社会人なら必ず覚えておきたいのが、役職と敬称の正しい使い方ですよね。役職と敬称は使用される機会が多いものの、意外と間違えてしまいやすいビジネスマナーです。今回は、役職と敬称の使い方と、主に使われる敬称について解説していきます。間違えた呼び方で相手をムッとさせてしまうことのないよう、今のうちにおさらいしておきましょう!
【目次】
・役職と敬称についておさらい
・役職にはもともと敬称が込められている
・社外の人と自社の役職者について話すときは?
・他社の役職者を呼ぶ場合は要注意
・「様」「殿」「氏」「御中」、敬称はどう使い分ける?
役職と敬称についておさらい
まずおさらいしておきたいのが、役職と敬称について。役職とは、組織内での役割やポジションを表した呼び名のことで、「社長」「専務」「常務」「部長」「課長」などがあります。
そして敬称とは、相手に対する敬意を表す表現で、名前や肩書きに続けて用いる接尾語・代名詞のこと。「様」「殿」「氏」「御中」などがあります。
役職名にはもともと敬称が込められている
新入社員が役職者を呼ぶ際にやってしまいがちなのが、「目上の人には敬称を」との思いから「○○部長様」のように役職のあとに敬称をつけてしまうこと。実は、役職にはもともと敬称が込められており、二重敬語になってしまうため、「○○部長」と呼ぶのが正解です。これは会話でもメールでも同じで、どんなに上の立場の人間であっても、「名前+役職」という形が基本。役職の後に「様」や「さん」などの敬称はつけないよう気をつけましょう。
<使い方例>
・正 「○○部長」
・誤 「○○部長様」
※役職の後に「様」や「さん」は付けません。
社外の人と自社の役職者について話すときは?
自社の人間のことは「名前+役職」が基本、ということがわかりましたね。では、社外の人と話しているときに、自社の役職者を呼ぶ場合はどうでしょう? 実はこの場合、呼び捨てするのが正解です。
社外の人と接する際、自社の人間は身内と考えます。社外の人に対しては、自社の人間の立場を低くし、へりくだって表現するのがビジネスマナー。社長や上司であっても敬称は使わず、呼び捨てで呼ぶのが正しい表現です。敬意を向ける相手は自分の上司ではなく、社外の人であるということを覚えておきましょう。
これは会話をしているときだけでなく、電話対応やメールにも適応されます。ビジネスマナーができていないと、自分だけでなく会社自体の印象を悪くしかねないので、慣れるまで練習しておくといいですね。
<使い方例>
・正 「○○はただいま不在です」 「部長の○○はただいま不在です」
・誤 「○○部長はただいま不在です」
※自社の役職者を呼ぶ場合は、名前の後に「役職」は付けません。
他社の役職者を呼ぶ場合は要注意
それでは、他社の役職者はどのように呼んだらよいのでしょうか? 丁寧に話そうとするあまり「社長様はいらっしゃいますか?」と役職のあとに敬称を続けていませんか?しかし、前述したように役職に敬称はつけません。「役職+敬称」は二重敬語なので、相手に対して失礼な表現です。他社の人間であっても「○○社長」など、役職を使って呼びましょう。とはいえ、「様」や「さん」などの敬称がないと、相手に失礼に思われないか心配になる人もいるかと思います。そのような場合は、「社長の○○様」と「役職+苗字+様」で呼ぶようにしましょう。「様」は名前につけるというポイントをしっかりと押さえておいてくださいね。
<使い方例>
・正 「○○社長」 「社長の○○様」
・誤 「○○社長様」
※他社の役職者でも、「役職+敬称」は二重敬語になるので注意が必要です。
「様」「殿」「氏」「御中」、敬称はどう使い分ける?
ビジネスシーンで使われる敬称には、主に「様」「殿」「氏」「御中」があります。使うべき場面や対象はそれぞれ異なるので、きちんと使い分けられるようにしておきましょう。
「様」は口語でも文面でも使える便利な敬称
「様」は相手に敬意を示したいときに名前に付ける、一般的な敬称です。上司や先輩社員はもちろん、同僚や後輩など、立場の上下に関わらず使えます。口語や文章でもよく用いられます。場面や使う相手を問わずオールマイティーに使えるので、とても便利な敬称といえるでしょう。ただし、「様」は個人名に添える敬称なので、組織や団体には使えません。ビジネスシーンでは、社名や部署に「様」を付けてしまわないよう注意が必要です。
<使い方例>
・正 「○○様」 「株式会社□□□ ○○様」
・誤 「○○社長様」 「株式会社□□□様」
※上司や先輩社員、同僚、後輩など幅広く使えますが、社名や部署に「様」は使いません。
「殿」は目下の人に対して使うのが一般的
「殿」は事務的・公式的な文書などで用いられることの多い敬称です。昔は身分の低い者から高い者へ使われていましたが、今は目上の人が目下の人に対して使う言葉とされています。そのため、目上の人に「殿」を使うと、見下されていると感じる人も少なくありません。知らず知らずのうちに反感を買ってしまう可能性もあるので、目上の人には「様」を用いるのが無難です。また、口語では「殿」は使われず、「様」を使うのが自然です。
「氏」は第三者に対して文面で使用することが多い
「氏」は主に、口語ではなく書き言葉として用いられる三人称です。今は男女同様に使える敬称ですが、宛先に使われることはなく、肩書きを別にして紹介するときに使用します。例えば、「株式会社□□□の○○氏が立ち上げた新しいブランド」「講師を務めていただくのは株式会社□□□の○○氏」など、第三者に対して文面で、その方を紹介する際の名称と考えるといいでしょう。
「御中」は会社や団体につける敬称
「様」や「殿」と異なり、「御中」は会社や団体などに続けて使う敬称です。「株式会社□□□御中」「株式会社□□□ 人事部 御中」というように使います。組織名に用いる敬称なので、個人名や役職名につけてしまわないように気をつけてくださいね。
<使い方例>
・正 「株式会社□□□御中」 「株式会社□□□ 人事部 御中」
・誤 「株式会社□□□ 御中 ○○様」 「株式会社□□□ ○○ 御中」 「株式会社□□□ ○○様 御中」
※宛名に企業名が入っていても、個人宛の場合は「御中」は使いません。
今回は、役職と敬称を使う際のマナーについてご紹介しましたが、いかがでしたか?役職や敬称は間違えて使うと自分が恥をかくだけでなく、相手にも不快な思いをさせたり、自社のイメージに傷をつけたりする可能性も考えられます。社会人として働くからには、きちんと使い分けられるようにおさらいしておきましょう。また、役職や敬称のマナーは、企業によって異なることがあります。新しい勤め先の場合は先輩社員に聞くなどして、社内のルールを把握しておくといいですね。