大幅なリストラやブランド廃止によって、低迷した業績の立て直しを行う企業が増えているアパレル業界。企業の業績回復に向けた施策のなかには、「早期退職者の募集」という選択肢もあります。では、実際に早期退職の募集はどのように行われるのか?
アパレル企業での早期退職経験をされた方に、早期退職の実態とアドバイスをお聞きしました。
早期退職募集の通知は公の場で行われる
早期退職者の発表は、業績を発表する場を設けるなど、全社員が集まる機会で行われます。経営陣もしくは人事部より、業績が著しく悪化していることから立て直し対策として早期退職を募る旨を発表し、対象条件が告げられます。
例を挙げると、希望退職の対象が「勤続10年・35歳以上」とされた場合、この条件を満たす従業員が対象者となります。全社員が集まる場では退職金などの条件面は明かさず、対象者には部門責任者もしくは人事から追って説明を行う企業が多いようです。
早期退職募集時に実施される「個人面談」。その内容は?
早期退職を会社が募る際、部門責任者もしくは人事から通知があり、社員に対する個別面談が行われます。個人面談の内容は、勤務継続を勧められる場合と、早期退職を打診される場合と2つのパターンがあるようです。
1. 「勤務継続」を勧められる場合
会社的に辞めてほしくない人材に該当するケースが多く、どうしても辞めてもらいたくない場合には、給与UPを提示することもあるようです。
2. 「早期退職の活用」を打診される場合
退職を勧めたい人材に該当するケースが多く、早期退職応募の締め切り、金銭面の条件提示、再就職支援など、会社都合での退職ができるなどの条件詳細の説明を受けます。なお、条件説明をする側は、訓練を受けるなどした手ごわい相手の場合もあり、“今辞めたほうが得”、“残ると部署移動や減給がある”などと匂わすケースもあるようです。
早期退職のメリットは割り増しされる退職金!
早期退職を必ずしもネガティブに捉える必要がない一番の理由は、応募に伴う割り増しされた退職金の支給です。ある企業では過去に、“退職金に特別加算金を上乗せする”ということがありましたが、特別加算金は数か月分から数年分の給料といった支給になります。
さらに、会社都合の退職になるため、離職後すぐに雇用保険を受け取る資格を得ることもできます。ちょうど転職を考えていた人、独立したいと考えていた人にとってはまたと無いチャンスといえるでしょう。
早期退職の対象者にとって最も重要なこととは?
早期退職の対象者にとって重要なのは、早期退職の面談で「スマートな交渉で好条件を引き出すこと」。有給消化に入るまでの勤務期間を延ばし、給与支給の期間の延長することで、転職活動期間が増え、金銭面や就職に有利になるでしょう。
一方で、突然のことに感情的になってしまい、スマートな交渉が出来なかった結果、喧嘩別れとなり即日有給消化に入らざるおえないこともあるので要注意です。
日頃から転職活動を意識しておくことがピンチを救う
在職中であっても、常日頃から転職について意識をしておくことで、退職後のイメージが湧きやすく転職活動を優位に進めることができます。履歴書/職務経歴書のアップデート、転職サイトへの登録、ヘッドハンターから定期的に情報を聞く、などは、在職中に転職活動をしておくことで、早期退職をプラスにすることができます。
同じ会社で定年まで雇用され続ける、いわゆる終身雇用の慣習は現在崩壊しつつあります。定年まで勤め上げたいと思っても願いが叶わないケースも、今後はさらに多くなっていくでしょう。
早期退職を好機的とらえることは難しいかもしれないですが、普段から転職の準備をしておくことで、万が一のピンチも乗り越えることができるのではないでしょうか。