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「ここから日本のファッション教育を変えていく」|ここのがっこう山縣良和×セントマーチンズ西尾マリア インタビュー【前編】

リトゥンアフターワーズのデザイナー山懸良和さんが運営するここのがっこうが、イギリスのセントラルセントマーチンズ美術大学ファッション学科(以下、セントマーチンズ)とコラボレートした1週間のサマーコースが実施されました。

日本の学校として初の試みとなる取り組みはどのように実現したのでしょうか。そして、実際のプログラムはどのような内容だったのでしょうか?山懸さんとサマースクールのために今回来日したセントマーチンズの講師、西尾マリアさんにインタビューしました。

お互い教育の立場にいて感じた日英のファッション学校の違い

−今回ここのがっこうとセントマーチンズがコラボレートした画期的なプログラムが実現した経緯とは?

山懸良和さん(以下、Y):もともとぼくたちはセントマーチンズの同級生なんです。2000年ぐらいに知り合って。お互いがまだ、たぶん10代だったんじゃないかな?

西尾マリアさん(以下、N):ファウンデーションから通って5年あるんですけど、その時ずっと一緒に学生で、その後お互いに仕事を始め、2年ぐらい前にロンドンファッションウィークの開催期間中、インターナショナルファッションショーケースというさまざまな国の若いデザイナーをロンドンで紹介する企画があったんです。その時にキュレーターとして日本から参加していた良和さんに再会したんです。お互い“教育”の場にいることを知り、「こういうことができたらいいね」って話していたことが、2年越しに実現したのです。

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−西尾さんは、今回ここのがっこうとセントマーチンズがコラボレーションして行われたサマーコースについてどう捉えていますか?

N:日本では、今までにない内容のプログラムですよね。インターナショナルファッションケースの展示を見に来ていたジャーナリストからは、「日本人のデザインは面白いのは分かるけど、コミュニケーションを取るのが難しい」という意見をよく聞いていました。言語の問題というより、人に発表するということに苦手意識を感じている人が日本には多いですよね。今回このコースではそういう部分に積極的に取り組んでいます。

どうデザインするかより、技術を磨くことに重きを置く日本の教育

−山懸さんがここのがっこうを作るきっかけは何だったのでしょうか?

Y:ぼくは日本で教育を受けてからセントマーチンズに行ったので、両方の教育を見た上で、気付いたことがすごくあったんです。価値観とか、空気感が全然違う。帰国後は、特別講義という形で色々な学校で話をさせてもらっていましたが、その中で、既存の教育に合う子はいるけれど、合わない子もいることに気付きました。もっとこういう教育の環境があった方がいいなっていう考えが出来てきて。けれど、大きな仕組みの中でぼくだけがそれをやっても伝わりづらいなと思ったんです。そこで、まずは来てもらうことでやってみたらっていう発想で始めてみました。

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−日本の学校とイギリスの学校の内容はどんなところに違いがありますか?

Y:明確に違うことがあって、日本のファッション教育の土台と、セントマーチンズはルーツが異なります。セントマーチンズはアート大学で、日本のファッション系の学校は専門学校をベースにしています。ルーツを辿っていくと花嫁修業学校が形を変えて服飾学校になっていったという流れがあるため、専門職を育てるというのがベースにあります。「どうデザインするか」より、「専門技術を磨くこと」に重きを置いているんです。
そのため専門職でキャリアを積んでいきたいと決めている人には、日本の教育はぴったりだと思います。日本の技術教育は世界でもかなり高いレベルにあります。しかし、ファッションには興味があるがまだ方向性が決まってない学生たちに向けて、日本でまだあまりやられていない教育を提供する場があったほうがいいなと思って。

−実際にセントマーチンズで授業を受けて、感銘を受けた具体例などありますか?

Y:一番衝撃的だったのが何も教えてもらわないということです(笑)。授業がほとんどないんです。しかしながら、環境から多くを学びました。

N:「これはこうやってやるものですよ」などということは一切ないですね。課題は出ますが、ブリーフィングで「今回はこのテーマです」という説明があって、学生は自分で考え、ライブラリーに行ったり、好きなものリサーチしに行ったり、それぞれ個別での活動を始めるんですよ。

後編へ続く>>

「ここのがっこう」とは?

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「ここのがっこう」は 山縣良和(writtenafterwards デザイナー)らによって2008年に立ち上げられた、ファッション教室です。「ここ」とは、場所を表す「ここ」であると同時に、多数の中の1人1人を表す「個々」を意味しています。ここのがっこうは、主に次のような方を対象としています。
・ファッションの本質を学びたい方
・時代性を持ったファッションデザインを一緒に考え、表現したい方
・オリジナリティがあり、国際感覚のあるポートフォリオ作成のアドバイスを受けたい方
・海外留学や海外コンクール応募を考えている方 等
ここのがっこうは、ファッションを社会、文化、環境、教育的観点を持ったファッションの役割を提案していくにあたり、表現者と学生がより近い関係にある、ものづくりの環境や交流の場を構築したいと考えています。常に心を真っ白にして自分のルーツと時代を感じ取る力を、うつりゆく社会の感情を理解し表現するこころを、学生やデザイナー自身も学んでいく姿勢と、その環境づくりに他なりません。時代と共に生きるファッション表現が生まれ行く場所である事を願っています。

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