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メリノ?コリデール?ロムニー?今さら聞けないファッション・アパレル業界マテリアル用語【ウール編】

寒い冬、1枚で暖かく着られるウールのセーターはありがたい存在です。今回は、私たちの暮らしの中でも身近な素材「ウール」について取り上げます。しかし、ウールとひとくちに言っても、その種類はさまざまあります。ここでは、メリットやデメリットなど、ウールの特徴についてしっかり学んでいきましょう。

■今さら聞けない“ウール”とは

ウールは、羊の毛を刈り取って作られる羊毛100%の織物や毛織物のこと。羊毛以外の繊維とは混合しない天然繊維です。世界には3,000種もの羊が存在していますが、どの種の羊でも、羊の毛であればウールと呼びます。

広く知られる、主な3種類のウール

まずは、太くて丈夫な毛質が特徴のロムニー種から。毛の性質上、絨毯などに適しています。ニュージーランドでは、このロムニー種の羊が一番多く飼育されており、全体の約80%がロムニー種の羊毛です。

他にも、編み用の毛糸に使われているウールは、コリデールという種の羊です。コリデール種のウールは、食肉用の羊・リンコルン種と、繊維用の羊・メリノ種を交配して作られました。毛質のやわらかいのが特徴です。コリデール種の羊は食肉にも繊維にもなることから、多く飼育されています。そのため、比較的安価に手に入るのが利点です。

そしてもう1種類は、みなさんが最もよく耳にするであろう、メリノ種という羊から取れる「メリノウール」。主に衣料品に使われることが多く、ニット製品などの他にも、紳士服、着物、高級毛布など、さまざまな製品に使われています。光沢があり、弾力性、保温性、吸湿性、放湿性、どれをとっても高品質のウール素材です。

産地によって違うメリノウール

ふんわりとやわらかい風合いが特徴のメリノウール。主な生産地は、ニュージーランド、オーストラリア、フランスの3箇所です。同じメリノ種でも、その産地によって微妙な違いがあります。

・ニュージーランドメリノ

ニュージーランドメリノの特徴は、丈夫で柔軟性があり、毛足が長いのが特徴です。

羊が人口よりも多いことで知られるニュージーランド。約8割がロムニー種であるのに対し、メリノウール生産量は約5%しかありません。ニュージーランドでは、メリノウールは比較的希少価値の高いウールです。

・ オーストラリアメリノ

オーストラリアメリノは毛足が長く、その他のメリノと比べて白さが美しい最高品質のウールです。衣類にもっとも適しているとされ、やわらかい繊維のものからファインメリノ、ミドルメリノ、ストロングメリノと呼ばれます。

・ フランスメリノ

フランスの一部でのみ生産されているウールです。飼育頭数が少なく、個体差も大きいため、布団の中綿などに用いられます。衣料品に使われることはほとんどありません。

ウールのメリット・デメリット

ウールには、どのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。

[メリット]

まずは、メリットについて触れていきましょう。

・温かい空気を取り込む

ウールには優れた保温性があります。これは、ウェーブ状の縮れ(クリンプ)によって繊維がそれぞれ絡み合い、空気を抱え込むためです。この縮れのおかげで、ウールのふんわりとした弾力性が生まれます。

・汚れをはじく撥水性

ウールの繊維には撥水性があり、水や汚れなどを弾く性質があります。このため、毎回洗濯する必要がありません。食べこぼしなどをしない限りは、ブラッシングなどのケアで十分です。

・ 放湿性が良く夏でも涼しい

冬に着るセーターの印象が強いウールですが、実は夏でも涼しく着ることができます。これは、空気中の湿気を取り込んだウールが、水分を蒸発させる時に出る気化熱を奪うためです。そのため、夏に汗をいっぱいかいたとしても、サラッと気持ちよく着られます。

・ 弾力のある毛で型くずれしにくい

弾力性のあるウールは、型くずれにも強い繊維です。たとえシワができたとしても、スチームなどを当てればすぐに元どおりになります。

・天然素材で地球にやさしい

ウールは100%天然素材です。土に還るため、化学繊維とは違って地球にやさしい繊維といえます。

[デメリット]

一方、ウールにはどんなデメリットがあるのでしょうか。

・縮みやすく、フェルト状になりやすい

ウールは、水に濡れてしまうと縮みやすくなります。強く揉み洗いなどすると、フェルトのように繊維が絡み合い、やわらかい風合いが損なわれる原因に。洗濯の際には、摩擦しないように注意しなければいけません。

・毛玉ができやすい

ウールの毛を拡大すると、“うろこ”のようなものに覆われているのがわかります。まるでそれは、人間の髪の毛にあるキューティクルのようです。このうろこ1枚1枚が擦れると、毛同士が絡み合い、次第に毛玉ができてしまいます。

・洗濯には注意が必要

水に濡れると縮みやすくなるウールは、水温や洗い方などに注意を払わなければいけません。できればドライクリーニングにお任せするのが安心ですが、もし、自宅で洗う場合は、30℃程度のぬるま湯とおしゃれ着洗い用の洗剤を使って、押し洗いをするようにしましょう。

・虫に食われやすい

天然繊維のウールは虫に食われやすいデメリットがあります。長期間保管する場合は、クリーニングした状態で保管することも大切です。防虫剤を使用して、通気性の良い場所に保管しましょう。

ウールマークが表す意味とは

ウール製品でよく目にするウールマーク。実は、3種類のマークが使い分けされています。1つは、新毛100%を表すウールマーク。もう1つは、新毛が50%以上ブレンドされていることを示すウールマーク。そして最後が、新毛の割合が30〜50%混合されていることを示すウールマークです。

ロゴのデザインはそれぞれ少しずつ違い、新毛100%の場合は、ロゴマークの下に“WOOLMARK”の文字が。また、混率50%のものには”WOOLMARK BLEND”、混率30〜50%のものには”WOOLBREND”の文字が記載されています。

ウール製品の中には、再生羊毛が使われているものも少なくありません。しかし、このウールマークが付いていれば、割合に違いはありますが、新毛を使用しているということになります。

「ウール」と「毛」の違いとは?

ウール製品の衣類表示を見ると、「毛」と表記されていることがあります。そのため、「毛=ウール」と思われがちですが、これは間違いです。

「毛」という表記は、化学繊維と区別をするためのもの。そのため、毛と表記されている衣類には、ウール以外の動物の繊維が使われた製品も多々あります。もし、衣類表示に「毛」の表記があれば、それは「動物の毛が使われている」という意味。カシミアやアンゴラである可能性も。毛という表記は、必ずしもウールではないことを覚えておきましょう。

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