
一枚でスタイリングの印象をガラリと変えられる魔法の布、それがスカーフです。数あるファッション小物の中でも絶大なアクセントになるのはもちろん、寒い時期には首回りの防寒や、頻繁に洗えないコート類の襟汚れ防止の役割も担う優れもの。コンパクトにたためるので持ち歩きやすく、コーデに変化がつくからと旅には必ずスカーフを数枚持参するファッショニスタも少なくありません。今も昔もおしゃれ好きの首元を鮮やかに彩ってきたスカーフですが、その歴史や代表的なブランドについて今一度おさらいしてみましょう。
【目次】
・スカーフとは
・スカーフの歴史
・日本での普及の流れ
・代表的ブランド
・スカーフの巻き方
・こんなアレンジも
スカーフとは
スカーフやストール、ショールなど、首に巻く布製品は多々ありますが、それぞれ素材や形の違いで分類することができます。幅広の長方形で肩に掛けられるサイズのものをストール、ストールよりも大判で厚手素材のものをショールと呼びます。スカーフは正方形または長方形で通年使用でき、シルクなどの薄手素材がが中心。主に女性がヘッドドレスにしたり首に巻いて使用する装飾品で、88cm×88cmの正方形型がスタンダードとなっています。スカーフの中でも、エルメスが1937年に発売した「カレ」は非常に人気が高いアイテム。フランス語で正方形を意味し、エルメスの中でも正方形のスカーフ指して「カレ」と呼びます。ちなみにギネスブックに掲載されている世界一売れたスカーフもエルメスのカレで、“ブリッド・ド・ガラ”という式典用馬勒柄のもの。また、スカーフは使い方も幅広く、マフラーやストールが首や肩のみに巻くのに対し、スカーフはバッグの持ち手に巻いたり細長く折ってベルトのようにアレンジするなど、その用途の幅広さも他の巻物とは異なるところでしょう。
スカーフの歴史
今のように「スカーフ」という名前が使われ始めたのは16世紀のイギリスが始まりですが、その起源は北方民族が防寒のために首元に巻いていた布だと言われています。スカーフがイギリスに伝わった16世紀のヨーロッパでは、当初貴婦人が日除けや防寒を目的に使い、その後ルイ14世の時代には紳士貴族の首元の装飾へと進化。今のようにファッション小物としての役割を担ったのは19世紀だとされています。1930年代になるとスカーフはブルジョワジーのステイタスシンボルとなり、そこからさまざまなスカーフ使いが見られるようになりました。
日本での普及の流れ
ヨーロッパでスカーフが装飾品として定着していた1930年代の日本。その頃の日本は昭和モダンと呼ばれる和洋折衷の市民文化が開花していました。モダンガール(モガ)、モダンボーイ(モボ)と呼ばれる若者を中心に洋装文化が普及し、当時のモガの装いにもスカーフが登場しています。しかしそれ以前の1859年、養蚕業が盛んな横浜で生まれたシルクのハンカチーフが横浜港の開港とともに世界に輸出されるように。このハンカチーフを大判サイズにしたスカーフが昭和初期にヨーロッパで人気となり、一時横浜産のスカーフは世界シェアの80%を占めるまでになったのです。その当時もスカーフを頭に巻くなどのアレンジが流行しましたが、日本国内において現代のようにスカーフが浸透したのはバブル期かもしれません。海外ブランドが日本進出を果たしたのをきっかけに高級スカーフを買い求める女性が増え、バブル期の海外土産の定番といえばエルメスのスカーフという時代がありました。

代表的ブランド
エルメス
スカーフが有名なブランドは数あれど、その代表格はやはりエルメス。スカーフの図案やそれを取り巻く物語が書籍にもなり、高品質なシルクツイルと鮮やかな柄は身に纏うアートピースと言えるでしょう。実際にカレを額装してインテリアとして飾る人も多いので、普段スカーフを巻く機会が少ないのならアートとして取り入れるのもおすすめです。ちなみにカレの定番サイズは90cm四方のもので、一枚のカレを完成させるために300個分の繭の生糸を紡ぐのだそう。
エトロ
彩り豊かなペイズリー柄がブランドアイコンでもあるエトロは、緻密で美しい柄とイタリアンブランドらしい大胆で華やかな色合いのスカーフが充実。元はテキスタイルメーカーだったため図案のセンスには定評があり、素材の良さはもちろん、シックなものからフェミニンな色合いまでとカラーバリエーションが豊富。レディスのみならずメンズからも厚く支持されています。特に人気なのが大判のストールで、さまざまな素材のタイプが発表され人気を博しています。
マニプリ
スカーフは海外ブランドが優勢だと思いがちですが、日本発のブランドも負けてはいません。その中でも大きく注目を集めているのがマニプリ。ブランド創設のきっかけは、デザイナーがヨーロッパのヴィンテージスカーフコレクターだったこと。そこでヴィンテージの雰囲気と日本ならではの手仕事を融合させたマニプリを2012年に立ち上げ、以来バンダナ柄や猫モチーフなど、いつものコーディネートをブラッシュアップさせてくれるデザインを多数リリース。複数の有名セレクトショップでも取り扱われています。
スカーフの巻き方
うまく使いこなせずクローゼットで眠るスカーフを所有している人も多いでしょう。しかしスカーフの巻き方は千差万別。ある程度「型」のような定番の巻き方はあるものの、自己流にアレンジする楽しみがあるのが良いところです。そもそも美しいデザインが中心のスカーフは、対角線に合わせて三角に折り、さっと巻くだけで十分サマになるもの。定番の巻き方にはバイアス折り(対角の2つの角の先端がスカーフの中央にくるように折り、さらに両側を中心まで折り込んで細長い形にする方法)にしたスカーフをバンダナのように巻くバンダナ巻き、ネクタイと同じ結び方をするネクタイ巻き、あえて巻かずにバイアス折りにしたスカーフを首元に下げるライニングなどがありますが、重要なのはバランスです。カジュアルな装いの場合はゆるりとボリュームを持たせる巻き方を、スーツやジャケットなどかっちりとした服装にはコンパクトに巻き付けるなど、鏡の前で全身を写しながらバランスを見極めるのがポイントです。
こんなアレンジも
アイデア次第でスカーフの使い方は無限大と言っても過言ではありません。中でもおすすめなのが、難易度は高いけれど決まれば一気にオシャレに見える頭部をすっぽりと覆う巻き方。三角にしたスカーフで頭を覆い、好みの位置で結んで帽子のように仕上げます。他にも細長く折ってヘアバンドにしたり、まとめ髪のゴムで結った部分に巻き付けるのも素敵。また、身に着けなくともバッグのハンドルにリボンのように結びつければ定番バッグが華やかに様変わりするでしょう。さらには、大判の正方形スカーフの左右の端の上部を首の後ろで結び、下部を背中の後ろで結んでトップスのように着る方法だと手軽にリゾート感を演出できます。スカーフの下には無地のタンクトップなどを着て、あたかもスカーフを洋服の一部として活用すれば、服の枚数を増やさなくても着こなしのバリエーションが広がりますよ。
ファッショニスタに欠かせないスカーフは、大切に扱えば何十年も愛用できる一生もの。ぜひ自分らしいデザインを探し、日々のスタイリングに取り入れてみてくださいね。
TEXT:横田愛子









