アパレルショップの販売員は、皆一様にして「ファッションが好き」という共通項を持って職に就き、仕事に臨んでいるかと思われます。しかし、働き続ける中でモチベーションを持続させるには、それに加えて業務における目標設定が必要となってきます。目標へ向かうための努力は自分自身を成長させ、ひいては所属する会社全体の利益にも繋がってきます。本記事では販売員がステップアップを目指す上で欠かせない目標設定のあり方について紹介します。
【目次】
・まずは目的と目標の違いを解説
・目標を立てるメリット
・目標を立てるコツはある?
・具体的な目標設定の例
・目標が達成できないときは
まずは目的と目標の違いを解説
「目的」と「目標」は同じ意味で考えられがちですが本質は大きく異なります。目的とは「◯年後にこのような事業をしたい」「社会に貢献したい」というような、自身が最終的に到達したい状況を指し、目標とは目的を成し遂げるために設けた指標や手段を指します。目的が将来のビジョンという長期的かつ抽象的なものであるのに対し、目標は「来月はこれだけの売り上げを達成」「将来の夢に向けてこの資格を取得する」というように短期的で目指すべきものが明確となっています。「目的=ゴール」「目標=過程」と考えると、よりイメージしやすくなるでしょう。
目標を立てるメリット
業務を円滑に行う上で目標を立てることは必要不可欠とされています。将来の夢を実現させるために節目のタイミングで到達すべきことを設定し、そこに向かって仕事に打ち込むことが結果的にステップアップやモチベーションの持続に繋がっていきます。しかし、こういった目標を定めずに仕事を行うと日々、言われるがままに動くだけの状態に陥ってしまい、結果的になんのために働いているか分からなくなってしまうこともあります。アパレル業界の場合、販売員は入社2〜3年目で一通りの作業を把握し、仕事に慣れてくるため、このタイミングで方向性を見失ったり、迷いが生じることがあるかもしれません。しかし、それは裏を返せば成長に繋がるタイミング。与えられた仕事をただこなすのではなく、自身がどうなりたいか、どのように会社に貢献するかを模索し、ひとつずつ達成すれば、おのずと次に進むべき道が見えてくるでしょう。
目標を立てるコツはある?
アパレル販売員が目標を設定する場合、自分の現状を把握し、身の丈に合った内容にすることが重要です。最初から大きすぎる目標を設定してしまうと、そのために無理をして結果的に業務全体が雑になるおそれがあります。売り上げの向上など金銭的な目標は数段先のステップとして待機させ、まずは慣れたと思っている初歩的な業務=基礎を徹底的に固めていきましょう。定めた目標は定期的に見直すことが重要です。過去の目標も、どのタイミングで何を達成できたか振り返り、それを踏まえて1週間後、1ヶ月後、1年後など、短〜中期の目標を設定すれば自分が理想とする働き方を確立できるでしょう。
具体的な目標設定の例
先の項目で述べた「基礎の徹底」を考慮した場合、最初に定める目標は「服をたたむスピードを上げる」「1日◯人にDMを送る」「商品整理を誰よりも早くやる」といった、達成しやすい作業にしておきましょう。次に「今週は◯人に接客する」「売り上げ◯円を達成する」「顧客を◯人獲得する」といったように、徐々にできることを増やしていきます。これらの目標を段階的に達成すればマーケティングやマネージメントの知識も身に付くため、会社や店舗スタッフから重要な作業を任されることが増えていくでしょう。このように着実にポジションを築き上げることで最終的な目的のビジョンも具体性を帯びてきます。
目標が達成できないときは
自分の手の届く範囲内で立てた目標であっても状況によっては達成できないことがあります。しかし、その場合でも落ち込むのではなく、「設定した目標が想定よりもやや上だった」と考えるようにしましょう。そこから達成できなかった要因を考え、分析し、できることを導き出すのが次なる目標の達成に繋がります。また、目標は周囲の人に話すことで、達成に向けての取り組みをより活性化することができます。話を聞いてもらった際に自分の目標に無理がないか、また、相手はどのような目標を設定しているのかを聞いて参考にするのも良いでしょう。
TEXT:伊東孝晃