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「ここから日本のファッション教育を変えていく」|リトゥンアフターワーズ山縣良和×セントマーチンズ西尾マリア インタビュー【後編】

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海外の学校の特色を取り入れつつ、独自のプログラムを提案

−今回のプログラムの内容は、セントマーチンズのやり方を日本で教えるということが根底にあるのでしょうか?

Y:セントマーチンズのやり方をそのままやるのではなく、日本人の特性に合わせて少しチューニングをしていますが、例えば初日はまずお互いを知る、自分を知るということから始まりました。生まれた時からの自分のルーツを探るという。

N:マインドマップです。表現しようとするとき、それぞれの人によって、同じものを見ても違う風にとらえるじゃないですか。それは自分の育った環境で、変わってくるものなので、まずそのことに気付くためのプログラムなんです。1日でわかることではないし、多分一生かかることだと思いますが。

Y:そのきっかけ作りみたいな感じですね。

−日本の学校でほかにこういう授業はある? セントマーチンズではマインドマップをするのでしょうか?

N:結構早い時期からファミリープロジェクトといって、自らのルーツを探る授業でやります。

Y:もちろん授業でもありましたが、セントマーチンズの場合、そういうことを知らず知らずのうちにやっているんです。学校がそういう空気感になっている。なぜなら、セントマーチンズには世界中からいろんな学生が集まってきます、そうすると学生それぞれ本当にみんな違うアイデアが生まれてくるのを肌で感じるんです。カラーリングや形の作り方が全然ちがう。「なんでこういう発想が出てくるの?」という。それを突き詰めていくと、やはり自分が育った環境とかが影響していることに気付くんです。

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−それぞれ育った環境は違うからそこでもまた変化があるということを気付かせるということなんですね。セントマーチンズではそれをナチュラルに感じることができるんですね。

Y:ヨーロッパの教育はやはりアイデンティティの部分をすごく大事にしている文化じゃないですか。逆に日本はそのアイデンティティをちょっと消すというか。けれどぼくはもう少しそこを意識化させることをやっていきたいなと思っているんです。

N:自分のままでいられる環境で、色々な経験をしてきた学生たちがリラックスして自由にものごとを考えられるような環境づくりをセントマーチンズでは大切にしています。今回のサマーコースでもそれを感じてもらえるようにしています。今もスタジオをぱっと見ると、使っている素材や表現の仕方に、すでに4日目にしてそれぞれの個性が見えてきています。もし「この布を使ってこういう形のものをレディースでやってください」というように学生に指示していたら、絶対にこうならないと思います。ひとつのアイデアから、どれだけフレキシブルに自分のクリエイションの可能性を見ていくのか、このプログラムを通して感じてもらえたらと思います。

−自分のアイデンティティやルーツを考えてもらった後、カリキュラムとしてはどのように進んでいくのですか?

Y:まず内面のリサーチがあり、その後外に向かったリサーチをしていきます。内面から作られた価値観とか美意識のなかで、外側に目を向けた時に何を見つけるか。今度は自分が興味持つものをリサーチするんですね。それを集めていくと点と点が線に繋がっていくのです。最初はぼんやりと気になっていたことが、自分がどういう価値観のもとで、ものを見てたり、考えたりしているのかがわかってくるのです。

N:自分でそれをやりながらクラスの他の学生たちのプロセスも見て、それもシェアしていく。そうすると自分のケースだけじゃなく、違うケースも見て、こういう考え方もあるんだ、ここは似てるなとか、いろんな発見もあるんですよね。

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グローバルに活躍できる人材を育てるコミュニケーションプログラム

Y:また今回のサマーコースは、プレゼンテーションが一番の特徴です。今回は「ファッションデザイン+コミュニケーション」に重きを置いています。普段やっているファッションデザインにコミュニケーションを加えたプログラムで、グローバルな視点で物事を考えたり、世界に自分の作品をプレゼンテーションするためにはどのようなコミュニケーションしたらいいのかなどをマリアちゃんと一緒に伝えていけたらと思っています。世界で起こっていることや、海外の学生はこんな表現をしているとか、社会情勢の中からアイデアが生まれているなど、さまざまな事例を説明しつつ、さらに英語での表現方法も一部レクチャーしています。

N:今回は英会話教室ではないので、言葉だけでなくイラストなど含めいろんな感覚を使ってどうやってその雰囲気を伝えていくのかそのポイントを教えています。

−今回はサマーコースということですが、今後やはり海外で活躍するデザイナーを輩出したいという気持ちは強いですか?

Y:もちろんその気持ちはあります。ただ、今回のサマーコースでは最初のステップのきっかけをつくることができたらと思っています。

N:日本から海外に出て行くだけでなく、これからは海外から日本にたくさんの人が来ますよね。そういうときにも生かしてもらえたら嬉しいですね。

取材時には、授業が終わったにも関わらず、多くの学生がスタジオに残って作品作りを続けており、その1人ひとりの表情がイキイキとして楽しそうだったことが印象的でした。ここのがっこうの学生はスタートから8年、今や卒業生の多くが海外のコンテストで沢山の賞を受賞しています。今回のようなプログラムが日本で導入されることにより、さらに海外で活躍できる人材が育っていくことに期待したいと思います。

「ここのがっこう」とは?

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「ここのがっこう」は 山縣良和(writtenafterwards デザイナー)らによって2008年に立ち上げられた、ファッション教室です。「ここ」とは、場所を表す「ここ」であると同時に、多数の中の1人1人を表す「個々」を意味しています。ここのがっこうは、主に次のような方を対象としています。
・ファッションの本質を学びたい方
・時代性を持ったファッションデザインを一緒に考え、表現したい方
・オリジナリティがあり、国際感覚のあるポートフォリオ作成のアドバイスを受けたい方
・海外留学や海外コンクール応募を考えている方 等
ここのがっこうは、ファッションを社会、文化、環境、教育的観点を持ったファッションの役割を提案していくにあたり、表現者と学生がより近い関係にある、ものづくりの環境や交流の場を構築したいと考えています。常に心を真っ白にして自分のルーツと時代を感じ取る力を、うつりゆく社会の感情を理解し表現するこころを、学生やデザイナー自身も学んでいく姿勢と、その環境づくりに他なりません。時代と共に生きるファッション表現が生まれ行く場所である事を願っています。

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