近頃、ニュースや各メディアで目にすることの多くなった「嫁ブロック」という言葉をご存知ですか？
夫の転職や起業が妻のブロックによって破断することを指し、企業の採用担当者が業界用語として使っていたワード。夢やロマンを追い続けたい夫と、冷静かつ現実的にものごとを見る妻、双方の考えの違いによって、進めてきた転職活動が妻の一言で簡単に崩れてしまう…。
この「嫁ブロック」は、果たしてファッション業界でも起きているのでしょうか？ファッション業界の転職エージェントの方にお話を伺いました。
データで見る、「嫁ブロック」問題
2016年1月に発売された産経ニュースの記事では、下記のようなデータをもとに「嫁ブロック」について取り上げています。
嫁ブロックに関するデータ
・2010年1月〜2015年11月までの間で転職希望者数は約3倍に増加。（人材派遣大手インテリジェンス調べ）
・約3人に1人が“嫁ブロック”に遭い、内定を辞退、あるいは転職活動を断念したと答えた。
（転職クチコミサイト「転職会議」を運営するリブセンス調べ/2015年11月実施。転職をしたことがある、あるいは転職を考えている男性1800人が対象）
妻が転職に反対する理由
1位・・・「年収が下がる」（37％）
2位・・・「自宅から勤務地が遠い」（28％）
3位・・・「現職の福利厚生が充実している」（21％）
この他にも、「転職先の企業や業界に激務という噂がある」（18%）、「やりがいを感じられなさそう」（13%）、「ベンチャー企業だから」（13%）、「残業が減らなさそう」（12%）などが上位にランクイン。
転職活動で実際に起こった「嫁ブロック」事例とは？
ファッション業界の転職コンサルタントが見た「嫁ブロック」の事例を、いくつか挙げていただきました。その中には、ファッション業界ならではのエピソードもあるようです。
・ファッション業界共働き夫婦である
同じファッション業界で働く夫婦も少なくありません。同業者ならではの、業界のウラ事情を知っているが故のブロック。
・現職の社員割引が魅力的！
旦那さんがファッション業界にいて得られるメリット、「社員割引」や「家族割引」などの特典を、転職によって無くすのは嫌！…という理由。
・企業（ブランド）の安定感、ネームバリューがある
奥さんが安定志向の場合、転職先が聞いたことのない新鋭ブランドやベンチャー企業だと不安に感じて反対されてしまうことも。現職が有名企業だと尚更。
・転勤（引っ越し）はしたくない！
配属先が辺鄙な場所にある場合。旦那さんは引っ越せば良いと気軽に考えていたら奥さんに拒否された…など、採用に至っても最終的に破談となるケース。
・転職するならもっと高い年収を！
現職に残れば昇級が確実なのに、転職先での給与が現職と同等、もしくはそれ以下の場合。「どうせ転職するなら現職よりも年収の高い所にしたら？」というシビアな意見も。
以上の様に、ファッション業界における嫁ブロックの理由も「年収」、「勤務地」、「安定」がトップを占めています。
また、嫁ブロックという言葉だと、女性ばかりが旦那さんの転職を拒否している様に見えますが、実際の転職活動には「旦那ブロック」や「親ブロック」も珍しくありません。「旦那ブロック」では、奥さんの転職に対して「もっとのんびり家にいてくれたら良いのに…」というような意見もあるそう。
「嫁ブロック」を防ぐには？
コンサルタントによれば、この「嫁ブロック」が起きる一番の原因は夫婦間の“コミュニケーション不足”。企業に転職理由や志望動機をうまくプレゼン出来ても、同じことを家族には出来ない方が多く、採用が決まって初めて伝える方もいるそうです。早い段階で転職の目的を伝え、転職によるメリット・デメリットをしっかりと説明して納得してもらうことが大切。
万が一、内定後に「嫁ブロック」が起きた場合は、理由を明確にした上で話し合いを。その際に、他の家族や友人、転職コンサルタントなど、第3者を含めて話をすることも一つの作戦です。
せっかくの努力をムダにしないためにも、家族とのコミュニケーションをしっかりとって転職活動に臨みましょう！
