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人間の手で生み出せるものは貴重で美しい…。「伝統と革新のコラボレーション〜伝統工芸とファッションの新たな関係〜」レポート

日本プロフェッショナル販売員協会の研修プログラムの一環として、講演会「伝統と革新のコラボレーション〜伝統工芸とファッションの新たな関係〜」が7月5日、CHANEL NEXUS HALLで行われました。同協会は販売員の地位向上のため、販売職のやりがいや魅力を内外へ発信するほか、キャリア形成のための資格制度の整備、様々な研修などを手がけています。今回は講演会第2部の「伝統工芸×ファッション〜世界から注目を集める日本の伝統工芸とファッションの融合〜」の内容をレポートします。

ファッションジャーナリストの立場から見た伝統工芸の魅力

「伝統工芸×ファッション〜世界から注目を集める日本の伝統工芸とファッションの融合〜」に登壇されたのは、ファッションジャーナリストで一般社団法人FUTURADITION WAO 代表理事の生駒芳子さん。

生駒さんは数々のインターナショナルモード誌の編集に携わった後にファッションジャーナリストとして独立。そして約8年前、日本が誇る素晴らしい伝統工芸が眠っている状態なのではないかと気づく出会いがあったといいます。

「ファッション雑誌の編集者として、パリコレクション、ミラノコレクションなどに通っており、日本の伝統工芸とはあまり縁がない生活をしていました。ところが、8年前、金沢でとあるファッションコンクールの審査員長を務めさせていただいた時、関係者の方々が加賀友禅や加賀繍、銅板の工房に連れて行ってくださったのです。好奇心いっぱいで訪ねてみたものの、すごくショックを受けました。こんなにも美しいものを作っているにもかかわらず、職人の方が口を揃えて、販路がない、何を作っていいかわらかない、後継者がいないなど、自分たちの工房には未来がないとおっしゃっていたのです。その話を聞いたことが、私が人生をシフトするきっかけとなり、現在の活動に至っています」。


こうして、生駒さんは一般社団法人FUTURADITION WAOを立ち上げ、伝統を未来につなげようという活動をスタートしたのだといいます。社名は、フューチャー(=未来)とトラディション(=伝統)を掛け合わせた造語と、美しいものに出会ったときの感動、すなわち「ワオ!」と思わず声をあげたくなる瞬間を表現したものだそうです。FUTURADITION WAOでは、パリ装飾美術館で伝統工芸とモダンなデザインを融合させた作品を展示する活動や、生駒さんの豊富な経験や独自の視点を用いて、オリジナルアイテムの開発を展開。金沢の箔をあしらったクラッチバッグや、生駒さんのシンボルでもあるロングパールのネックレスなど、ファッションを愛する人々を魅了するアイテムが揃います。

編集者という立場から見た日本の伝統工芸の魅力をグローバルに発信している人々についての話はとても興味深いものでした。一人はスティーブ・ジョブス氏。ジョブスは、日本の伝統工芸に関心を示していた一人と言われ、ミニマルな美しさやディテールにこだわる点、また品質の精度の上げ方などをグローバル基準のデザインに落とし込んでいたのではというお話がありました。さらに、日本人として伝統工芸を自らのクリエイションに落とし込む、ファッションデザイナーの三宅一生氏や建築家の隈研吾氏の活動にも触れられました。

伝統工芸産業に見られる新たな流れ

素晴らしいものづくりの文化があるにも関わらず、明るい未来が描けない伝統工芸界ですが、生駒さんは新しい流れが起きていることを実感されているそうです。

「海外ブランドが日本の工芸を高く評価し、その技術を商品に落とし込んでいるケースが多く見られます。また、ティーポットとしての機能に特化したピンクの南部鉄瓶がパリやニューヨークで評判を呼んだり、柔道着の素材で作ったトートバッグがパリのボンマルシェでヒットしたり、伝統工芸をモダンなデザインに落とし込んだ商品が海外で話題になっています。ここ数年は日本の若いクリエイターが伝統工芸に興味を持ち、新しいものづくりを進めているという大きな波が来ていることも感じます。職人さんの数は全体的には減ってはいますが、国際的に見ても女性職人の割合が増えているそうです。ジェンダーにとらわれるわけではないですが、新しい流れが起きていることは事実です」

こうした活動を進める生駒さんが、これからの伝統工芸に求められることを7つに分けて説明されました。

「現代的、革新的、だけれども守るべきものはきちんと守り、そして役に立つということ。そして、縁遠いと思っていたことに繋がっていけることも大切です。そこから新しいものが生まれると思うからです。さらに国際性、未来性が重要だと思っています。ものづくりは日本の宝でありますし、その宝を発信し続けていけるよう努力していきたいと思っています。今日は販売に携わる方が多く来場されていると聞いていますが、ブランドの国籍に関係なく、いいファッションはいいものづくりに宿ると思っています。そして人間が人間である以上、人間の手で生み出せるものは貴重で美しいと思いますし、そういうものを私たちが大切にしていかなければいけないと思っています」


 
海外のファッションの取材を中心に活躍をされてきた生駒さんが改めて日本の伝統工芸を見つめ直したからこそできる、ダイナミックでグローバルな活動の事例は、ワクワクするものばかりでした。同時に私たちが住む日本の伝統工芸文化にもっと目を向け、素直にその魅力を感じ取ることの大切さも感じた講演でした。

Photo&Text : Etsuko Soeda

 

今回お伺いした主催団体

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日本プロフェッショナル販売員協会

販売員の地位向上やキャリア支援を目的とした団体。現在は、理事として百貨店から、高島屋、大丸松坂屋百貨店、阪神阪急百貨店、ラグジュアリーブランドでは、エルメス ジャポン、シャネル、LVMH モエ ヘネシー・ルイ ヴィトン・ジャパンが参加。アパレルでは、三陽商会、オンワードホールディングス、TSIホールディングスが参加。そのほか、ワールド・モード・ホールディングス、一般財団法人ファッション産業人材育成機構が参加し、約90社の会員企業とともに販売職の魅力向上に努める。

 

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