前回の記事「転職活動のきっかけはボーナスの支給額?応募の前にやっておくべき『年収の把握』」では、転職活動の1stである収入内訳の把握のポイントについてお伝えしました。
収入の内訳をしっかり把握したところで、「実際にどのくらいの年収アップが見込めるのか?」という疑問について紐解いていきます。
今回お話を聞かせてくれた転職コンサルタント
エーバルーンコンサルティング
シニアコンサルタント 宮下 智子さん
年収が同額でも、基本給(=実績やスキルの評価)の差で年収ダウンの可能性も。
会社から支払われる年収は同じでも年収アップの難易度が同じとは限りません。年収が同額でも実際は年収アップどころか横ばい、逆に年収ダウンになる可能性すらあります。
例えば、転職のコンサルタントが同じ年収500万円のAさん、Bさん2人から年収アップの相談を受けたとします。それぞれの年収の内訳はAさんが【基本給500万円+残業代は0円】、Bさんは【基本給450万円、残業代が50万円】。Aさんの実績やスキル等にもよりますが、この場合Aさんが転職で年収が上がる可能性は高いです。一方Bさんは、年収アップの交渉難易度が低く、良くて微増か横ばい、逆に年収ダウンになる可能性もあります。
このような差が生じる理由は「基本給」にあります。
企業が社員の実績やスキルを評価し、その対価として支払うのはあくまでも「基本給」。Aさんには年間、基本給として500万円を支払う価値がある。一方、Bさんには年間、基本給450万円を支払う価値あると評価されていると判断されます。残業代は、あくまでも残業を行った「時間外労働」の対価であって、個人の実績やスキルへの評価ではありません。
年収アップの検討。“前職での基本給”も大きな材料の一つ
転職の際、企業が転職者の年収アップを検討する材料のひとつが前職での「基本給」です。
AさんとBさんが無事に面接を通過し、応募先の企業からどちらも年収10%アップで内定を獲得した場合、Aさんは500万+10%UP=550万円と年収アップの転職が実現できますが、Bさんは450万+10%UP=495万円になり、Bさんは転職をすることで年収が減ってしまいます。
もちろん、Bさんが転職先でも前職と同様に残業を行えば残業代がプラスされますので年収はアップになりますが、転職先でも同じくらいの残業があるとは限りません。最近では、企業ポリシーとして残業をさせない会社もありますので。
現在の基本給×5%〜15%程度が年収アップの平均数値
一般的に、転職で期待できる年収アップの平均的な数値は、現在の基本給×5%〜15%程度。もちろん、実績やスキルによって一般的な数値の2倍となる20%〜30%、それ以上の年収アップを見込める方もいます。
私自身、これまでに大幅な年収アップの転職をお手伝いさせていただいたことがありますが、大幅な年収アップに必要なのは「客観的なデータで自分の強みをプレゼンテーション」だと感じています。
ということで、次回は転職活動中のプレゼンテーション力について解説します。お楽しみに!
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