世界の4大ファッションコレクションと聞いて、実はよく知らない…という方も多いのではないでしょうか? 今回は、ファッション業界で働くなら知っておきたい、世界の4大ファッションコレクションについてご紹介します。「そもそも、コレクションって何?」という疑問から、4大コレクションの特徴まで、基礎知識となる内容をご紹介しましょう。
【目次】
・コレクションとファッションショーの違い
・世界4大ファッションコレクションとは?
・ファッションウィークの意味合い
・世界4大コレクションの特徴
・ファッションウィークにはどんな人が集まるの?
・私たちがコレクションを観る方法は?
・日本の有名なファッションショー
コレクションとファッションショーの違い
「コレクション=ファッションショー」という意見もありますが、ファッションショーが「ブランドやデザイナーが1つのステージで作品を披露するイベント」だとするとコレクションは「いくつかのファッションショーをまとめた総称」だとされています。コレクションには「オートクチュール」と「プレタポルテ」の2種類があります。プレタポルテは高級既製服のことを指し、オートクチュールは高級仕立服を意味します。
世界4大ファッションコレクションとは?
前述したプレタポルテコレクションの中でも、世界4都市、ミラノ、パリ、ニューヨーク、ロンドンで開催されるファッションウィークのことを「世界4大コレクション」と呼びます。日本では一般的に、ファッションウィークよりも「パリコレ」「ミラノ・コレクション」などの○○コレクションといった呼び方で知られています。
ファッションウィークとは、ある一定期間のうちに多数のブランドがファッションショーや最新のコレクションを発表する期間のこと。このウィークは、長いときでは10日間ほど続くこともあり、ファッション業界の来シーズンの動向を占う重要な指標です。
ファッションウィーク自体は世界各国で多数開催されています。中でも特に代表的なのが、今回取り上げる世界4都市で開催されるコレクションです。開催されるのは 1〜4月と、9〜11月の各期間に1度ずつ。春夏と秋冬の年2回のみ開催されるファッションイベントです。そして、その対称的な存在となるオートクチュールのファッションショーは、パリとローマの2ヶ所で開催されます。同じパリコレクションでも、オートクチュールは7月に開催され、時期も会場も違うので覚えておきましょう。
ファッションウィークの意味合い
ファッションウィークは、各ブランドが来シーズンにどんなファッションを売り出そうとしているのか、どんなテーマを掲げて新作を発表するのかを提示する場です。基本的には半年先の流行を先取りするため、1〜4月にはその年の秋冬ものを、9〜11月には来年の春夏ものをと、半年先取りのファッションを発表します。
ファッションウィークは、ブランドが打ち出すコンセプトや世界観を伝えるのが目的です。「どうやって身につけるのだろう」「どんなシーンで身につけるのだろう」と、疑問を感じるファッションも時折登場しますが、あくまでブランドが打ち出そうとしているコンセプトやテーマが重要です。
世界4大コレクションの特徴
ここからは、世界4大コレクションのそれぞれの特徴を見ていきましょう。
●ニューヨーク・コレクション
1962年、アメリカン・デザイナーズ協会が発足したことを機に開催されるようになったコレクションです。ニューヨーク・コレクションは、4大ファッションコレクションの中で最初に開催されます。
ニューヨーク・コレクションの特徴は、実用的、現実的なファッションが多くラインナップされるという点です。シンプルな仕立てのものや機能的なコーディネートができるものなど、他のコレクションに比べると、一般にも取り入れやすいデザインが多く登場します。また、最近では男女ボーダレスの傾向が強いのもニューヨーク・コレクションの特徴です。明確にメンズとウィメンズを分けず、男女混合で行われるショーが増加しています。
●ロンドン・コレクション
ロンドンは、パンクやモッズ、ミニなどの流行を作り出した場として、ファッションの歴史を語るうえで重要な都市です。ロンドン・コレクションは80年代に開催されるようになり、90年代に入ると、4大コレクションの一つとして数えられるようになりました。
ミラノ・コレクションが大人向けのコレクションであるのに対し、若者のストリートファッションなどからも影響を受けているのが特徴です。現在では若手デザイナーがパリやミラノへと進出する足がかりとしてロンドン・コレクションを捉えている傾向があります。
●ミラノ・コレクション
1976年から続くミラノ・コレクションは、ロンドン・コレクションの後に開催されます。ミラノ・コレクションは、ブランドが独自の会場を設けることが多く、特に女性のファッション界に大きな影響を与えるコレクションとして認識されています。規模としては、パリ・コレクションの次に規模が大きく、参加するメーカーやブランドは200社以上。新作発表の場、受注会の場として、各メーカーやブランドが重要視しているコレクションの一つです。
●パリ・コレクション
メンズのパリ・コレクションは1月、ウィメンズのコレクションは2〜3月にかけて開催されます。パリ・コレクションが開催されるのは、ミラノ・コレクションの翌週。100以上のブランドが集る、プレタポルテのショーの中ではスケールの一番大きなファッションショーです。パリ・コレクションは、デザイナーやモデル、それからショーを支えるヘアメイクなど、多くの人が憧れる舞台。他のコレクションに比べ、ステータスや世界的注目度などに圧倒的な違いがあります。
ファッションウィークにはどんな人が集まるの?
