらなければならない。それを目指し、旗を振ってやっていこうと決心しました」。

生駒「吉田さんはシングルマザーとして、世界を駆け巡ってこられましたね。ご自身のワークライフバランスを、どのように考えていますか?」

吉田「あまりワークライフバランスというものを考えていません(笑)。ワークライフバランスというものは毎日精算するものではないから、特には掲げていませんが、変化する毎日に合わせて考えています。娘がまだ小さな頃は大変でしたが、それは長い人生の中のたった数年の話。その後のコミュニケーションの方がずっと重要だと思います」。

生駒「まさに様々なご経験をされてきた中でのお言葉です。では、これから世界を舞台に飛び立ちたいという方に向けて重要なポイントとは何か、教えてください」。

石倉「多くの女性がキャリアアップについて、『まだ準備ができていない』と言いますが、準備しているうちに忘れられてしまう。チャンスを掴むには、多少大きく出てみることも必要です。

そして、グローバルに活躍するのであれば体力が必要です。体力がなくなると気力もなくなってしまいます。単に筋力とかではなく、世界中どこに行ってもなんとかやっていけるという自信がグローバルにやっていくうえで必要なことだと思います」。

吉田「グローバル化が広がる社会で、自分の価値観を見出し、何を提供できるかが重要だと思います。めまぐるしく変わっていく世の中に対してスピード感を持って、自分達の売り方を考えていかなければなりません」。

生駒「なるほど、まずは自分のことを知ること、そしてそれをどう売っていくかが大切なことのようですね。

最後に、お二人がファッションで心がけていることはどんなことでしょうか?」

石倉「自分らしくて似合うもの、そしてその場面に合わせたファッションを心がけています。ファッションというものは、自信を与えてくれる、自分の支えになるようなものだと思います」。

吉田「どんなに忙しくても、落ち込んでいても、ファッションを楽しむだけで気持ちが高まります。ファッションは自分を裏切らないものだと思っています。朝起きて、準備をしている時間はとっても幸せな気持ちになります」。

生駒「グローバルに活躍するためには、ファッションも自分を表現するひとつのものなのでしょう。これから、100年後の未来の女性たちに喜んでもらえるようなチャレンジを、今の時代に生きる私たちがしていかなければなりませんね。本日は貴重なお話をどうもありがとうございました!」

これまでの概念から抜け出し、新しいチャレンジを前線で続けられているお二人に、会場の多くの女性から大きな拍手が送られました。

世界が刻々と変わっていく今、ファッションができること、女性だからできることとはなにかを考えて一歩踏み出したくなる、そんなメッセージを聞くことが出来ました。

今回お伺いした主催団体

WEF_logo

WEF(ウィメンズ・エンパワメント・イン・ファッション)

ファッション関連分野で働く女性の活躍支援団体「WEF」では、主要ポストおよび商品企画やMD分野の女性リーダーを増やすとともに、女性個人の成長・成功を助け、企業・産業の成長発展に繋げるために必要な公開シンポジウムやキャリアアップ講座など様々なプログラムを実施しています。

 

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