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ブランド固有の柄、いくつ知ってる?

ブランドのイメージを浸透させる上で重要な役割を果たしているのが、生地にプリントされる柄。独創的なデザインは、さまざまなアイテムに取り入れられ、ユーザーに届くことで、その後、何年にもわたって愛される普遍的なものへと進化していきます。今回、紹介する柄の数々も、ひと目見ただけですぐにブランドを想起させるものばかり。それぞれの特徴とともに誕生の背景を探ってみましょう。

【目次】
「Yves Saint Laurent(イヴ・サンローラン)」 モンドリアン
「Marimekko(マリメッコ) ロッキ、ウニッコ
「Louis Vuitton(ルイ・ヴィトン)」 モノグラム、ダミエ
「GUCCI(グッチ)」 フローラ
「PRIMA CLASSE(プリマクラッセ)」 地図柄
「BURBERRY(バーバリー)」 バーバリーチェック

「Yves Saint Laurent(イヴ・サンローラン)」 モンドリアン

フランスの高級ブランド「イヴ・サンローラン」(現 サン ローラン) が1965年に発表したミニドレス、モンドリアン・ルックは、オランダの抽象画家ピエト・モンドリアンの描く三原色の幾何学模様をヒントに制作されたもの。キュビズムに影響を受けたモンドリアンは、前衛芸術運動の「デ・ステイル」に携わり、20世紀初期のアートシーンにおいて重要な役割を担った画家として知られています。既存の絵画技術の解体と再構築の末に単純化を追求し、線と正方形と限られた色で構成されたモンドリアンの作品は、装飾性を極限まで削ぎ落とすことにこだわっていたイヴ・サンローランの方向性と合致。現代アートとファッションをみごとに融合させたモンドリアン・ルックは、ブランドの大看板となりました。

1965年にパリで初演され、2022年6月に東京で上演されるバレエ「ノートルダム・ド・パリ」では、サン ローランが衣装を担当しており、モンドリアン・ルックも衣装として登場が予定されています。


「Marimekko(マリメッコ)」 ロッキ、ウニッコ

フィンランドを代表するアパレルメーカー「マリメッコ」は、1951年の創業以来、大胆かつカラフルな柄のプリントファブリックを制作・販売。そのデザインはテキスタイルだけでなく、キッチン用品や壁紙などにも使用され、国民の生活に広く浸透しています。

マリメッコの定番の一つとなっているロッキは、1961年にデザイナーのマイヤ・イソラと娘のクリスティーナ・イソラによって制作されました。ロッキはフィンランド語でカモメを意味し、羽を広げたかのようなウェーブ状の柄がポップな風合いを演出。おしゃれさと落ち着きを兼ね備え、タペストリーやベッドカバーなどに使用されて人気を博しています。

1964年に誕生したウニッコは、愛らしく躍動的なポピーの花柄が特徴。当時、花柄は同社の生産計画に入っていませんでしたが、デザイナーのマイヤ・イソラが渾身の作品をプレゼンテーションした結果、採用に。今やマリメッコの象徴ともいえる柄として親しまれ、2012年にはイソラの生誕100周年を記念したウニッコデザインの硬貨が発行されました。サイズ、カラーバリエーションともに豊富で、毎年、新作が発表されています。


