アパレル・ファッション業界の求人・転職ならFashion HR

記事一覧

『コスチュームジュエリー 美の変革者たち シャネル、スキャパレッリ、ディオール 小瀧千佐子コレクションより』

煌めくビジューと大胆なデザイン、思わず視線を奪われる華麗な輝き。いつの世も女性の心を掴んで離さないのは、時に装いの主役となるコスチュームジュエリーです。この秋、パナソニック汐留美術館で開催されるのはそんな華麗なコスチュームジュエリーにスポットを当てた展覧会。その存在感と煌めきでモードを格上げするこの輝きの世界を、少し覗いてみませんか?


400点あまりの作品が一堂に

コスチュームジュエリーとは、宝石やゴールド、プラチナといった貴金属を使わずに人造宝石などを用いて作るイミテーションジュエリーのこと。イミテーションゆえに大胆かつ自由なデザインを取り入れることができ、装飾性が高いのが特徴です。そんなコスチュームジュエリーに先鞭をつけたのが、ファッション界のピカソとも称されるデザイナー、ポール・ポワレ。20世紀初頭に脱・コルセットで女性のボディを解放したパイオニアは、コスチュームジュエリーの嚆矢となりました。その後、誰もが知る有名デザイナーであるココ・シャネルによって広く普及。宝石や貴金属といった素材を用いるファイン・ジュエリーとは一線を画し、優れたデザインや衣服との組み合わせの魅力により、パリのモード界では不可欠な存在となったのです。

当初はヨーロッパが舞台だったコスチュームジュエリーですが、その後欧州の社会情勢の悪化などにより、高い技術を持つ職人がアメリカへと渡ります。そしてアメリカでその価値が評価され、大きく花開きました。本展はコスチュームジュエリーの展開を包括的に紹介する日本で初めての展覧会として、ディオールやスキャパレッリといったオートクチュールコレクションのために生み出された作品をはじめ、ジュエリー工房の卓越した技術を凝縮したネックレスやブローチ、さらにはリーン・ヴォートランやコッポラ・エ・トッポによる独創的な逸品や、幅広い層から支持を集めたアメリカン・コスチュームジュリーを展示。これらを国内随一のコレクションから選りすぐり、400点余りの作例を通して紹介しています。

ポール・ポワレ 《夜会用マスク、ブレスレット「深海」》 制作:マドレーヌ・パニゾン、1919年、メタリックチュールにガラスビーズとクリスタルガラスで刺繍、小瀧千佐子蔵

まさにアートな輝きを間近で堪能

展覧会名に冠された「美の変革者たち」。コスチュームジュエリーが誕生する以前、ジュエリーといえばファイン・ジュエリーでした。しかしそれぞれのデザイナーが素材の自由を獲得することで生み出したかつてない美しさは、多くの人の心を惹きつけイミテーションであるジュエリーに新たな価値観を見出します。これはまさに、美の変革。その変革を牽引したのは、職人や工芸家、デザイナーたち。コスチュームジュエリーの魅力は多岐に渡りますが、独創的で斬新、さらに大胆さと繊細さを併せ持つ美しさは唯一無二です。

本展ではオートクチュールメゾンとジュエリー職人のコラボレーションによる欧州のコスチュームジュエリーに始まり、ヴェネチアンビーズを好んで用いたリタ・コッポラら、素材の扱いに長け、斬新な造形力に溢れたデザイナーによるアートピースのような作品を紹介。そして、コスチュームジュエリーの舞台はアメリカへと移ります。実は当時のヨーロッパでは、上流階級や貴族の間でのコスチュームジュエリーの評価はさほど高くありませんでした。というのも、所詮は模造宝石であるという価値観が強かったため。しかしアメリカでその価値が確固たるものとなります。そのきっかけはハリウッドの映画界で、銀幕を彩るスター女優たちが身につけた豪華なコスチュームジュエリーは一般にも広く浸透。また、コスチュームジュエリーの女王と謳われるミリアム・ハスケルの存在も大きく、彼女が手がけた芸術的な作品はスクリーンを通しアメリカ中の女性にその魅力を伝えたのです。

そしてもう一人、パリの一流ジュエラーでデザインをしていたアルフレッド・フィリップの存在も欠かせません。アルフレッド・フィリップはアメリカを代表するコスチュームジュエリーブランド「トリファリ」でその手腕を遺憾無く発揮し、エレガントかつ精巧な作りの作品を多数発表。本展ではミリアム・ハスケルやアルフレッド・フィリップの作品も展示されています。

【左】スキャパレッリ《クリップ「ハート」モチーフ》デザイン:ジャン・シュルンベルジェール、1938年頃、エナメル彩メタル、ラインストーン、小瀧千佐子蔵
【右】シャネル《ネックレス「ビザンチンクロス」》 制作:ロベール・ゴッサンス、1960年頃、ガラスビーズ、メタル、小瀧千佐子蔵

小瀧千佐子とは

本展で展示されているコスチュームジュエリーは、小瀧千佐子氏のコレクションから成る展覧会。小瀧氏は20世紀のヴェネチアンガラス、ヴェネチアンビーズ、そしてコスチュームジュエリーのコレクターであり研究家でもあります。また、有限会社ヴィヴァーチェの創業者でもあり、同社が運営するジュエリーとライフスタイルブランド「chisa」の総合プロデューサー。ヴェネチアンガラスやコスチュームジュエリーに魅せられた彼女のコレクションは、今回展示される卓越した技術を誇る逸品から独創的な作品まで多岐に渡ります。本展をより深く楽しむために、10月14日(土)と11月25日(土)には担当学芸員によるギャラリートークを実施するほか、パナソニック汐留美術館の開館20周年にちなみ、10月20日(金)、11月20日(月)には各日先着200名様に記念品をプレゼント。ぜひ美しく華麗、かつ大胆で独創的なコスチュームジュエリーの魅力に触れてみてはいかがでしょう。

TEXT:横田愛子


【INFORMATION】

『コスチュームジュエリー 美の変革者たち シャネル、スキャパレッリ、ディオール 小瀧千佐子コレクションより』

会場:パナソニック汐留美術館

会期:2023年10月7日(土)〜12月17日(日)

時間:10:00〜18:00。最終入館は17:30まで。

公式サイト:https://panasonic.co.jp/ew/museum/exhibition/23/231007/

Fashion HRはファッション・アパレル業界に特化した求人情報サイトです!

FHR_top

ショップスタッフや店長などの販売職から、PR、MD、VMD、営業、総務/経理、秘書、ロジスティックスなどのバックオフィス職まで、外資系ラグジュアリーブランドから国内有名ブランドまで求人情報を多数掲載中。早速、会員登録をして求人をチェック!

   
無料会員登録する

記事一覧