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阪急メンズ東京が大リニューアルを決行!その背景にあるファッション市場の変化とは?

3月27日から29日の3日間に開催された「ファッションワールド東京」では、さまざまな特別講演が行われました。今回は、阪急阪神百貨店の執行役員であり阪急メンズ大阪、阪急メンズ東京担当の溝口博之氏による、「阪急メンズ東京 リニューアルの狙いとは ~メンズファッションマーケットの変化とその捉え方~」の様子をご紹介します。

全館の約7割リニューアルの大改装!

3月15日にリニューアルオープンした阪急メンズ東京。小さいリニューアルは毎年のように行なっていたが、今回のように全館の約7割をリニューアルするという大規模なものは、2011年のオープン以来、初めてのこと。今までのリニューアルとはまったく違う、その内容について、「リニューアルに至った経緯」と「リニューアルによって変化した点」を詳しくお話してくださいました。

「リニューアルに至った経緯」を説明するうえで、マーケット動向の解説が欠かせません。2000年から2018年、約20年の間に家計総支出が12%減となる中、ファッションに関してはなんと48%も減少傾向にあり、スマホなどの影響により、通信・情報・健康(保険)といったジャンルに関しては支出が増える傾向にあります。

百貨店への家計支出にスポットを当てて考えると、2010年から2018年の間に、レディースは1兆4,000億から1兆1,000億円、メンズに関しては4,300億から3,900億円へと減少傾向にあります。レディースに比べると、メンズの落ち込みはまだ小さいと言えますが、バブル時代を比較に出すとよりその数字は顕著で、この10年近く減少傾向にあることは否定できません。

顧客の消費への意識変化について考える

その理由として、少子化、高齢化などを含む人口の変化などが挙げられます。さらに世代ごとの消費に対する意識の変化や違いも、売り上げ落ち込みの原因となっています。

例えば、1971年から1974年の年齢層は、とても現実的でコスパ意識がある世代です。論理的な思考で優劣をつけ、比較する傾向にあります。その下の年齢層になると、自身のプライベートや、商品のコンセプト、ブランドのこだわりなどに価値を見出します。さらにその下のミレ二アル世代は、現実的で車やモノを所有しないモノ離れの傾向が非常に強いのが特徴です。

働き方の変化から見る服装の変化

働き方改革などで多様な働き方が可能になったことで、服装の変化にも影響を与えました。この服装の変化について溝口氏は、雑誌『MEN’S CLUB』の表紙そしてキャッチコピーを例に挙げ、分かりやすく説明していきます。


1980年代は終身雇用、年功序列がキーワードの時代。服装に関しても横並びに安心感を覚え、シャツにネクタイを締めスーツ姿であればとりあえずOKという風潮があり、服装に関しては、他の人との違いではなく、社会的な規律をしっかり守りたいという傾向がありました。

2000年代に入り、成果主義が進行しグローバル化が進むと、服装に関する思考にも変化が現れます。人との違いを意識するようになり、周りの人と差をつけるための技などにも注目が集まります。そして、現在は働き方改革の影響やSNSなどの登場によって、さまざまな情報に触れる機会が増え、消費者は「自分が納得し、充足するかどうか」に重きをおくようになります。この頃、『MEN’S CLUB』の表紙にはスニーカーが登場。トラッド中心だった雑誌にスニーカーというアイテムが扱われることに時代の流れを感じるとコメントしていました。

環境で特徴化が測れない時代に危機感!

マーケットや顧客の思考、そして商環境の変化を受け、阪急メンズ東京は独自価値の開発に努めることを決心しました。2011年のオープン以来、売り上げは順調ではあるものの、経営目線では脆弱さを感じる部分もあったと言います。リニューアルの際に意識したのは、どんなお客さまをターゲットにするのかというところ。そこで新ターゲットのネーミングを“クリエイティブコンシャス”とし、クリエイティブ、創造的な仕事をしている、または、そういう職場で働いている人を新たなターゲットとしたリニューアルに踏み切りました。

単なるリニューアルではない、コンセプトそのものを変えるという大胆な決断に、現在のところは好意的な評価が多いと取材などで感じているとのこと。「お客さまを楽しませたいという気持ちを伝えるためには、変化を恐れてはいけない」という考えのもと、いろいろな意見を受け止めながらさらなる変化をしていきたいと意気込みを語っていました。

Text:Shinobu Tanaka(RhythBiz)

 

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