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マナー講師というキャリア、やりたい仕事の見つけ方|『ビジネスマナーの解剖図鑑』著者 北條久美子さんインタビュー

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キャリア/心理カウンセラー・研修講師・コーチなど、様々な顔を持ち、コミュニケーションを円滑するためのセミナーやティーチングを行う北條久美子さん。ファッション・アパレル関連企業での研修も手がけ、現在Fashion HRに掲載中のジュエリーブランド「BRILLIANCE+(ブリリアンスプラス)」の執行役員として社員教育に勤しんでいます。

そんな北條さんの初著書『ビジネスマナーの解剖図鑑』は、研修講師のノウハウをわかりやすく図解にしたもので、4月の発売以降大きな反響を得ています。研修講師というキャリアの道を切り開いた北條さんに、マナー研修講師の仕事内容や、やりたい仕事を見つけた経緯など、キャリアストーリーに乗せてお話しいただきました。

マナー研修講師という仕事とは?

―ビジネスマナーを教える研修講師になったきっかけを教えてください。

もともと「話す」を仕事にしたい、なおかつ幸せな人が集まる場で働きたいと思っていて、ウェディングの司会の仕事をしていました。司会の仕事は決まった台詞をどれだけきちんと話せるかで、続けていくうちにもっと自分の言葉で伝えたい、自分が何か伝えることによって人が輝いたりする仕事って何だろうってずっと考えていたんです。

そんなときに見つけたのがマナー研修講師の募集広告で、その広告だけがまるで浮き上がるように目に飛び込んできて、これがやりたかった仕事だと直感で感じました。そこからは半年間の厳しい講師養成プログラムをこなし、その後登録講師として3年間、官公庁や企業に向けたビジネスマナーの講座を全国回って行ってきました。

―これまでの司会の仕事は、マナー講師を目指すにあたって生かされたのでしょうか。

そもそも披露宴という場は、新郎新婦の親しい方々が集まるので、同じ場はひとつもなくて、同じ工程でもそれぞれ雰囲気が異なります。第一声をどのくらいのトーンで発するかは当日のお客様を見てから決めていました。改まりすぎると「何?あの司会者さん?」という雰囲気にもなりますし、現場によって声色や調子を変えるということをかなりトレーニングされました。マニュアル通りにはいかないんです。

また一番大変なところは、時間管理。スピーチされる方が驚くほど長く話してしまうこともあります。ただそういうときも「もうそろそろ…」などと言葉を挟むわけにはいかないですから、笑顔で聴きながら、どうやって調節しようか考えを巡らせるわけです。タイムマネジメント能力はそこで養われた気がします。

―現場によって声色や調子を変えるというのはファッション業界の接客にも近いものがあるのでしょうか?

現場は違えど同じことが生かされると思います。販売員の皆さんにとっても“お客様によって声色や調子を変える”や、“その瞬間の雰囲気を掴む力”などは非常に大切ですし、何と言ってもお客様と「話す」仕事ですから通じていると感じますね。

組織で働いたことで見つけた“やりたい仕事”

―その後マナー講師として全国を回られるようになったのですね。

3年間にわたって講座を行ってきました。そのなかで新入社員のビジネスマナーやコミュニケーション講座などは対応できたのですが、私は会社という組織で働いた経験が乏しかったので、もっと踏み込んだチームビルディングや組織論を教えるには、自分でわからないことを抱えながら伝えるということに疑問を感じ始めました。そこで講師の仕事を一度辞め、企業に入社しました。組織の一員になってその歯車の一つとして動くとはどういうことなのか、実際に体験したいと思ったからです。すべての経験が絶対にこの先役に立つと思って3年間続けました。

―組織で働いていた経験のある方の指導には説得力がありますね。どんな職務をこなしていたのでしょうか?

最初は国際戦略室でしたが、異動し人事課で経験を積みました。ここではいろんな部署の方とやり取りをしていましたので、多くのことを学びました。何より一人で動かせないことがこんなにもたくさんあるんだということを知りました。また、この頃から、退職者向けの面談をやらせてもらうようになり、カウンセラーの資格を取り始めました。その頃は忙しくて試験にはなかなか受からなかったのですが、企業を退職後キャリアカウンセラー、心理カウンセラー、コーチという3つの資格を取得しました。

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―これまでの経験に加え、新たな資格を習得したことでご自身がやりたいことに近づいて行ったのですね。

人事課にいたとき、学生向けの企業説明会などでお話しさせていただく機会もあったんですが、終わると個別の質問をしたい学生さんの列ができるんですよ。質問内容は、会社についてはもちろんですが、自分自身の人生についての質問がとても多かったんです。「実は就職活動で、本当は何をしていいかわからずに悩んでいます」という学生さんに、「北條さんはとても楽しそうに仕事をしていらっしゃるように見えたんですが、どうやったらそういう仕事に出会えるのでしょうか」と聞かれ、そこで熱弁をふるっている自分に気づきました。私は仕事の楽しさや、やりがいを見つけるヒントを人に伝えたいんだって。

―学生の質問が、やりたいことを気づかせてくれるきっかけになったんですね。そして独立されることになったんですね。

独立をしたのはちょうど6年前です。ただ、独立しようとしたつもりはなくて、会社を辞めて少しのんびりしようと平日の昼間に公園を散歩したりとにかく自由を満喫していたんです。そんな頃、私が会社を辞めたことを知った知人から、「うちの社員教育やってよ」というご依頼が一気に3件くらい決まったんです。その一社がオンラインジュエリーブランドのブリリアンス+でした。

成長のきっかけになる「場」を作るやりがい

―ブリリアンス+は顧客満足度をあげるためにユニークな取り組みをされていますよね。社員教育へのこだわりとは?

