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よく耳にする「コラボ」と「別注」の違いって?

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ファッション好きの間でローンチされるたびに話題となるのが、コラボモデルや別注アイテム。現在ではハイブランドからファストファッションブランドまで有名デザイナーや毛色の異なるブランドとコラボしたり、大手セレクトショップを中心に別注でオーダーしたアイテムも多数販売されています。今や「コラボ」と「別注」はファッション界で欠かせない要素ですが、そもそもこの2つの違いをご存知でしょうか。今回はコラボと別注の違いをはじめ、それぞれの特徴を詳しく解説します。

【目次】
そもそもコラボとは
コラボと別注は何が違う?
ダブルネームの意味合いは?
コラボのメリット
別注のメリット
判別が難しいこともある

そもそもコラボとは

「コラボ」と略すことが多いコラボレーション。異なる立場の人による共同作業や成果物を指して使う言葉で、ファッション界では2003年にルイ・ヴィトンが手がけた現代アーティスト、村上隆氏とのコラボがきっかけで大きく注目されるようになりました。今から20年前に発売されたヴィトン×村上隆のシリーズは、当時ヴィトンを率いていたマーク・ジェイコブズのアイデアから実現。ヴィトンのイメージを一新するポップな色使いやデザインは世界中に多くのファンを生みました。これを皮切りにハイブランドでもコラボが進み、ファストファッション界にもその波が押し寄せたのです。

ユニクロがジル・サンダーやマルニとコラボするなど、ファストファッションブランドがハイファッション系デザイナーと協業するのも今や当たり前に。また、昨今ではルイ・ヴィトン×シュプリームや、オメガ×スウォッチなど、ラグジュアリーとストリートそれぞれの分野で高い人気を誇る両ブランドのコラボも記憶に新しいところ。グッチ×アディダスのスポーツブランドのコラボも話題となりました。これらはブランドの相乗効果と数量限定販売のため発売前から大きな反響を呼び、即完売後は定価の何倍もの額で取引されるマニア垂涎のアイテムとなっています。


コラボと別注は何が違う?

「別注」はコラボと並んでよく使われるワードですが、コラボが協業であるのに対し、別注は特別注文を指す言葉です。別注とはすでにあるものに対し、色や形、素材などを特別に注文することで、例えばニットブランドに通常は販売していないカラーをオーダーすれば別注にあたります。特に幅広いブランドを扱う大手セレクトショップに別注が多い印象ですが、この背景には各ショップが定番品をより顧客層に好まれる色や素材で作ることができるだけでなく、他のセレクトショップとの差別化を図り、付加価値を付ける意味もあるでしょう。基本的には商品イメージが確立されているメーカーやブランドに特別な色や素材での商品製作を依頼するものであり、老舗ブランドやメーカーに別注をかける、というパターンが多く見られます。


ダブルネームの意味合いは?

「コラボ」と「別注」に対し、最近はさほど使われなくなったのが「ダブルネーム」ではないでしょうか。以前は主にストリート系のファッションシーンで多用されていた印象ですが、今はコラボという言葉に吸収された感が強いですね。ダブルネームは2つのブランド(中には3ブランドでトリプルネームというのも)が共同でひとつの製品を作ることなので、コラボとほぼ同義語です。しかしコラボが技術力×デザインの融合など、各社が持つ得意分野を活かして協業するのに対し、ダブルネームはスペシャルバージョンというような意味合いが強く、その言葉通りタグやロゴに2つのブランド名が入るため、ブランドのファンにとっては希少価値の高い商品という位置付けになります。


コラボのメリット

現在あらゆるジャンルでコラボがブームですが、人気になるにはしっかりとした理由があります。まず話題性。ファストファッションが有名デザイナーとコラボする意外性はもちろんのこと、通常ならば手の届かないブランドがデザインしたものを安価で購入できるのは大きな魅力でしょう。次に新規顧客の開拓。コラボがきっかけでそのブランドを知りファンになる人もおり、ブランドの認知度を高めることができます。さらに、ブランドイメージの刷新も重要なメリット。先述したルイ・ヴィトンを例に挙げるなら、村上隆とのコラボで若い世代にアピールし、シュプリームとのコラボではストリートファッション愛好家の心も掴みました。伝統や高級感はそのままに、若い世代に注目されているアーティストやブランドと協業することで、ブランド自体のイメージを刷新し若返らせることに成功したといえます。


別注のメリット

別注はいわばカスタマイズなので、セレクトショップが様々なブランドに別注することで、ショップのカラーを出せることに加え、同じ既製品を扱う多店舗との差別化、さらにここでしか買えないというリミテッド感を出せるのも大きなメリットのひとつです。また、私たちのようないちカスタマーもコラボはできなくとも別注することはできます。エルメスでは顧客が素材や色、レコードバッグやペット用キャリーなどを別注し、その制作過程や品々が2019年に六本木ヒルズで開催された「夢のかたち Hermes Bespoke Objects」という展覧会で紹介されたこともありました。もちろん個人でラグジュアリーブランドに別注するにはそれなりの予算が必要ですが、別注することによって店の顧客のニーズを汲んだ色や素材だったり、日本人に合ったサイズやシルエットだったりに作り替えてもらえるのは別注ならではのメリットと言えるでしょう。


判別が難しいこともある

コラボと別注の違いを解説してきましたが、実のところ、この両者の線引きはとても曖昧です。タッグを組んだ2社が商品化まで携わるコラボに対し、生産にはタッチせずに部分的なカスタマイズを注文する別注。こう書くと明確に違いはあるものの、コートのシルエット変更を特別注文した場合などは、コートの形そのものが変わってしまうため「既製品のカスタマイズ」というよりはコラボに近いとも言えるかもしれません。実情は別注をコラボと謳い販売するケースも多々あり、ファッションの現場ではどこまでがコラボでどこからが別注か、という判然たるラインはないに等しいもの。しかしコラボも別注も、それぞれのブランドやショップがより良いものを求めた結果として製品化されたものであることは間違いありません。

TEXT:横田愛子

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