特別展『Perfume COSTUME MUSEUM』

世界を舞台に第一線で活躍を続けている3人組ユニット、Perfume。彼女たちの衣装に焦点を当てた史上初の大規模衣装展『Perfume COSTUME MUSEUM』が9月9日(土)から11日26日(日)にかけて、兵庫県立美術館で開催されます。

Perfume といえば、2000年に広島で結成され、2005年にシングル「リニアモーターガール」でメジャーデビュー。2007年にシングル「ポリリズム」のブレイクで独自の楽曲やダンスなどで多方面から評価を獲得し、これまで数多くのヒット曲を世に送り出してきました。そんな彼女たちとたくさんの挑戦や喜びをともにしてきたのが、美しく独創的な衣装の数々です。Perfumeの表現を形作る重要な要素として、ステージ演出やMVの世界観に基づいてオーダーメイドで制作。あ～ちゃん、かしゆか、のっち、それぞれに合わせた個性的な衣装は、ファンはもちろん、ファッション好きな人たちからも注目を集めてきました。

その衣装の数々を存分に堪能できる今回の展覧会。2020年発売の「Perfume COSTUME BOOK 2005-2020」(文化出版局)に収録された衣装をはじめ、さらにその後に制作された、楽曲、ライブ、TV出演時の衣装約170種類を展示。メジャーデビュー以降の衣装を時系列で紹介するなど、Perfumeの魅力と歴史を衣装を通じて辿る総合的な内容になっています。

第1章近未来型の挑戦者

『Perfume COSTUME BOOK 2005-2020』より「Dream Fighter」2008年　©文化出版局

『Perfume COSTUME BOOK 2005-2020』より「NIGHT FLIGHT」2009年　©文化出版局

『第1章近未来型の挑戦者』では、2005年のメジャーデビューから2011年までの衣装を紹介。テクノポップユニットとしてデビューし、近未来感を表現するオリジナル衣装でデビューを果たしたPerfumeですが、当時は既製服をベースとした衣装が多数でした。その中でスタイリストの内澤研は、セレクトやアレンジで3人それぞれの魅力を引き出しています。この時期、あ～ちゃんは膝丈、かしゆかはミニ丈、のっちはパンツスタイルという、その後のメンバーそれぞれの個性を表すデザインの基本形が提案され、それは「Dream Fighter」(2008年)の衣装などに反映されています。2010年の初の東京ドーム公演からは、スタイリストのToshio Takeda、三田真一が衣装デザインを手掛けることになり、華やかな演出の中でも大きな存在感を放つ衣装が作られました。

第2章止まらない進化

『Perfume COSTUME BOOK 2005-2020』より「LEVEL3」2013年　©文化出版局

『Perfume COSTUME BOOK 2005-2020』より「SXSW/COSMIC EXPLORER 北米ツアー」2015/16年　©文化出版局

『第2章止まらない進化』は、2012年から2015年までをピックアップ。この時期は、2012年に単独でワールドツアーを開催し、2013年には「カンヌライオンズ国際クリエイティビティ・フェスティバル」にゲストとして招待され、クリエイター集団ライゾマティクスによる最新の映像技術を使用した舞台パフォーマンスで高い評価を得ました。Perfumeの活動が世界に広がるとともに、衣装のデザインもますます進化。「LEVEL３」(2013年)や「SXSW/COSMIC EXPLORER 北米ツアー」(2015/16年)の衣装にもあるように、幾何学模様を印象的に取り入れたデザインや、折り紙から着想を得た独創性あふれる衣装が誕生しています。

第3章「未来」を超えて

『Perfume COSTUME BOOK 2005-2020』より「TOKYO GIRL」2017年　©文化出版局

『Perfume COSTUME BOOK 2005-2020』より「Future Pop」2018年　©文化出版局

『第3章「未来」を超えて』は、これまでの衣装の定型が覆されるようになった2016年以降の衣装が紹介されます。2016年の楽曲「FLASH」のMVで、これまでにないミディ丈の衣装を着用。振り付けに合わせて揺れる裾や袖はダンサーとしてのPerfumeの魅力を引き出し、以降は3人が同じシルエットに見える衣装やプリーツとドレープで有機的な曲線を表現したデザインが採用されました。展示される「TOKYO GIRL」(2017年)や「Future Pop」(2018年)などの衣装からもその変化を感じることができるでしょう。

第4章ステージに立つの

『Perfume COSTUME BOOK 2005-2020』より「Perfume 3rd Tour「JPN」」2012年　©文化出版局

『Perfume COSTUME BOOK 2005-2020』より「Perfume Anniversary 10days 2015 PPPPPPPPPP「LIVE 3:5:6:9」」　2015年　©文化出版局

『第4章ステージに立つの』では、ライブで着用されたステージ衣装を特集。最大限のパフォーマンスを発揮する3人のために、身体の可動性が確保されて動きやすく、早替えのため重ね着ができるように工夫された、演出効果と同時に機能性が追及されたステージ衣装を見ることができます。また、本章では、数多くの衣装の中から3人それぞれが選んだ思い出の衣装を紹介するコーナーも設置。メンバー曰く、各自で選んだにもかかわらずシンクロしているところもあったというだけに、どんな衣装が選ばれているのかも注目ポイントの1つです。

これらの衣装以外にも、衣装制作を手掛けるスタイリスト、ドレスメイカーの協力により、その発想源や制作過程の資料、初公開となる型紙も紹介。一部の衣装についてはハイヒールに加え、衣装に合わせて制作された帽子やヘアアクセサリーなどの小物も展示されます。

エンタテインメントの第一線で活躍を続けるPerfumeならではの衣装に加え、デザイン資料なども展示される『Perfume COSTUME MUSEUM』。ファンの視点、ファッションからの視点など、様々な視点から興味深く楽しめ、新たな発見も待つ本展は必見です。

TEXT：金子裕希