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日本のファッション業界を動かす一人。 アツい、もとい松井智則さんにインタビュー【前編】

アッシュ・ペー・フランス(以下、HPF)のPR事業部として世界中のさまざまなブランドのPR業務、イベント企画、また合同展示会roomsの企画・PRなど、その幅広い活動で知られるPR01.が設立から10年を経て、今年3月1日、株式会社ワンオーの事業部となり(設立日は2016年12月19日)、独立しました。

PR01.の幅広い業務内容は、今の日本のファッション業界において非常な重要であり、さらなるその活動に注目が集まっています。代表取締役の松井智則さんに、会社のこと、PRにふさわしい人材、また業界のことなどをお聞きしました。
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株式会社ワンオー設立の経緯とは?

−HPFから独立し、ワンオーを設立した経緯についてお伺いできますか?

HPFに入って17年になりますが、本当に面白い会社。EU本部、デコ本部、アート本部、日本本部、原宿プロジェクト本部など、いろんな文化を伝える本部があるけれど、ベースにあるのは小売事業。そこにroomsなど他社が来場するイベント本部があり、他社をPRするPR01.がある。

PR01.として10年やっていくうちに規模が大きくなり、会社全体の売り上げを占める割合も大きくなったんだよね。ただ会社全体としては先にも言った通り、小売がベース。PR01.をもっと伸ばしたいと思っていても、なかなかPRのプロを育てていくのには限界があると感じた。

PR業務は人ありき。自分のキャラがあって、人が集まってくれて、クライアントが「松くん、松くん」言ってくれて、外部のコンサルやPRをやるようになっていった。それに対してやっぱりもっといいサービスを返していきたいとなると、“人”にもっと投資をして、組織を作っていきたいなと思って。

−PRのプロとしてのスタッフを育てたいという思いが強いのですね。

どちらかというとブラ下がりたいんだけれどね(笑)。
実際、嫁いないし、オンオフの境なく働いてきて、会社のスタッフを家族のように思っている。社会とつながるのって仕事しかないし、俺の場合仕事っていうより夢でいろいろやってきたというところがある。それってジョン・レノン好きにも通じるんだけれど、夢ってみんなで一緒にやらないとできないことが多い。そうなっていくと、それぞれ自分にしかできない何かしらの才能を持っている人たちといかに一緒に育っていくか。育てるという意識より、仲間を広げていきたいんだよね。

そして方針としては、女性をすごく応援していきたいというところがある。もともと上司が平尾(佳世子)さんだったり、その後roomsの佐藤(美加)さんだったり、多くの女性と一緒に働いてきて、自分に足りないところだったり、頭の切り替えだとか、いろんな意味で女性のすごさを間近で見てきた。だから女性活躍を強化していきたいと思っている。

PRに必要なのはキャラクターよりも“人間臭さ”のある人

−そんな松井さん率いるPR01.のスタッフにはどんな特徴がありますか?松井さんが考えるPRスタッフに必要な条件は?

正直そこまでキャラクターにはこだわっていないかな。必要なのは愛嬌とか、人の気持ちがわかるとか、当然のことなんだよね。俺、人間臭い人が好きだから。キャラ的な商売にしていくと、その人がいなくなっちゃったときどうなるか、ということもある。もちろん理念は残るとしても、PR事業をこの先100年、200年残せるようにするにはどうするか。それで経営者として思い立ったのが、もっと人と人とがつながっていけるような体制が作れないかなってこと。

これまでも一気にPR01.を盛り上げてくれた面々がいて、みんなそれぞれキャラがあったけれど、彼らが巣立った後も引き継がれていっている。その時があるから70以上のブランドを取り扱っていると思ってる。

−確かにPR01.のスタッフの皆さんは温かい感じがします。何か特別な教育方針などがあるのでしょうか?

もともと業界内での暗黙のルールとして、PR側と業界人の方の間にある上下のような関係性を疑問視していた。うちもクライアントからお金をいただいて、PRをやっている。それにこのブランドたちがなければ雑誌もスタイリストも成り立たない。なのになぜかすごく上からで、俺の立場としては「それはやめろよ。そこは媚びる必要はないし、みんな平等だぜ」って。

でも愛嬌とか自分の魅力で扱っているクライアントの商品を2倍3倍に輝かせられるよう努力はしなさいと。それはいい続けているところ。だから編集さんに会ったりしても媚びたりしないし、そういうのをやりすぎてチャラいとか言われるけれど(笑)。でもファッション業界っていう小さな世界のなかで、上も下もないし、やっている業務なんかはそれぞれ違えど、みんなが一生懸命協力していかなきゃ雑誌も潰れるぜっていうときなんだからさ。

後編へ続く>>

“キャラクター”を売りにするのではなく、“人”という存在価値を大切に考えている松井さん。人と人とのつながりを大切にしながらも業界全体を見据えるその姿勢を通じて、PRという業務の奥深さを改めて考えさせられます。後編ではワンオーとしての活動や、今後の展望についてお聞きしていきます。

Interview&Text:Etsuko Soeda
Edit&Photo:Mio Takahashi(Fashion HR)

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