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いまさら聞けないジュエリーの基礎知識【後編】

普段、オシャレの一つとして身に着けているジュエリー。コーディネートを演出する上で欠かせないアイテムでと言えるジュエリーの知識について、前後編に分けてお届けしている『いまさら聞けないジュエリーの基礎知識』。前編ではアクセサリーとジュエリーの違いやリング・ネックレスの名称などについて解説しましたが、後編ではジュエリーに焦点を定め、代表的な天然石について紹介します。また、海の宝石として名高い真珠についても種類や特徴を解説していきます。

【目次】
貴石と半貴石
4大貴石
半貴石
真珠の種類

貴石と半貴石

ジュエリーを紹介する際、天然宝石の価値を示すものとして「貴石(きせき)」「半貴石(はんきせき)」という言葉が使用されます。「貴石」「半貴石」は明確な定義はなく、国や人によって判断基準もさまざまです。しかし、宝飾品の世界で浸透しているおおまかな定義はあり、市場取引を行う際の目安とされています。

まず、宝石の定義は色や輝き、透明感など見た目の美しさ、長く愛用できる耐久性、産出量が少ないという希少性を兼ね備えていることが条件。その中でも財宝・宝飾として歴史的に長く評価され、鉱物の硬さを示すモース硬度10~1の段階のうち、7以上あるものが貴石とされています。このモース硬度7とは、世界各地で算出されるクォーツを基準にしたもの。貴石の中でも世界共通で価値が認められているダイヤモンド・ルビー・サファイヤ・エメラルドが「4大貴石」と呼ばれ、オニキス・タイガーアイ・ラピスラズリ・ターコイズなどが「半貴石」と呼ばれています。4大貴石にさらに1つ種類を加えて5大とする場合、定義の幅は大きく広がり、翡翠やオパール、アレキサンドライト、パライバトルマリンなどが名を連ねる場合があります。


4大貴石

・ダイヤモンド モース硬度10

すべての宝石の中でダントツの人気と知名度を誇るダイヤモンド。ロシアやアフリカ大陸に鉱山がありますが採掘の手間や加工にコストがかることから価格も非常に高価なものとなっています。実際に採掘されたダイヤモンドの中で宝石に加工できるのは全体の10%程度といわれています。モース硬度10で他の鉱石よりも圧倒的に硬いことが特徴ですが、突発的な衝撃で割れることもあるため加工の際には細心の注意が必要。近年では色がついたカラーダイヤモンドも人気です。天然のカラーダイヤモンドは生成途中に不純物が混じり、炭素原子に影響を与えることで発色します。人工のカラーダイヤモンドは放射線や高温で圧力を加える処理によって生み出されます。

・ルビー モース硬度9

宝飾品としてダイヤモンドよりも古い歴史を持つルビーは、太古から人々を魅了してきました。鮮やかな赤い色は、酸化アルミニウムが結晶化した鉱物・コランダムにクロムが含まれることで生成されたもの。透明度が高く内包物の少ないものが高価になり、クロムの含有率が高すぎると黒ずんで価値が下がってしまいます。赤い色が血液や健康、情熱を示すと捉えられ、パワーストーンの定番となっています。古代ギリシャでは兵士が戦いに勝つためのお守りとして着用し、粉状にして薬として服用していたという記録も残されています。モース硬度はダイヤモンドに次ぐ9で貴石の中でも非常に硬い部類に入ります。

・サファイア モース硬度9

サファイヤはルビーと同じコランダムをもとに生成される宝石です。鉄とチタンが含まれることで青く発色し、基本的に赤色以外のコランダムはすべてサファイヤと呼ばれています。透明感と色の濃さの高いものが高価とされ、ほのかに青紫がかったコーンフラワーブルーのサファイヤは最高級とされています。ルビーと同じく古代より神聖な石として崇められ、歴代のローマ法王も身に着けていたといわれています。スリランカやインド、ミャンマーが主な産地とされ、特にインドで採掘されるブルーサファイヤは高品質。結婚してから23回目の記念日を青球婚式、45回目をサファイア婚式、65回目をブルースターサファイア婚式と呼び、夫婦でサファイヤを送り合う習慣もあります。

・エメラルド モース硬度7.5~8

古代エジプトの女王・クレオパトラをも魅了したといわれるエメラルドは、紀元前1700年代にはすでに採掘が始まっていたといわれています。インカ帝国で採掘される高品質なエメラルドをスペイン人が貴金属に交換したことから欧州やアジアの王族にも普及していきました。エメラルドはベリルという鉱石にバナジウムや酸化クロムが含まれることで美しい緑を発色します。天然のエメラルドには生成過程でインクルージョンと呼ばれる内包物が多く含まれ、多くの場合、その痕跡を隠すため樹脂やオイルに漬け込ませる処理が施されます。エメラルドは「愛」「幸運」「幸福」などの宝石言葉を持ち、アレキサンダー大王は戦いの際、必勝祈願として大粒のエメラルドを必ず身につけていたといわれています。


半貴石

・オニキス モース硬度6.5~7

艷やかな黒い光沢が特徴のオニキスは、メノウという鉱物の一種です。もともとはメノウの中でも白い平行線の模様が入ったものをオニキスと呼んでいましたが、現在では黒一色のものを指すことが多くなっています。黒以外にも色のバリエーションがあり、赤茶と白のサードオニキスは古代ローマでたいへん人気があったといわれています。世界中のいたるところで採掘され、特にブラジルやウルグアイなど中南米が主な産地。モース硬度が6.5〜7で衝撃に弱いため、取り扱いに注意しましょう。

