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カラフルで大胆なアフリカン・ファッションの魅力

鮮やかな色彩とエネルギッシュな絵柄で、近年、認知度を高めているアフリカン・ファッション。伝統技術を用いたアフリカン・プリントの製造工程や絵柄に込められた意味、そして、長年にわって繋がりがある日本との関係など、世界のファッションアイコンをも魅了しているブームの背景を紹介します。

【目次】
アフリカン・ファッション(プリント)とは?
アフリカン・プリントは大きく「ワックス」と「ファンシー」の2種
絵柄の種類と配色
アフリカン・プリントと京都の意外な関係
アフリカン・プリントを扱うブランド

アフリカン・ファッション(プリント)とは?

カラフルで躍動的な絵柄が目を引くアフリカンファッション。1970年代にはエスニックなどと併せてヒッピー文化に取り入れられてきましたが、近年ではモードの世界で注目が高まり、2016年のパリコレクションではヴァレンチノが、アフリカをテーマにしたコレクションを発表。「Vogue」をはじめとしたファッション誌もその潮流を後押しし、トップモデルたちがアニマルプリントやアースカラーのファッションに身を包む姿が頻繁に見られるようになりました。

アフリカンファッションのルーツをたどると、15〜16世紀には、すでに東アフリカでジュエリーや金で飾った木綿布の衣服を着た人々がいたという歴史的な記述が残されています。この地域では、7世紀頃からアラブ圏との交易が行われており、アフリカ最大の言語集団であるバントゥー系民族の文化がイスラム圏の文化と融合してスワヒリ文化へと発展。そこから19世紀に生まれた民族布のカンガもアフリカンファッションの発展に寄与してきました。

広大な土地に点在する民族の装束やテキスタイルは、バリエーションが豊富。現在のガーナに存在していたアシャンティ王国の王族衣装・ケンテや、多民族国家であるカメルーンが発祥の色鮮やかなトグ、幾何学模様が特徴的な中央アフリカ・クバ王国発祥のラフィアクロス、ニジェールのブーブーなど、いずれも鮮やかでエネルギッシュというアフリカントライバルの共通項を感じさせながら、一つの枠に括れない個性を有しています。


アフリカン・プリントは大きく「ワックス」と「ファンシー」の2種

アフリカンファッションを形成するアフリカン・プリント。その製造方法には、長い伝統を受け継ぐ「ワックス・プリント」と、安価で大量生産を行える「ファンシー・ファブリック」の2種類があります。

ワックスプリントは19世紀にオランダで開発され、インドネシアのろうけつ染め技術であるバティックをルーツとします。大胆かつ鮮やかなテイストは、複雑で独創的なデザインの創造にも適し、世界各国のトップデザイナーたちが、こぞってその色彩を作品に取り入れています。なお、オランダで約170年の歴史を持つVLISCO社は、アフリカン・プリントを世界に浸透させた老舗テキスタイルメーカーで、手作業が生み出す高い品質は、名だたるビッグメゾンが称賛を送っています。

ファンシー・ファブリックは、デジタルプリントの技術を用いた近代の生産方法。多数の色を使用するワックス・プリントとは対象的に、1〜2色のみで幾何学模様やレース柄のようなシンプルな文様を描きます。布の片面のみに柄を印刷することでコストを抑えられるため、1960年代以降にシェアを拡大。製造工程が簡略化されることから流行を取り入れやすく、ヨーロッパ方面で急速に普及しました。


絵柄の種類と配色

アフリカン・プリントの代名詞と言われるのが、鮮やかで大胆な絵柄や配色。基本的に白地をそのまま使うことがなく、赤と黄色をメインに、部族ごとの特徴を示す配色が行われます。

絵柄で最も馴染み深いのが、円をモチーフとしたアイ柄。これは水面に広がる波紋をイメージしたもので、「自身の行動が、周囲に何らかの影響を及ぼす」というメッセージを表現していると言われています。生物も使用されることが多いモチーフで、魚は、「変化のタイミングにあること」を示し、ツバメは幸福のシンボルであると同時に「今、手元にある富が将来を保証するわけではない」といったメッセージを表しています。王族に関する絵柄は、ヨーロッパの企業がアフリカとのパイプを太くするために生み出したもの。ユニークなものでは、電化製品や携帯電話など現代的なものが富の象徴として使われることもありますが、絵柄には縁起ものという側面もあるため、あまりに伝統を無視した奇抜なデザインは受け入れられにくい傾向があります。


アフリカン・プリントと京都の意外な関係

アフリカン・プリントの生産国は、オランダ、アフリカ西南部の国々などが主とされていますが、1950年代〜1980年代前半には日本でも生産が行われており、その大半を関西の企業が手掛けていました。日本では、古来よりろうけつ染めの技術が受け継がれており、京都の大同染工株式会社では、グリーン・ワックスというファンシーファブリックの新技術を開発。アフリカ国内でも高い評価を獲得し、現地を上回るほどに生産量が拡大しました。同社は1970年代まで日本一の加工・輸出量を誇っていましたが、環境への影響を鑑みて1970年代後半にはグリーン・ワックスの染料が製造禁止に。円高の影響やアフリカでの生産の増加も相まって、1980年代に入るとアフリカン・プリントの生産事業は日本から完全に姿を消しました。


アフリカン・プリントを扱うブランド

最後に、アフリカン・プリントを扱うブランドをいくつか紹介します。

SHIFT 80

坂田ミギーさんが展開するブランドSHIFT 80は、利益の8割を女性や子どもなど、アフリカの貧困層の支援に充てています。ケニアで貧困児童の教育支援を行っているデザイナー、リリアン・ワガラとのコラボレーションで、アフリカ産のオーガニックコットンを使用したデザイン性の高い商品をリリース。受注生産や素材の再利用、省エネなど環境への配慮を徹底し、今後はアフリカでの生産も視野に入れています。

SOLOLA

オーナーの鈴木仁美さんが学生時代、アフリカで触れた布や工芸品などの素晴らしさを伝えるために起ち上げたブランド。テキスタイルの販売では、ヨルバ族の伝統的な藍染で、いったん衰退したアディレ・エレコを再興。エウェ族の職人とコラボレーションしたケンテ・クロスやアフリカ各地の伝統布なども取り扱っています。アフリカンプリントの商品では、布地のほか、トートバッグやマスクなど、オリジナルの雑貨も充実。

RICCI EVERYDAY

NGO職員だった仲本千津さんが、駐在先だったウガンダで触れたアフリカン・プリントの美しさに感銘を受け、母の律枝さんと共同で設立。同国に構える工房では、現地のシングルマザーや元子ども兵など、社会的に冷遇されている人たちを積極的に雇用し、生活の向上を促進しています。雑貨やバッグなど約300種類ものアイテムを揃え、用途に応じて4種のサイズが選べるアケロバッグが定番の人気商品となっています。最近では、コスチュームジュエリーブランド・PlusVendomeとのコラボも話題となりました。

CLOUDY

アフリカの貧困層を支援するNPO法人「Doooooooo(ドゥ)」の代表・銅冶勇人さんが、現地のカルチャー普及と雇用の創出を目的に設立。伝統的な織物や民族柄を取り入れたアイテムを豊富に揃え、売上の一部が教育支援などに充てられています。胸元のアクセントとして民族衣装キテンゲの生地をあしらったポケットTシャツが人気。ポンチョやパーカー、MA-1ジャケットなど、アフリカン・プリントを用いた鮮やかなアウターも要注目。

TEXT:伊東孝晃

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