tongpatong – stock.adobe.com

「Louis Vuitton(ルイ・ヴィトン)」 モノグラム、ダミエ

ルイ・ヴィトンのバッグや財布など、約6割ものアイテムにプリントされているモノグラムは、1896年に誕生。それまで主流の柄だったダミエが偽造商品の氾濫で生産をストップし、代替えのデザインとして考案されました。規則的に並ぶ花や星、「L」と「V」が組み合わさったマークは、日本の家紋にヒントを得て作られたもの。1867年にパリで開催された万国博覧会に日本が参加していたことで、現地では、庭園や工芸品などの美しさに魅了された人々の間で「ジャポニズム」と呼ばれるブームが巻き起こりました。新たなデザインを模索していた2代目オーナーのジョルジュ・ヴィトンもこの時に見た家紋の美しさに着目し、デザインに取り入れたと言われています。シンプルなダミエとは対照的に、当時は模様を一つずつ職人が手描きしていたことから、問題となっていた偽造商品は一気に激減。初出から100年以上が経った現代に至るまで世界中のユーザーに愛され続けています。なお、ダミエも日本の伝統的な柄である市松模様を参考にしたと言われ、ヴィトンの日本文化に対する造詣の深さを感じ取ることができます。


「GUCCI(グッチ)」 フローラ

グッチの定番ラインであるフローラは、1966年に誕生。モナコ公国の妃で、同ブランドとは縁の深いグレース・ケリーが、イタリア・ミラノの店舗でバンブーバッグを購入し、その返礼として創業者の息子、ロドルフォ・グッチが贈呈した特別な柄です。来店時、グレースはスカーフを所望していたものの理想の柄がなく、ロドルフォはすぐにイラストレーターのヴィットリオ・アッコルネロに花のデザインを発注。翌日に届けられた柄は、富裕層の間ですぐさま評判となり、現在ではグッチの象徴の一つとして浸透。43種もの季節の花々を鮮やかに描き、蝶やハチなどの昆虫とともにあしらった図案は、高貴かつモダンなテイストで、ワンピースやバッグ、財布などで効果的に使用されています。2019年には日本限定のフローラコレクションが販売されて話題に。シックにもカジュアルにも映え、ワンランク上の着こなしをさりげなく演出するには、うってつけの柄と言えるでしょう。


「PRIMA CLASSE(プリマクラッセ)」 地図柄

1990年代にイタリアで創業し、日本にもファンの多いプリマクラッセ。ブランドのイメージとして定着しているセピア色の航海地図は、デザイナーのアルヴィエロ・マルティーニが、モスクワのブラジル大使館で書庫の資料整理の仕事を行っていた際、偶然、発見した古地図に魅了され、バッグや財布の柄として使用するようになったもの。地図の絵柄はランダムに断裁されているため、製品の柄が一つとして同じにならないのが大きな特徴。素材にも革など耐久性のあるものを使用し、一点ずつ手作業で丁寧に縫製されるため、そのクオリティは、文字通りの「PRIMACLASSE(最上級)」。使い続けることで色味が変化し、ヴィンテージの風合いを醸し出すことから、幅広い年齢層に好まれています。

韓国では近年、直営店が展開され、SUPER JUNIORのウニョク、少女時代の妹分であるf(x)のメンバーなどがこぞって愛用していることからブームが再燃。日本の韓流ファンの間でも注目が集まっています。


pixarno – stock.adobe.com

「BURBERRY(バーバリー)」 バーバリーチェック

1856年にイギリスで創業したバーバリーは、探検家やパイロットの衣料に適した素材・ギャバジンを開発するなど、革新的な試みを数多く実践し、現代のファッションにも大きな影響を与えています。そんなバーバリーの発明のなかで特に有名なのが、1920年代前半に登場したバーバリーチェック。最初はレインコートの裏地として使用され、1964年の東京オリンピックで、女性選手の所有するトレンチコートの裏地に使われているのをマスコミが注目したことでブームが加速。その後、さまざまなアイテムに使用されるようになり、なかでもスカーフはブランドの代表的な商品の一つとなっています。

チェックの柄には複数の種類があり、キャメル地に黒・白・赤のラインが入った定番のノバチェックをはじめ、ハウスチェックや大胆な図柄で人気が高まっているメガチェック、シックな雰囲気のビートチェックなど、さまざまなバリエーションを展開。2018年には鮮やかなレインボーチェックを発表し、LGBTQの人々や支援団体をサポートする姿勢を表明しています。

TEXT:伊東孝晃

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