世界4大ファッションコレクションともなると、集まるのは世界で広く知られる有名ファッション誌のエディターや、批評などを行うファッションジャーナリスト、カメラマン、百貨店やセレクトショップのバイヤーなどです。また、歌手やモデルなどのセレブリティも、ブランドにとって商品を世界へと広めてくれるインフルエンサーですので、招待客の対象となります。他には、ブランドを愛用している王族や財閥などの富裕層もVIPとして招待されることが多いです。基本的には、一般客の入場はできません。
長ければ10日間以上にも及ぶファッションウィークですが、各ブランドのファッションショー自体は、各ブランド10分〜15分程度しかありません。エディターやジャーナリストらは、来シーズンの重要なコンセプトやテーマを短時間でキャッチする必要があります。
私たちがコレクションを観る方法は?
世界4大コレクションではチケットの販売などはなく、入場できるのは招待状を持っている人のみ。その招待状も本人しか使用できないため、転売されることもありません。しかし、ひとつだけコレクションを観る方法があります。それは現地に向かい、会場前で並んでみる!ということ。コレクションは複数のファッションショーが都市の至る所で開催されるため、ブランドによっては満席にならない場合があります。その場合、席を埋めるために一般客を無料で入れてくれる場合があるのです。一か八かの方法ではありますが、実際に地元の人々やファッションを学ぶ学生が並ぶ様子が毎回目撃されています。
日本の有名なファッションショー
最後に、日本で開催されているファッションショーを紹介します。
●東京コレクション(Rakuten Fashion Week TOKYO)
日本を代表するファッションショーと言えば東京コレクション(2020年春夏シーズンから「Rakuten Fashion Week TOKYO」に名称を変更しましたが、通称“東コレ”と呼ばれています)。世界4大コレクションと同様、毎年春と秋の2回開催で、日本の主要都市である東京で開催されることから国内では「世界5大コレクション」と呼ばれることもあります。しかし、世界的に通用する呼び方ではなく、あくまで国内での通称ですので覚えておきましょう。東京コレクションの始まりはTD6と呼ばれる団体の発足がきっかけでした。TD6とは「トップデザイナー6」の略で、山本寛斎、コシノジュンコ、菊池武夫、金子功、花井幸子、吉田ヒロミら6人のトップデザイナーにより、1974年に日本にもファッションショーの風習を作る目的で結成されました。後に川久保玲、松田光弘、三宅一生、森英恵、山本寛斎、山本耀司の6人のデザイナーがCFD(東京ファッション・デザイナー協議会)を立ち上げ、現在の東京コレクションを開催するに至りました。
●東京ガールズコレクション
東京コレクションと混同されがちなのが、東京ガールズコレクションです。東京ガールズコレクションは2005年からスタートした若い女性をターゲットにしたアパレルブランドの販売会と、それに伴うファッションショーのこと。東京コレクションや、世界4大コレクションのようにプレタポルテ(高級既製服)ではなくリアルクローズ(日常でも着られる服)のファッションショーです。モデルの他、タレントやアイドル、YouTuberなどが出演します。チケットも販売され、一般層にもオープンなエンターテインメント性の高いファッションショーであるのが特徴です。
●関西コレクション
「大阪から世界へ発信する関西の文化イベント」をテーマに2011年からスタートした京セラドーム大阪で開催されるファッションショー。東京ガールズコレクションと同様、若い女性をターゲットにしており、関西コレクションならではの特徴として無料エリアも用意されているなどより一般開放されたイベントです。
●神戸コレクション
東京ガールズコレクションや関西コレクションと同じ、リアルクローズファッションショー。「阪神・淡路大震災の神戸の街を元気づけたい」という想いから2002年にスタートし、消費者参加型のファッションショーの先駆け的存在として数々のフォーマットを築きました。東京ガールズコレクションとは競い合いながらファッションショーの文化を若年層に浸透させ、2016年にはこの2つのファッションショーが提携したことでより力強く日本のガールズカルチャーを世界へ向けて発信しています。