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働く人のための「ふるさと納税」活用術。給与と手取りのしくみを税理士が解説!

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採用時に提示された給与額と実際に受け取った手取り額。その差額に驚いた経験がある人はいませんか?一般的に、額面から2割を引いた金額がおおよその手取り額といいますが、その2割が何なのかを把握しないまま給与明細を眺めて終わりにしている方も多いのではないでしょうか。

税金や社会保険料をいくら払っているのか理解することで、給与が変わる際の控除額を知る目安にもなり、今話題のふるさと納税などの寄附金控除を活用しやすくなるというメリットもあります。

今回は、イクス会計事務所の税理士入江俊輔さんに“給与から控除されるもの”と“ふるさと納税”についてお伺いしました。給与の知識を身につけて、受けられるメリットを最大限に活用しましょう。

引かれているのは「社会保険料」がほとんどで「税金」はごくわずか?!

−まずは、一般的に給与から控除されるものを教えてください。

「給与からかなりの税金を引かれている」と思われている方が多いと思うのですが、じつは控除の多くを占めているのは、税金ではなくて社会保険料です。

社会保険とは健康保険、介護保険、厚生年金保険、雇用保険、労災保険の5つの総称で、これらはすべて国で強制的に加入する保障制度です。毎月一定額を負担する代わりに、病気やケガ、障害、老後、失業など、何か困ったことが起きたときにはある程度の保障をしますよ、という制度ですね。

このうち「労災保険料」は会社が全額を負担しており、残りはほぼ労使折半。個人事業主は全額を自分で払わなければならないので、半分以上を会社に負担してもらえるのは会社員のメリットといえます。また、「介護保険料」は40歳以上の人が払うものなので、40歳未満の方が給与から差し引かれる社会保険料は、「健康保険料」「厚生年金保険料」「雇用保険料」の3つということになります。このほかに税金として、源泉所得税と住民税が控除されます。

社会保険料

−社会保険料や税金はどのように計算されるのですか?

給与額や扶養家族の人数によって計算されます。また、勤務地の都道府県によって多少の差が生じます。わかりやすくするために、2つの例を挙げて見ていきましょう。

1人はAさん。35歳の男性で、年齢相応のキャリアを積んでいる方とします。結婚をしていて扶養家族は1人(妻)です。もう1人はBさん。25歳の女性で、1回目の転職で新たに就職した方とします。独身で、扶養家族はいません。2人とも住んでいる場所、勤務地ともに東京とします。

まず、社会保険料の計算は、“給与+通勤費”が算定のベースになります。役職手当や残業手当などもすべて給与に含めて行います。

健康保険料と厚生年金保険料は会社側と従業員側の負担割合が5:5、雇用保険のみ会社側の負担額が少し高くなります。つまり、会社は企業負担分を加味するとAさんは413,636円、Bさんは275,757円を負担していることとなるのです。介護保険料は2人とも40歳未満ですのでありません。

源泉所得税は給与(通勤費は含まない)から社会保険料を差し引いた額が課税対象金額となります。この課税対象金額と、扶養家族の人数により源泉所得税額が算出されます。
住民税は前年の所得に応じて計算するので、ここでは翌年課税されるであろう住民税を目安に算出しました。年額で、Aさんが223,000円、Bさんが115,700円となり、各金額が月々控除されます。

給与明細

 

こうして見ると、控除されている金額は、そのおおよそが社会保険料だということがよくわかりますね。

支払っている税金額が把握できると「ふるさと納税」が活用しやすくなる

−支払っている税金について知ると、「節税」について興味が出てきます。会社員でもできる節税対策はありますか?

「節税」の捉え方にもよりますが、残念ながら会社員の方ができる対策というのはほぼありません。ただ、医療費控除や生命保険料控除、住宅ローン控除などはありますので、こういった控除をもれなく申告することで、支払う税金の額を減らすということは可能です。

また、最近かなり浸透してきた「ふるさと納税」などで、寄附金控除を受けるのもおすすめです。「ふるさと納税」は2015年4月の税制改正によって控除額が2倍に増えましたし、年間に5自治体までの寄附であれば確定申告も不要になったので、かなりハードルが下がったと思います。

−「ふるさと納税」という言葉はよく耳にするのですが、内容がいまいちよくわかりません。高額所得者でなくても利用できるのでしょうか。

「ふるさと納税」とは、自分の選んだ自治体に寄附(ふるさと納税)を行った場合、寄附額のうち2,000円を超える部分が、所得税と住民税の課税対象金額から控除される制度のことです。控除されることで、所得税と住民税の税額は安くなります。

勘違いされがちではありますが、ふるさと納税をすることで、寄附した金額がそのまま返ってきたりするわけではありません。「ふるさと納税」をすると各自治体から特産品などをお礼の品としてもらえるので、実質的には、2,000円の負担で各地の特産品をもらえる、お得な制度といっていいでしょう。
しかし、「ふるさと納税」の控除には限度額があり、寄附自体はいくらでもできますが、収入や家族構成ごとに決まる上限金額を超えてふるさと納税をすると、上限金額を超えた分は本当の意味での寄附となってしまい、控除などのメリットがなくなってしまいます。目安のために先ほどのAさんBさんの例から上限額を挙げると、

⚫︎Aさんの場合は約57,000円
⚫︎Bさんの場合は約28,000円

となります。年収300万円ほどのBさんの場合でも30,000円弱の控除が受けられますから、どなたでも利用しやすい制度だといえると思います。2〜30,000円の寄附金でも、上質なお肉やフルーツなど、かなり魅力的なお礼の品を選べますよ。

「ふるさと納税」の納税地を選んだり、税金控除の金額の目安を知りたい場合は、下記のウェブサイトが使いやすいと思うので参考にしてください。

ふるさと納税以外におすすめの寄付先とは?

−お礼の品ももらえて、寄附先も自分で選べるというのはいいですね。ほかにも何かおすすめの寄付先はありますか?

「ふるさと納税」とは違うのですが、ファッション業界の方におすすめの寄付先として、「FCP –ファッションチャリティープロジェクト−」という通販サイトがあります。

不要になった服やバッグを寄附すると、その売り上げ金が自分の選ぶNPO等の活動資金になります。確定申告は必要になりますが、寄附金の最大55%(所得税45%、住民税10%)が控除されるのでいらなくなったファッションアイテムを使って人の役に立ちたいと思われる方に最適なシステムだと思います。

ただ、寄付金控除は「ふるさと納税」も「FCP」もすべて合算しての控除になりますので、複数の寄附を行う方は控除の限度額にご注意ください。

−断捨離がてら気軽に寄附ができる素晴らしい制度ですね。自分の支払っている税金額を把握して、ぜひ「ふるさと納税」や「FCP」を活用したいと思います。ありがとうございました!

今回お話を聞かせてくれた方

税理士法人イデアコンサルティング 税理士 大園昌典

イクス会計事務所 代表税理士 入江俊輔

イクス会計事務所 代表
 

入江税理士著書
今回お話を伺った税理士 入江俊輔さんの著書
「だから税理士はやめられない」「これだけは覚えておきたい!不動産の税金」
現代に求められる税理士の仕事とはどのようなものか、や「イリエ流仕事術」と呼ばれる開業術や仕事を増やして収入アップをさせるポイントなどを伝授。税理士を目指す人、そうでない人にもためになる仕事術の参考書。

 

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