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B&B ITALIA主催 プロダクトデザイナー深澤直人氏がデザインを語る “THE OUTLINE OF THINGS”

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日本を代表するプロダクトデザイナー深澤直人氏とB&B ITALIA(以下、B&B)のコラボレーションは、2005年から始まり、現在までに22の作品が生み出されてきました。

3月3日、青山にあるB&Bのショールームで、深澤氏が自らの言葉でデザインについて語り、またB&B研究開発センターとのプロダクトの制作工程を紹介するという、貴重な場が設けられました。今回はそのイベントの様子をレポートします。

今年1月7日にオープンしたショールームは、広々として開放的な空間。そしてその空間に並べられたのは、深澤さんの代表作であるパピリオシェルシリーズです。レザーやファブリックなどの素材違いや白とグレーの2色のそれぞれのチェアが絶妙なバランスで配されていたのが印象的です。

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“THE OUTLINE OF THINGS”

冒頭は、深澤さんとイタリアのデザインの出会いについて。

「アメリカでプロダクトデザイナーとしてのキャリアを積んできましたが、やはり最終的にはヨーロッパで認められたいという思いがありました。帰国する前にイタリアの錚々たるデザイナーに会う機会がありました。イタリアという国は、日常にクオリティを求めているのだということを痛感しました」と、当時の印象を振り返ります。

今回のテーマである、The Outline of the thingsとは、ものの輪郭のこと。そして深澤さんが考えるデザインとは、この輪郭が重要な意味を持つのだそう。

「Outline is the Boundary between Substance/Object and Medium/Ambient」

「輪郭とは、ものと、そのものを取り囲む空気の間の境界線です」

Boundary : 境界線
Substance/Object : 存在、塊
Medium/Ambient : (透過できる)空気、媒介/環境、周囲

「僕の場合、椅子というオブジェクトのOutlineを空気の中に引いているというのが基本的な考え方です。パピリオシェルの座は特徴的な形をしていますがこれは何の形かというと、以前私がデザインしたグランデパピリオの、人間が触れる表面(サーフェス)だけを切り取ったものです。それにいろいろな脚を組み替えることで様々な用途に使えるようにしました」

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さらに、こう続けます。

「私たちのような、ものを作っている人間は、もの自体の輪郭を描いているように思われます。しかし、私は輪郭を描いているようでいて、私たちが住んでいる豊かな環境の中から見出された輪郭を描いています。環境をわかっているからこそ、線を引くことができるのです。

環境と人間、その間にある様々なピース(要素)が埋まった時に初めて世界が調和します。しかしピースの形を間違えると環境も破綻します。世の中にある『なんか変だな』というものは、ピースの輪郭がきちんと描けていないためなのです。全体が一部を作っているので、『こんな椅子が作りたい』と言ってもそれだけを考えるのでは、世界と調和できないのです。

そして、もう一つお伝えしたい言葉として『Embodiment (精神を肉体化する、姿を顕す)』があります。僕らがやっている仕事とは、存在しているのだけれど目に見えていないものの姿を顕すということです。見えていないのだけれど、実はもともとあったものを実在化させる。それが仕事だと思っています」

暮らしの中に、心が豊かになる家具を

次にグランデパピリオの制作工程について、写真とともに話が進みます。

「B&B研究開発センターでは、私が鉛筆を持って、直接椅子にラインを描いていくのです。最初の頃は緊張もしましたが、それが今はセレモニーのようになっているんです。まさに環境と人間との間に線を引いているという意識を持てば、おのずと線は描けると思います。デザインしているというより、人間を知り、環境を知り、線を引いています。どんな空間で、どんな風に使って欲しいかという考えのもと線を描くのです」

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深澤さん自らの手で、プロダクトに線が描かれているとは驚きでした。

さらに、B&Bと深澤さんの最初の作品「Shelf X(シェルフエックス)」や、オフィスや病院など、いわゆるソファとは違う用途で使われる長椅子シリーズ「Cloud(クラウド)」、パピリオシリーズに合わせたテーブルの「Awa(アワ)」、アウトドア用のベンチ「Titicaca(チチカカ)」など、数々の秀逸なプロダクトが紹介されました。

「B&Bチームとの仕事はすごくシンプル。いいものをどうやって作ればいいか。厳しくというより、楽しく作ることなのです。彼らはデザインを決めていくモチベーション、レベルが高い。日常の暮らしのリッチさ(豊かさ)とはどういうものなのかを知っていて、それに絶対的な自信があるから。こだわるというより、さらっと常に高いレベルのものを選んでいるのです」

「NAOTO FUKASAWA Presentation at B&B ITALIA Tokyo Showroom」

何もないところから、あたかもここにあるべきものだったもののように、人々の生活に豊かさを提供するプロダクトを生み出し続けるデザイナー、深澤さん。

穏やかな口調ながらも、デザインが持つ奥深い意義を同氏と共有することができるという、とても貴重なイベントでした。

 

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