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アパレル業界用語【シルク】生糸・玉糸の違い説明できますか?


なんとなく高級な素材だという認識はあっても、その実態についてよく知らない人も多い「シルク(絹)」。日頃、慣れ親しんだ素材ではないので、取り扱い方法がわからないという方もいるでしょう。今回は、そんなシルクの特徴について解説していきます。

蚕の繭から生み出される繊維の女王

独特の光沢が美しいシルク。ご存知の方も多いかもしれませんが、蛾の幼虫である蚕(かいこ)の繭から紡ぎ出した繊維です。繭は幼虫が吐き出した糸でできていて、さなぎを守る殻のような役割を果たします。繭の中は乾燥しすぎても、湿度が高すぎてもいけません。また、紫外線などの刺激も遮断する必要があります。このすべての機能を兼ね備えているのがシルクです。

シルクの構成成分は、人間の皮膚と同じ18種類のアミノ酸からなるタンパク質。そのため、第二の肌とも呼ばれます。シルクはまさに、まとう人を繭のようにやさしく包み、快適に過ごせる環境を与えてくれるのです。

●シルクの種類

シルクは、糸に加工した段階で4つの種類に分けることができます。

・生糸(きいと)

生糸は熱湯やアルカリ性の特殊な液を使って、繭から糸を引き出し、より合わせたものです。

・玉糸(たまいと)

玉糸は、生糸に比べて節のある糸のことです。節があるというとデメリットに感じますが、これが織物にしたときに独特の風合いを演出してくれるため、シャンタン織やリンシャン織では、玉糸が好まれて使われます。

・紬糸(つむぎいと)

穴の空いてしまった生糸にはできない繭を、繊維状にしたものです。まずは綿のように伸ばした「真綿(まわた)」をつくり、そこから糸状の繊維をより合わせたものが紬糸と呼ばれます。

・絹紡糸(けんぼうし)

絹紡糸は、紬糸に似ていて、生糸に適さない短く切断した糸をつむいで作ります。「スパンシルク」とも呼ばれ、和装や風呂敷などに用いられてきた素材です。

●シルクのメリット

シルクには、たくさんのメリットがあります。

・肌触りが心地よい

シルク繊維の断面は三角形をしており、それが独特の光沢をもたらします。そして、子供から大人まで、誰が触れても心地よいと感じる肌触りは、前述の通り人間の皮膚と同じ構成要素でできているから。天然繊維の中でも肌なじみは抜群の素材と言えるでしょう。

・静電気が発生しにくい

天然繊維のシルクは、静電気が起きにくいメリットがあります。パチっと弾ける痛みがないだけでなく、チリやホコリなどをよせ付けない良さも。シルクは下着や寝間着、寝具などに用いられることが多いのも、そのためです。

・吸湿性、保湿性、通気性に優れている

ツヤツヤとした光沢からは意外かもしれませんが、実は、シルクは綿よりも吸湿性や保湿性があり、通気性の高い素材です。ベタつく夏の肌にもサラッと身につけられるのは、その通気性のおかげと言えるでしょう。
シルクは保温性も高い素材なので、冬になれば人の肌を温かく包んでくれます。一年中着用できる素材です。

・肌を清潔に保つ

通気性のいいシルクは、雑菌の繁殖を抑えて肌を清潔に保つ働きがあります。それだけでなく、実はシルクは肌に潤いを与えてくれる効果もあるのだとか。アトピーなどで悩んでいる方や、入院等で長時間横になっている必要のある方は、症状の悪化や床ずれ防止のためにも、シルクが一役買ってくれます。

・紫外線を吸収する性質がある

シルク素材は紫外線を吸収する性質があるため、肌に紫外線が届くのを防いでくれます。下着やパジャマなどの室内着に使われることの多い素材ですが、紫外線対策として外出時に羽織るのもおすすめです。

・耐熱性に優れている

シルクは耐熱性も高い素材です。シルクが燃え始めるのは300℃〜460℃と言われており、有毒ガスも発生させません。むしろ、火事などで有毒ガスが発生している部屋にいる場合は、シルクのハンカチを口に当てることでガスマスク代わりになってくれます。

●シルクのデメリット

魅力的な光沢とたくさんのメリットがあるシルクですが、一方で、デメリットもあります。

・縫製が難しく扱いにくい

シルクは独特のやわらかさがある素材です。そのため縫製が難しく、製品化は簡単ではありません。不良品などの発生率も高くなります。

・摩擦に弱い

シルクはなめらかな光沢が特徴ですが、ガサガサとした木の板の上に座ったりすると、擦れて傷がついてしまうことがあります。少しでも摩擦があると糸がよれてしまうので、シルクの上から皮膚をこすったりするのもNG。少し気を使わなければいけないのが欠点です。

・基本的に手洗いのみ

摩擦などにも弱いシルク。洗濯機ではなく、必ず手洗いしましょう。取り扱いが少し面倒な点が、シルクのデメリットです。

・変色しやすい

紫外線を吸収するシルクですが、肝心のシルク自体が紫外線によって変色してしまうという特徴があります。黄ばむように変色するので、長時間直射日光に当てるのは避けるほうがベター。また、水がつくと、その部分がシミになりやすいデメリットも。洗濯以外では水に濡れないように気をつけましょう。

気をつけたいシルクのお手入れ、取り扱い方法

アミノ酸系のタンパク質から構成されているシルク。人間の皮膚に近い成分ということもあって、お手入れや取り扱いの方法が他の繊維とは異なります。

洗濯をする際には、基本的にシルク専用の中性洗剤を使います。もしなければ、シルクは人の髪や肌に似ている性質を持っているので、無香料のシャンプーで代用しても大丈夫です。

直接洗剤をつけるとシミになる可能性があるので、30℃程度のぬるま湯に洗剤を溶かし、押し洗いをしていきます。2〜3回すすいだら、軽く水を絞り、裏返して陰干ししましょう。

柔軟剤は、繊維がよれてしまう可能性があるので使わないようにしましょう。また、乾燥機の使用もNGです。

タンパク質でできている繊維ですので、保存する際は防虫剤が必要です。ただし、生地に直接触れる部分に防虫剤を置くと変色などの原因になります。

シルクにそっくり? 類似する素材も

高級素材であるシルク。人工的な化学繊維の中にもシルクそっくりの素材があります。

中でも似ているのが再生繊維の「レーヨン」です。木材パルプを原料にしている素材ですが、シルク同様に光沢があり、なめらかな質感で汗もよく吸います。ただし、水に弱く、家庭で洗濯をしてしまうと簡単に縮んでしまうことがあり、それが大きな欠点と言えます。本物のシルクは摩擦には弱いものの、引張強度は高いのが魅力。レーヨンの場合は、すぐに傷んだり縮んだりしてしまうので、その点でシルクより劣ります。

ナイロンなどを混紡して強度を補完していることも多いので、この場合はシルクを超える質感にならないのも短所です。

もし、構成表示などがなく、シルクかレーヨンか迷った時には、目立たない部分を指ですり合わせるように持ってみましょう。シルクの場合は、「キュッ」と音がなりますが、レーヨンなどの繊維の場合はこの音が鳴りません。
 

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