研修講師時代のノウハウと組織で働いた経験をミックスさせ、またクライアントそれぞれのニーズを聴きながら、自分なりのコンテンツを作っています。クライアントのニーズに対して、独自の旬なトピックを加えるなど、こちらから提案することもあります。とことん現場の方と触れ合うことにこだわっています。ちょっと泥臭い感じというか(笑)。社員のように入り込んで関わることがが好きなんです。

―実際に社員教育を行うなかで一番のやりがいを感じることとは?

表情が変わって、行動が変わると、その人の人生がちょっと前に進みますよね。そういう姿を見るのが何よりなんです。研修前はちょっと暗い表情だった人でも研修を終える頃には「明日からこれやってみます!」と頬もぽっと赤くなって、にこにこしながら向かっていくのを見るのが喜びの瞬間です。その人が幸せだと周りの人たちもきっと幸せじゃないですか? 私自身が誰かに影響を与えたいという思いではなくて、そういうきっかけになる“場”を作ることができたと実感できるんです。

―そういう喜びをたくさんの現場で味わっていらっしゃるのですね。

うまくいったな、と思った日はテンションも高ぶっているせいか、帰りのタクシーで運転手さんに「夕日がとっても綺麗ですね!」とか話しかけてしまったこともありました(笑)。研修の感想が書かれたアンケートを読んで感動して涙したり。こういった経験は本当に宝物です。本当に幸せだと思います。

―今後のヴィジョンについてもお聞かせください。

人が輝く瞬間が見たいというところは変わらず、より女性にターゲットを絞っていこうと思っています。なぜかというと女性って役割がたくさんありますよね。

母親として妻として、またもしかしたら介護をする必要になるかもしれない、そして娘としての立場もある。それを女性ってこなせちゃうんですよ。でも本当に自分らしい人生を生きているかとなると、なかなか難しいと思うんです。「生きる」とは「仕事だけ」でもないし、「生活だけ」でもないと思うんです。「生きる」の中にそのどちらも楽しむことが含まれると思うし、一言で言うと、女性の生き方を美しくしたいと願っています。それを実現するために肩書きを“ライフスタイリスト”とし、これから活動していきます。

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研修講師からライフスタイリストへ

―ライフスタイリストのお仕事はセミナーなども実施されるのでしょうか?

セミナーがおそらく軸にはなっていきます。自分らしく生きるというベーシックを私が担当して、その人がより輝くための方向性というのは様々なので、ネットワークを活かしてその人に合うプログラムを追加していきます。一人でできることは限られていますが、それぞれの専門の方たちとコラボレーションしていけたらと思っています。

こういうことができたらいいなと考えていたところ驚くほどいいタイミングで、本当に素晴らしい方々が集まってきてくれています。ぜひ多くの女性の人生を輝かせるお手伝いができたらと思っています。

―充実したプログラムはファッション業界にとっても大きなサポートになりそうですね。今日はどうもありがとうございました。

 

幼い頃から話すことが好きだったという北條さん。「話す」「伝える」ということを軸に、新たな資格や知識、経験を身につけ、スキルを磨く努力を続けた結果が、現在の充実したお仕事ぶりにつながっているのだということがよくわかりました。

これからも多くの人々を魅了し、ファッション業界をはじめ沢山の人が一歩前進するための気づきの場を提供してくれることでしょう。

次回、北條さんによる仕事や面接に勝つための連載、「マナー講座」をお届けします、お楽しみに!

今回お話を伺った方

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北條 久美子さん

東京外国語大学を卒業。ウェディング司会、研修講師を経て2007年エイベックスグループホールディングス株式会社人事部にて教育担当に。2010年キャリアカウンセラー資格を取得し独立。企業や大学などで年間約2500人のマナーやコミュニケーション、キャリアのセミナーを行う。一方で、ジュエリーブランド「BRILLIANCE+」を運営する株式会社キューの執行役員を務める。

今回お話を伺った北條久美子さんの著書

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『ビジネスマナーの解剖図鑑〜コミュニケーション能力を高めて愛され社会人になる』
仕事がデキる人の共通点はマナーにあった!挨拶の仕方、ビジネス敬語、名刺交換、電話対応、メールの書き方など社会人初歩のマナー知識から、会議の運営、各種イベントの取り仕切り、接待、雑談力を高める方法まで。ビジネスマナーの基本を完全図解。

 

 

 

 

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