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アパレル業界のさまざまな職種を経験したデザイナー浦川輝美 (Arobe)が語る「アパレル業界で働くということ」【前編】

2018年にドレスを中心としたブランド「Arobe」を立ち上げ、デザイナー・ディレクターを務める浦川輝美さん。これまでに販売員、店長、MD、セールスなど、アパレル業界のさまざまな職種を経験された浦川さんに、アパレル業界で働くということについてお話を伺いました。前編は浦川さんのキャリアについて、特に販売員時代についてのお話です。


接客は「ヒアリング」と「自己開示」をセットで

――ファッションに目覚めたきっかけは?

小さい頃から絵画教室に通っていて、絵を描くのが得意でした。中でもアニメのキャラクターのドレスなど、服の絵を描くのが好きだったのですが、大学生になり古着を買うようになって本格的にファッションに目覚めました。

――服飾系の学校には進学されなかったのですね。

姉が受験勉強をがんばっていた影響もあり、勉強はちゃんとしないといけないと思い、幅広く学べそうな地元・大阪の四年制大学の商学部に進学しました。当時は堀江エリアにどんどんインテリアとアパレルショップを合わせたおしゃれな店がオープンしていたので、調べてみたくなり『出会いが街をつくる―家具の街がファッションによって再興した大阪市堀江を事例として―』というテーマで卒業論文を書きました。服が好きなこと、飲食の接客アルバイトを通して人と関わることが好きだと気付いたこともあり、アパレルの販売員を目指そうと決めました。

――販売員として売上成績がトップだったと伺っています。そのコツは?

担当していたブランドが関西に上陸し始めたばかりだったこともあってか、売上成績は好調でした。販売員は、商品をおすすめしたり、ブランドの世界観をお客様に伝えたりすることが主なお仕事ですが、リピーターになっていただくことが大切だと思います。当時は無意識でしたが、お客様のお話を聞く際にはセットで自分のこともお話するようにしていたので、印象に残りやすかったのかもしれませんね。常連のお客様に、他社ブランドで購入検討中のアイテムについて相談をされたこともありました(笑)。既存のお客様は先輩販売員の方が担当しているので、新人の頃はとにかく新規のお客様をリピーターにするしかありませんでした。地道に丁寧な接客を心がけ、半年ほどたった頃に、関西エリアの新人賞をいただきました。

お客様の前でキャリアは関係ない

――その後、店長になられました。店長にはどのようなスキルが必要ですか?

やっぱり売り上げをあげられているかどうかは大切ですね。加えて人を育成したりシフトを組んだりとマネジメントスキルが求められます。スタッフ全員が自分と同じモチベーションで働いているわけではないので、人によって指導内容やレベルを変える必要もあります。お客様からしたらスタッフのキャリアは関係ないので、スタッフには服に対する知識が少なかったとしても、最低限の接客のマナーやお客様に信頼していただける接客を心がけるように伝えていました。

――適切な指導方針はどのように見極めていらっしゃいましたか。

負けず嫌いな人や、先輩の仕事を見て盗める人には自分の接客に対する考え方を教えていました。逆にあまり周囲に目を向けられていない人には、「まずはここから頑張っていこうね」と目標を設定し、フィードバックをしながら少しずつ成長できるように意識していました。

「売る」ということは「信頼してもらう」ということ

――浦川さんご自身は新人時代にどのような教育を受けられましたか?

温かくも厳しい教育をしていただきました(笑)。落ち込むことも多かったですが、お客様の前では笑顔でいなければ!という想いが強かったですし、逆に接客している間はお客様のことだけ考えていればいいので、ひたすら接客を頑張りました!(笑)。どんな仕事でもそうですけど、結果だけを追い求めるとしんどくなっちゃうんですよね。だからちゃんと過程も大事にした方がいいと思っていて。私の場合は、お客様との関係をまず大切にして、結果(売上)はあとからついてくると思っていました。売上だけを目指すというよりも、まず目の前のお客様を楽しませる、そして自分自身も仕事を楽しむことを大切にしていました。

――アパレル販売員になりたい人へアドバイスするとしたら。

アパレル販売員って綺麗な服を着てキラキラしているイメージでしたが、実際は地道な努力が必要なお仕事でした。販売員として店頭に立つ以上、自分はブランドの顔であり、ブランドを背負って立っているという意識が必要です。接客をしたお客様にご購入いただくということは、自分を信頼してもらうということ。自分を磨き、セルフブランディングをする必要があるんですよね。たまたま扱っているものが服なだけで、例えばこれが違うものだったとしても販売員なら売ってみせないといけない。もしもアパレル販売員のお仕事が合わなくて、別の職種に転職したとしてもきっと経験が役に立つと思います。日々大変なことは多いですが、人として成長できる仕事ですね。

――セルフブランディングをするには自己理解を深めることが大切だと思います。どのようにされましたか?

私も自分自身のことはまったく見えていませんでした。職場の先輩からの教えや、自営業を営む父に相談に乗ってもらっていたことも大きいですね。父はアパレル販売員がどういう仕事か分かっていなかったんですが、私が店長になった時に「予算があって、スタッフのシフトを管理して、イベントを企画して、取引先とのやりとりをして、人材を育成して…というのは、小さいお店の経営者と同じやな」と言われて、本当にそうだなと思いました。自分の勤務時間の間ただ立っておけばいい、という考えではなくて、限られた時間内で自分にでなにができるのかを考えて能動的に動くことが大切なんだと改めて気づかされましたね。


浦川 輝美 うらかわ・てるみ

大学卒業後、ファッションへの興味からアパレルメーカーに入社し、
国内ブランドの販売スタッフ・店長を経験。
その後、MD職にてブランドの商品企画から販売計画案などに携わる。
2015年 styles株式会社の創業とともに入社。
国内デザイナーズブランドのセールスを経験後、
2017年 ドレスを中心としたブランド『Arobe』を立ち上げ、
ディレクター兼デザイナーを務める。

https://arobe.jp/

TEXT:鷲野恭子(ヴエロ)

PHOTO:永西永実

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