
Courtesy of Gucci
1921年、イタリアのフィレンツェで誕生したグッチ。グッチが日本に上陸して60周年を迎えたことを記念し、上海とロンドンで開催され成功を収めたエキシビション「GUCCI COSMOS」が遂に京都で開幕しました。京都市京セラ美術館で現在開催中の本展は、100年以上にわたるグッチの歴史の中でも特にアイコニックなデザインを先進的な演出で紹介。1世紀以上もの間、脈々と継承され続けているグッチのコードとスピリットがどのようにデザインに生かされてきたか、また、それぞれの時代を象徴するアイテムがいかにして歴代のグッチのクリエイティブ・ディレクターやデザイナーたちにインスピレーションをもたらし再解釈されてきたかを探求します。
伝統と革新の歴史を京都の地で紐解く
グッチ創設の地であるイタリア・フィレンツェと50年以上にわたり姉妹都市である京都。本展は京都と日本をオマージュし、アーカイブ作品を通してブランドの革新の歴史と伝統を表現するエキシビションです。グッチ製品が日本で初めて正式に紹介されて以来、時代のアイコンとなるデザインを発表し私たち日本人にも深く愛されてきました。ホースビット ローファーやバンブーハンドルのバッグ、GGパターンなど、グッチの名を聞いて歴代の名品を思い浮かべる人も多いでしょう。エキシビションではフィレンツェにあるアーカイブ収蔵拠点から、多数の未公開品を含む歴史的な逸品やシンボルを公開。まるでグッチの世界を旅する旅人になったような気分で鑑賞できる全6章から成る展示空間では、グッチの歴史や1970年代から現在までのコレクション、ライフスタイルに及ぼした影響やバンブーと日本の伝統工芸の出会いなどを鑑賞できます。

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Time Maze ―時の迷宮
ブランドの歴史を彩る重要な瞬間を映し出す万華鏡のような趣向の立体構造物が、グッチをめぐる旅の出発点。イマーシブな体験が叶う没入型インスタレーションを通り抜けると、そこには時の迷宮が広がります。ここで鑑賞できるのは、グッチの過去と現在、そして未来。引き出しや棚、展示ケースやボックスに展示された資料を自ら発見しながらグッチの歩みを知ることができ、例えば1920年代後期のキャンバス製スーツケースや1969年に発表されたフローラ プリントのシルクドレスなど、今なおグッチのアイコンとして継承される多彩な品々を見ることができます。

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Zoetrope ―乗馬の世界
グッチと乗馬は密接な関係にあり、この章ではグッチと乗馬の世界のつながりや歴史、それらを通して表現されてきたインスピレーション源やアイテムを紹介。馬場を思わせる円形の空間を取り囲むように大型スクリーンが設置され、蹄の音を響かせながら疾走する馬たちの映像に囲まれながら、数々のシグネチャーアイテムを鑑賞できる仕掛けが施されています。ここでは、1953年にアルド・グッチがローファーを飾るために取り入れ瞬く間にシグネチャーとなったホースビットや、馬の腹帯から着想を得たグリーンとレッドのグッチカラーのウェブ ストライプなどを紹介。乗馬の世界からインスピレーションを得たデザインが現在にも継承されていることを体感できるでしょう。

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Echoes ―クリエイティビティの系譜
1970年代から現在までのグッチのコレクションを纏ったマネキンたちが、まるでランウェイを歩いているかのように展示されたこの章。これらのルックは年代ごとではなくカラーやインスピレーションによって展示され、まるで時を超えて新たなつながりを持ち、時代を行き来しているかのよう。同時に、ファッションは美しさだけでなく、社会的な変革を促すことができるというブランドの信念が示されています。2024年のゴールデングローブ賞授賞式でテイラー・スウィフトが着用したグリーンのドレスや、2003年にトム・フォードが発表したシルク製のキモノドレスなど、過去から現代までのコレクションがずらりと並ぶ様子は圧巻です。

Courtesy of Gucci
Leisure Legacy ―ライフスタイル賛歌
ライフスタイル賛歌と題されたこの章では、レジャーとファッションのつながりをリードしてきたグッチの一面を紹介。1970年代に生まれたGGパターンのテニスバッグ、1988年に作られた馬のサドルなどと合わせて、京都市京セラ美術館のコレクションから選ばれた日本の余暇にちなんだ作品も展示。ファッションと日本のアートの融合が生み出すケミストリーを感じることができます。

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Bamboo ―バンブーの世界
グッチの最も象徴的なクリエイションのひとつである「グッチ バンブー1947」。ここでは1947年に誕生し、以降もさまざまな形や素材で作られた「グッチ バンブー1947」バッグを一堂に見ることができます。また、グッチ日本上陸60周年を記念するコラボレーションプロジェクト「Bamboo 1947:Then and Now」の一環として、ヴィンテージの「グッチ バンブー1947」バッグを日本の伝統工芸作家とコンテンポラリーアーティストが再生した作品の一部を展示。日本の伝統工芸とのゆかりも深い「グッチ バンブー1947」バッグの世界が、写真家・森山大道らの作品と共に紹介されています。

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Red Threads ―グッチの絆
鮮やかなレッドで彩られた展示室のインスピレーション源は「赤い糸」。多彩なレッドで表現されたウェアやアクセサリー、オブジェが展示され、これらを通じ、グッチの伝統を創り出してきた数々のエレメントが赤い糸によって結ばれていることを発見できます。また、レッドはグッチの歴史を通して繰り返し登場してきたカラーであり、過去と現在をつなぐ赤い糸でもあります。ブランドのシグネチャーカラーでもあるレッドからは、グッチの自由なスピリットと無限のエネルギーを感じることができるでしょう。
【INFORMATION】
グッチ日本上陸60周年展『GUCCI COSMOS』
会場:京都市京セラ美術館 本館 北回廊1階、新館 東山キューブ
会期:2024年10月1日(火)〜12月1日(日)
※休館日:月曜日、ただし祝休日は開館し翌日火曜は休館
時間:10:00〜18:00 ※最終入館は17:00まで
公式サイト:https://www.gucci.com/jp/ja/st/capsule/cosmos-exhibition
TEXT:橫田愛子









