アパレルブランドにとって、商品造りに欠かせない職業の一つである「パタンナー」。専門的な技術や知識が必要なこの職業、仕事内容について実はあまりよく知らない、と言う人も多いのではないでしょうか。本記事では、そもそも「パタンナーとは？」という疑問から、実際の仕事内容までご紹介します。
パタンナーとは？
アパレル業界でよく耳にする「パタンナー」とは、デザイナーが作成したデザイン画を元に、実際の形になるアパレル、アパレル商材の型紙を制作する職業を指します。実はこの「パタンナー」とは和製英語で、英語では「Pattern Maker（パターン メーカー）」と言います。
アパレル、アパレル商材を完成させるために、パタンナーの仕事は重大な役割を担っていると言えるでしょう。なぜなら平面のデザイン画を元に、デザイナーがイメージするものを正確に立体として仕上げる必要があるからです。数ミリ違うだけでもシルエットに差が出てくるため、最終的なアイテムの出来上がりはパタンナー次第。正確さはもちろんのこと、デザイナーのイメージすることを確実にキャッチする感性も必要となります。
パタンナーにまつわる用語集
その職業ならではの基本用語というものがありますよね。その用語を知れば、その職業がどんなものか見えてくるもの。ここでは、パタンナーにまつわる基本用語をいくつかご紹介します。
1. パターン
アパレル、アパレル商材を制作するための型紙のこと。
2. 平面製図法
型紙の上でパターンを作ること。「フラットパターンメーキング」とも言う。
3. 立体裁断法
平面製図法とは異なり、人体模型（トルソー、ボディなど）に布を当ててシルエットを取り、型紙を作ること。「ドレーピング」とも言う。
4. CAD
「キャド」と呼ばれ、Computer Aided Designの頭文字をとったもの。コンピューター設計支援という意味で、紙ではなくコンピューター上で製図することを指す。手引きのパターンでは工場への送付に時間とお金もかかったり、共有するのが大変だったりと、最近ではデータ上のやり取りのためにCADを使うことが増えている。
5. グレーディング
パタンナーが起こした型紙を元に、大小の型紙を作ること。標準サイズであるM（マスターパターン）を元に、S、Lサイズを作ることが多い。
実際の仕事内容は？
パタンナーの主な仕事の流れは【①パターンの制作②トワル制作③トワルチェック④サンプル出し、修正⑤量産パターン制作】となります。それぞれの業務内容についてチェックしていきましょう。
1. パターンの制作
前述した通り、デザイン画を元にパターンを制作します。
2. トワル制作
出来上がったパターンを使って、主に仮縫いのサンプルを指す「トワル」を制作していきます。この時に使用する布は「シーチング」と呼ぶことが多く、これは麻や綿を使った厚手の平織り布のことです。
3. トワルチェック
出来上がったトワルに対して、デザイナーとチェックしながら修正をしていく作業です。これを元に最初のパターンを修正していき、「マスターパターン」という実際に工場に依頼するための型紙を完成させます。
4. サンプル出し、修正
マスターパターンと共に、服の寸法、生地、ボタンなどの副資材を記入した「縫製仕様書」を工場に提出し、サンプルを作っていきます。サンプルが出来上がったら、チェックと修正を行い、完成したものを展示会に出します。
5. 量産パターン制作
展示会ののち、量産するにあたっての最終的なパターンを作成し、最終的な商品生産へと移ります。
独学でパタンナーにはなれる？
独学でパタンナーになることはできないとは言えませんが、専門的な知識、技術が必要なため、専門学校などへ通い一から学ぶ人が多いです。また、パタンナーの応募条件を見てみると、服飾専門学校で専門的にデザインを学んでいることを条件とするなど、未経験者を募集しているところはほとんどありません。パタンナーを目指すのであれば、専門学校等に通うことで幅が広げられると言えるでしょう。
パタンナーについて、いかがでしたか？
専門色の強い職業な上に、コミュニケーション力や正確さなどタフな面が多いですが、商品が出来上がりお客様の元へ渡った時の喜びもひとしお。気になる方はぜひ「パタンナー」の求人を調べてみてくださいね。