・タイガーアイ モース硬度6.5~7

タイガーアイは文字通り、虎目の模様が浮かんだ天然石で、石を動かすと光の線が移動するキャッツアイ効果(シャトヤンシー効果)を見られるのが特徴です。この模様は角閃石という鉱物に含まれるクロシドライト(青石綿)の鉄分が酸化することで黄色く変化し、生み出されるもの。洞察力や決断力の向上、仕事運や金運のサポートに効果があるとされ、パワーストーンとして着用する人も多く見られます。主な産地は南アフリカ・中国・オーストラリアなどで、南アフリカで採掘されるタイガーアイは非常に質が高いことで知られています。

・ラピスラズリ モース硬度5~6

和名で「瑠璃」と呼ぶ深い青色のキレイな宝石ラピスラズリ。紀元前から世界中で珍重され、聖石として崇められていた歴史もあります。エジプトでは黄金と並ぶほどの価値があるとされ、あのツタンカーメンの黄金のマスク(眼の周囲と眉)にも使用されています。青金石(ラズライト)を主成分にさまざまな鉱物の集合体で成り立っているため石のニュアンスがさまざまで、均一な濃い青色のラピスラズリが時に価値が高いとされています。モース硬度が5~6と傷がつきやすいので注意が必要です。

・ターコイズ モース硬度5~6

トルコ石という別名を持つターコイズはリン酸塩鉱物の鉱石で、水に作用して銅を含むと青色に、鉄を含むと緑色に発色します。太古から「神が宿る石」と崇拝され、古代エジプトや中東、開拓以前のアメリカで宝飾品として愛用されてきました。パワーストーンとしての人気が高く、新たな決断や心の平静が必要な際に効果があるといわれています。モース硬度が5〜6と低いため天然の状態でジュエリーにできるものが少なく、市場にあるターコイズは大半が補強のための加工が施されています。


真珠の種類

・アコヤ真珠(和珠)

アコヤ貝から生まれる真珠で本真珠とも呼ばれています。真珠の代表格ともいわれ、きめ細かく上品な輝きと真円の形状が特徴。生産が難しく、養殖しても宝石に使用できるのは全体の約3割程度なのだとか。大きさは6〜8mm程度で9mmを越えるものは希少で価格も高額になってきます。近年は海外でも養殖されていますが、品質の面では日本産が圧倒的に高く評価されています。

・南洋珠(南洋白蝶真珠・タヒチ黒蝶真珠)

南洋真珠はオーストラリアなど南半球の温暖な海で取れる真珠です。大きさは9〜18mm程度で、白蝶貝から採れるものはシルバーやゴールドの光沢が特徴。厚巻きになった真珠層が放つ輝きは深みがあり、独特の高級感が漂います。黒蝶貝から採れるものは大半がタヒチ産で、日本でも石垣島や西表島で養殖が行われています。真珠層内で光が屈折し、反射することで見せる鮮やかな光沢が特徴です。仏事から披露宴まで、幅広い場面で使えるアイテムとして人気があります。また、黒蝶真珠とは違いアコヤ真珠や淡水真珠に染色の加工を施したものは黒真珠の名で市場に出回っています。

・淡水真珠

イケチョウガイやヒレイケチョウガイなど淡水生の二枚貝を母貝として養殖される真珠を淡水真珠と呼びます。本真珠の一種ですが母貝がアコヤ貝よりも大きいため、一つの貝で複数の真珠を生成することができます。形状は楕円が多く、ピンクやオレンジなどの柔らかい輝きが特徴。価格も手頃なため普段遣いのアクセサリーとして使用したい人にはおすすめです。淡水真珠の中でも特に輝きが美しく、湖で養殖されているものを湖水真珠と呼びます。1990年代から生産が盛んになり、メタリックな色味が人気を博しています。

・マベ真珠

マベ貝の内側に張り付くようにして生成される半円形の真珠をマベ真珠といいます。主な産地は台湾や香港、インドネシアなどで、日本の奄美大島で養殖されたものは品質の高さに定評があります。マベ真珠の真珠層は、真珠の中でもっとも薄い結晶で構成され、厚く重なることで鮮やかな虹色の輝きを放ちます。その美しさは、「月の雫」と形容されるアコヤ真珠に対し「太陽の光」と呼ばれるほど。形状も半円の他、オーバルやドロップ、ハートなどバリエーションが豊富です。

・アワビ真珠

アワビを母貝とする真珠で、アバロンパールという別名を持っています。海外では韓国・メキシコ・アメリカ(カリフォルニア)、日本では宮崎県の女川町、長崎県の小値賀町が産地とされ、養殖はニュージーランドでのみ行われています。色味はピーコックグリーンがメインで、日本産やメキシコ産は淡くまろやか、アメリカ産やニュージーランド産は深みがあるなど、生産地によって違いが見られます。希少価値の高さと神秘的なカラーで人気が高く、ニュージーランドのマオリ族の間では古来より「海底に隠された宝石」と呼ばれていました。

知れば知るほど奥が深いジュエリーの世界。ファッションとうまく組み合わせればそれぞれの魅力をもっと引き出すことができます。ジュエリーの知識を深めることでワンランク上のコーディネート提案ができるようになるはずです。

TEXT:伊東孝晃

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