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【連載コラム】クリエイティブディレクター成羽 学の「近道より寄り道が楽しい」論【前編】

ソルト&ペッパーメディアスのクリエイティブディレクター・成羽 学(ナリハ マナブ)です。繊維系専門誌と株式会社INFASパブリケーションズのWWD-JAPAN編集部を経て、現在はソルト&ペッパーメディアスでクリエイティブディレクターとして編集企画制作、PRコミュニケーション戦略立案、プレスなどのお仕事をしながら、産学連携コーディネーター、講師として学生の皆さんと関わっています。今回のコラムでは、様々な分野でファッションに関わる私のキャリアとトレンド、そしてアパレル業界を目指す方へ伝えたいことを綴っていこうと思います。

東京コレクションの衝撃でファッションに目覚める

私のファッションの目覚めは10代後半、ちょうど高校を卒業した頃です。ずっと野球をやっていて、ファッションには全く興味がありませんでした。卒業後、書店でアルバイトをすることになり、雑誌担当に。そこで雑誌の楽しさを知ると同時に、ファッションには、作ったり着たりするだけでなく「伝える」という関わり方もあるのだと知りました。そして、服飾系の専門学校に入学し、「伝える」「届ける」という観点で学ぶことに。当時は「DCブーム」の全盛期で、ある日東京コレクションを観に行ったことで、本格的にファッションに目覚めることになります。“DCブランドの御三家”である「ISSEY MIYAKE」「COMME des GARÇONS」「Yohji Yamamoto」の所謂「黒の衝撃」と呼ばれるコレクションを生で観て、言葉にできないほどの衝撃を受けました。「これがファッションなんだ!エンターテインメントなんだ!」と。

これを見て「服を作りたい!」と思った同期も多く、もちろん僕もそういう気持ちになったものの、センスや熱意がずば抜けたデザイナーが多い時代で、自分に作り手になるだけの熱意はないとも思いました。それ以上に会場のライトだったり、舞台演出、音楽、独特の雰囲気に圧倒されたことを覚えています。漠然とではありますが、いつかこんなコレクションを取材して、この衝撃を伝えたいと思いました。私が「COMME des GARCONS」の服を着られるようになったのは30歳を過ぎてからで、コレクションを観た日から10年以上の月日が経っていました。ですが私にとって、あの時の経験は、それほどの衝撃でした。

COMME des GARÇONS 1997年SSコレクション「Body Meets Dress, Dress Meets Body」

アパレル業界の「川上」から「川中」へ

25歳の頃、繊維の専門誌で新聞記者の求人を見かけ、右も左もわからない中、資格も持たず飛び込みました。約6年間働きましたが、毎日が新鮮で刺激的で本当に楽しかったです。この時は主にアパレルの「川上」と呼ばれるような素材を扱う工場だったり、商社だったりと、洋服が商品として売られる前段階のお仕事をされている方に取材をしていました。夏にはタンクトップ1枚で汗だくになりながらモノづくりをする方々に取材をすることで、「服ってこうしてできるんだ」と服の見方が変わりましたし、夢中になっていきました。本当に沢山のことを学ばせていただきましたね。

その後、よく取材会などで顔を合わせ、交流があったWWD-JAPANの方々から「うちに来ないか」とお誘いいただいたことがきっかけで、WWD-JAPANに転職をすることに。それまで「川上」から見ていたファッションを、デザイナーやメーカー、ブランドなど「川中」の方に取材をすることで、また服への見方が変わりました。今まで「点」で学んできたことが「線」になって繋がるような感覚でしたね。もしかすると、他にも仕事の選択肢はあったかもしれませんが、今の仕事が天職だと思っています。母曰く、小さい頃からペンと紙を持って色々な人に話を聞きに行っていたそうで、今私がこの仕事をしているのも納得だと(笑)。

多様性は学生が教えてくれる

現在はソルト&ペッパーメディアスでクリエイティブディレクターをしながら講師として様々な学校でファッションについて講義をしています。産学連携の糸口になれたらと、アパレル業界を目指す高校生と古着屋がコラボしたファッションショーを開催し、体験として古着について考えてもらう機会を作ったり。学生たちにはジェンダーについて、ルッキズムについて、サステナブルについて、様々な流れにまずは興味をもってほしいと伝えていますが、一方で、そういったことが「トレンドの言葉」として一人歩きしている部分もあるかもしれない、と感じています。アパレル業界の今後を担う若者と、実際のアパレル業界の見えている世界に乖離があるんじゃないか、と。私はメディアよりも、接する学生たちから多様性を学んでいる部分が大きい。本当に色々な子がいて、男の子がメイクをするのもスカートを履くのも普通なんだと、リアルなノンカテゴリーとして見せてくれるんです。アパレル業界が考えなければいけないことの一つに、確実に「人材」があります。そんな夢ある人材を確保するためにも、アパレル業界には今後どのように多様化をリアルに落とし込んでいくのか、そのアイディアに期待しています。

次回はファッショントレンドとアパレル業界を目指す方へ伝えたいことをお話しします!お楽しみに!


コラム執筆者

クリエイティブディレクター|成羽 学さん

兵庫県西宮市出身。

繊維系専門誌を経て、「流行通信」「WWD-JAPAN」を手掛ける株式会社INFASパブリケーションズへ。

現在はソルト&ペッパーメディアスでクリエイティブディレクターを務めながら

教育機関での講師やプロモーション、産学連携プロジェクトなど幅広く手掛ける。

https://www.instagram.com/manabunariha/

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