あなたは「アスレジャーファッション」という言葉を聞いたことがありますか?このアスレジャーファッションという言葉は、2014年頃から定番化した「ノームコア」に続くトレンドキーワードです。今さら聞けないその「アスレジャーファッション」について、ここではご説明していきましょう。
「アスレジャーファッション」とは
アスレジャーは、運動競技という意味の「アスレチック(Athletic)」と、余暇という意味の「レジャー(Leisure)」をかけ合わせたファッション造語です。具体的にどんなファッションかというと、ヨガパンツやレギンス、スウェット、ジョガーパンツ、スニーカーなど、運動をするときのファッションを用いてコーディネートします。
これまでも、スウェットなどを用いたファッションスタイルは流行を見せていました。しかし、中でもアスレジャーファッションは、スポーツの要素が強調されたスタイルなのです。
例えば、スポーツミックスといえば日本でも昨今流行のスタイルですが、スポーツミックスでは、ミモザ丈の清楚なワンピースに、ランニングシューズをあわせることなどを言います。割合としては、スポーティな要素は2割程度しか入っていません。
その点、アスレジャーファッションは、そのまますぐにでも運動に取りかかれそうな、本格的なスポーツウエアを用います。これといった定義はありませんが、スタイリング全体でおよそ8割を、スポーツウエアが占めるようなイメージです。
アスレジャーファッションでスタイリングすると…
アスレジャーファッションを具体的にするためにも、アスレジャーファッションのコーディネート例を少しご紹介しておきましょう。
1)コート以外はすべてスポーツウエア
・トップス…スウェットパーカー
・ボトムス…スウェット
・シューズ…スニーカー
・アウター…チェスターコート
ボトムスとトップス、シューズは運動競技者と全く変わらないスタイルですが、唯一コートのみ、スポーツウエアではないチェスターコートを合わせています。チェスターコートは、英国生まれのビジネスシーンなどで多用されるコートですが、このミスマッチがアスレジャーファッションならではなのです。
2)ヨガスタイルに革のハンドバッグ
・トップス…Tシャツ
・ボトムス…ヨガパンツ
・シューズ…ビーチサンダル
・バッグ…革製のハンドバッグ
ヨガへ出かけるようなスタイルでも、アスレジャーファッションでは革のバッグを合わせることもOK。ゴージャスさがあるバッグでも、カラーリングを合わせるなどすることでトレンドのスタイルに仕上がります。
3)スポーツウエアに革ジャケットを
・トップス…Tシャツ
・ボトムス…テックパンツ
・シューズ…スニーカー
・アウター…革製ジャケット
テックパンツは、フリースやスウェットなどのスポーツウエア定番の素材でできていることが多いです。しかし、通常のジャージなどと違うのは、身体のラインに沿った縫製があること。足首に沿ってキュッと引き締まったラインが、コーディネート全体を引き締めてスポーティーな印象を強めます。また、撥水素材を使用するなど、実用性も高いのがテックパンツの特徴です。
アスレジャーの魅力と流行の背景
アスレジャーファッションは、メンズ、レディースを問わず注目されているトレンドキーワードなのです。なぜ、ここまでたくさんの人がアスレジャーファッションを支持しているのか。ここからは、その背景に迫っていきましょう。
・疲れと飽き
アスレジャーのファッションを好んで着る人たちの背景には、ファッションへこだわることへの疲れや飽きがあると言われます。
かつてはファッションにこだわりを持ち、流行に遅れることのないように最新ファッションの情報を嬉々として集めることが1つのステイタスでした。しかし、いつしか流行を追うだけのファッションにウンザリする人が増えるようになったのです。
・生活全体のファッション化
最近では、海外セレブたちを中心にその生活をオープンにする人たちが増えています。朝はグリーンスムージーを飲み、ランチのあとはジムで身体を鍛え、夜は家族やペットと楽しく過ごす…。そんな写真画像は、SNSなどでもよく目にするものです。
このようなセレブたちの生活ぶりからか、最近は、生活自体がファッション化しているとも言われるようになりました。以前は洋服やアクセサリーだけで自己表現をしていましたが、最近は、衣・食・住のすべてを通して、自己表現をする人が増えたのです。
折しも、世界的に健康志向の流れが強い昨今。多くのセレブも多くの人が身体を鍛え、健康管理しているのを目にします。アスレジャーファッションは、健康指向を反映できるファッションとして、ライフスタイル全体にマッチ。ここまで広まる要因になったのかもしれません。
また、一方で、こんな見方をすることもできます。
アスレジャーファッションでは、身体のラインが出るファッションアイテムが多く登場します。ヨガパンツやレギンスなどは、その代表格でしょう。これらのアイテムをかっこよく着こなすには、身体を鍛えることが必要不可欠。逆説的にも、健康志向の人に似合うファッションとなっているのです。
・「シーンレス」は、アスレジャーならでは
以前はジムへ行くとなると、ジャージなどの着替えを持参して、更衣室で着替えるようにしていました。ジャージなどで街中を歩くことは、ありえないこととさえ思っていた人もいるかもしれません。TPOには合わせなければいけないと、無条件に思い込んでいた人もいるでしょう。
このように、スポーツウエアは運動をするときに、普段は普段着をという固定概念があったのです。
しかし、洋服を着替えることは、1つのシーンを切り替えるスイッチのようなもの。もし、寝ても覚めても健康志向でいるなら、そのスイッチを切り替える必要性は少なくなってきます。
シーンの切り替えが不必要になりつつある世の中で、着替える習慣はだんだんと負荷になっていきました。そこで、「シーンレス」であるアスレジャーが市民権を得始めたというわけです。
運動をした後、そのままコートを羽織って帰宅する…。今回前述のスタイリングの例を見ても、そんなライフスタイルが想像できます。
市場規模は、2020年に向かって拡大
もともとはレディースファッションのトレンドとして流行を見せたアスレジャーですが、今ではメンズファッションにも広がりを見せています。選ばないのはシーンやTPOだけでなく、ジェンダーも年齢も、すべてといっていいかもしれません。
2017年には、アスレジャーの国内市場規模は880億(NPD Japan, エヌピーディー・ジャパン調べ)と予測が膨らみました。2020年には世界的スポーツ大会が開催されることもあり、今後日本でも、アスレジャー市場は拡大し続けていくでしょう。