大阪文化服装学院を卒業後、アパレル企業の販売職に就職。メインの仕事に勤めながら休日を使って様々なブランドでポップアップショップの販売スタッフを務めるようになった新谷昌美さん。現在はフリーランスとして独立し、アパレル転職アドバイザーとして転職支援の仕事もされています。二足の草鞋ならぬ何足もの草鞋を履いてアパレル業界を生きる新谷さんにお話を伺いました。後編はアパレル業界における転職の心得について教えていただきました。
――フリーランスならでの大変さはありますか？
自分でうまくコントロールしないといけないところですね。連勤が続く時は休みをどうやって作るか、逆に急にまとまった空き時間ができた時にはどんな風にその時間を使うのかを考えないといけない。収入が不安定になることへの不安はもちろんありますが、やりがいの方が上回りますね。いつでもチャレンジができる、お声がかかった時にすぐに「YES」と言える環境というのが私にはありがたくて。販売の仕事は今でも大好きで、ずっと続けていきたいと思っていますが、この先ずっと販売スタッフとしてのスキルだけでいいのかな？という不安はずっとありました。それがフリーランスになったことで、転職アドバイザーのような人材業など、これまでとは違う職種の仕事もできるようになりました。
――転職アドバイザーとして働くようになったきっかけは？
毎週火曜日にだけオープンする”FashionTuesday”というアパレル関係者限定のBARで、株式会社フォーピープルの代表・田中さんに「転職アドバイザーとして働いてほしい」とお誘いをいただきました。何をやればいいのか、どう進めればいいかわからなくて、最初はお断りしたんです。販売以外の仕事をしたことがなく、自信がなくて不安でした。でも田中さんは半年もの間、ずっと待っていてくださって。こんなに言ってくださるなら一度やってみるか、と挑戦してみることに。やってみると、相談者さんからの就職報告や、仕事が楽しいというご連絡をいただく度に「人の人生を変える仕事に携われているんだ」とやりがいを感じました。大変な部分はたくさんありますが、武器をもうひとつ手に入れたような気持ちです。
――新谷さんのようなバイタリティはどうしたら身に付くのでしょうか。
やっぱりチャレンジしていく姿勢とフットワークの軽さが大切だと思います。あとは、自分がやってきたことをSNSなどにポートフォリオとして残すことでしょうか。そうすることで見てくれた人が「この経験をしているんだったらお願いしてみよう」と声をかけてくれる。そして、声をかけていただいたことに対して120％の成果が出るように全力で向き合っていく。そうすると自然と結果がついてくると思います。つまりは、「全力投球！」ですね！（笑）。
――アパレル業界ならではの転職のコツを教えてください。
ブランドへの理解、自己理解、TPOの３つのバランスが大切です。第一に、店舗に足を運ぶなど企業のリサーチをしっかりとすること。そうすることで、企業に合わせた服装ができますよね。次に、しっかりと自分を理解していれば、企業に合わせつつも個性を演出することができます。そしてTPO。おしゃれさ、個性の中にフォーマルなきちんと感を入れる必要があります。その企業に「どれだけ染まれるか」が試される一方で、染まりすぎてもいけない、というバランスですね。面接では自分から少なくとも３つは質問をしてみてください。興味がありますという意思表示にもなりますし、自分の考えを伝えることができる場でもあるので。
――自分に合った職種や職場を選ぶには？
とにかく経験を積むこと、視野を広げることですね。視野を広げるためには経験を積む必要があります。誰かに相談したり、自分の足でリサーチに出向いたり。たくさん失敗をして、違う世界も見た方が自分の軸がしっかりしてくるんじゃないかなと思います。自分が苦手なことややりたくないことはなんなのか、一回やってみないとわからないので、まずは行動を起こす！ですね。
――今後の展望をお聞かせください。
フリーランスとして販売スタッフは続けていきたいです。それを主軸にして結果を残す！（笑）。販売スタッフという自分の好きなことを続けていくために、自分を高めて、「新谷さんに入ってもらってよかった」と思っていただきたいし、求められる人材になりたいですね。あとは、今シルバーアクセサリーブランドにもディレクターとして関わらせてもらっているので、いつか自分のブランドを持ちたいという夢もあります！
新谷 昌美 にいや・まさみ
大阪文化服装学院のファッションビジネス学科を卒業後、某アパレル企業に販売職で就職。
会社が倒産し、某アパレルブランドのポップアップのアルバイトスタッフを経験。
その後、アッシュ・ペー・フランス株式会社に就職・販売職を務め、
現在はフリーランスとして様々なブランドの販売スタッフ、ディレクション、展示会運営、SNS運用など幅広く手掛けながら、株式会社フォーピープルで転職アドバイザーとしても活躍している。
TEXT：鷲野恭子（ヴエロ）
PHOTO：大久保啓二
