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世界をリードする女性たちに共通すること|「NEW YORK/TOKYOファッション業界の女性エグゼクティブたち」著者インタビュー

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ニューヨーク市内にあるファッション工科大学(FIT)の大学院で出会った日本人女性2人が、ニューヨークと東京で活躍する女性エグゼクティブたちのキャリアストーリーを取材し、その内容を一冊の本「NEW YORK/TOKYOファッション業界の女性エグゼクティブたち」にまとめました。様々なバックグラウンドと職業を持つ日米8人のファッション業界のロールモデルが登場。多角的な視点の取材を通して明らかになった、すべての女性がキャリアを築く上でのヒントとは?著者のダグラス陽さん、保田優衣さんにお聞きしました。

「NEW YORK/TOKYOファッション業界の女性エグゼクティブたち」ができるまで

-ファッション業界の女性エグゼクティブを取材する上で、対象者をどのように決めていったのでしょうか。

ダグラスさん(以下、敬称略):“ファッション業界で働く若い女性にとってのロールモデルとなれるような人”という視点で取材対象者を選びました。留意したのは、職種や業種、年齢や既婚か未婚かなど、異なるバックグラウンドを持つ人にバランスよくインタビューすることです。結果的に、様々なタイプの女性ロールモデルのストーリーを掲載することができました。経営者、デザイナー、セールスなど、異なる職種でそれぞれの道を極めている方たちのストーリーの中で、もっとも自分に合ったキャリアモデルを読者に見つけてもらえればと思います。

-取材交渉に対して、どんな反応がありましたか?

ダグラス:私はニューヨークの取材を担当したのですが、皆さん想像を超えて協力的でした。“女性エグゼクティブをいかに増やすか”というテーマに、大いに賛同してくれたのです。取材した方たちはグローバルに活躍するビジネスウーマンなので、日本の女性が抱える問題や独特な文化についても理解している方が多く、通常取材は受けないという方でさえ、インタビューの時間を割いてくれました。

-取材を通して特に印象的だったこと、学んだことはどんなことですか?

保田さん(以下、敬称略):私は日本のエグゼクティブを中心にインタビューしましたが、性別を理由に「(女性だから)~できない」という発想を持った方が一人もいませんでした。性別を気にせず、周囲に対して常に「個」として勝負されてきた方ばかり。その中で、女性としての美しさ、芯の強さを持ってキラキラ輝いていらっしゃるところに魅力を感じました。日本女性が「性差を感じる」「自信が持てない」のは、環境や周囲だけが原因ではなく、「女性自身の心持ちにある」「女性自身が変わらなければダメ」と多くの方が口にしていました。その壁を乗り越えてきた自信と誇りが、彼女たちを前向きでパワフルに輝かせているのだなと改めて感じました。

ダグラス:仕事もプライベートも充実している女性エグゼクティブたちに共通しているのは、非常にフレキシブルで、柔軟な発想の持ち主だということ。通常ならこれは無理、と諦めてしまうようなことでも、何とかできる方法を考える、とりあえずやってみる、という姿勢を持っているのです。取材の中で「子どもが体調を崩したなど、必要な時は家庭を優先する」「同僚と信頼関係を築いて緊急事態にはお互いカバーし合う」「その分、感謝の気持ちと仕事への貢献を忘れずに」といった彼女たちの言葉が印象的でした。つまり、不要な遠慮をしたり、諦めてしまう前に、自らのリミットではなく可能性に目を向ける、というキャリア、そして人生に対する姿勢です。そして、この「クリエイティブな発想で、可能性に目を向ける」ということは、ビジネスをする上でも非常に重要なスキルですよね。

“女性たちの将来に明るい展望が湧いてきたら嬉しい”

-今回の書籍を通して読者に一番伝えたいメッセージとは?

保田:生き方は十人十色で、正解なんて1つもない。大切なのは、自分の選んだ道に誇りと自信を持てることだと思います。これから夢に向かって人生を切り開いていく女性たちが、岐路に立った時に、選択肢すら思いつかずに夢や目標を諦めてしまうのはもったいない。この本を読んで、「そういう生き方もあるんだ」と、自らの選択肢の幅を広げるきっかけになってもらえたら。

ダグラス:もちろん、全ての女性が昇進してリーダーになりたいと考えているわけでもないでしょうし、そうなる必要があるとも思いません。また、家庭との両立についても、当然育児や家庭に専念したいと思う女性もいるでしょうし、そうせざるを得ないケースも多々あると思います。ただ、心の底ではキャリアで成功したいと願っているのに、社会の風潮や期待に流されて手を挙げることができない。本当は才能があるのに、思い切り才能を全面に出す事ができない。本当は仕事を続けたいのに、子育てと両立する選択肢が見えない。そうした女性たちがこの本を読んで、なるほどと思ったり、将来に明るい展望が少しでも湧いてきたら嬉しいです。

twoshot著者の保田優衣さん(左)とダグラス陽さん(右)

-ダグラスさんは2児の母でもありますが、ご自身の子育てや家庭と仕事(や勉学)を両立させるためのコツや実践していることについてお聞かせください。

ダグラス:本に登場する女性エグゼクティブの方も「キャリア形成で最も大切なのはパートナーの理解、パートナー選び」と度々話していますが、その通りだと思います。FITの大学院は夜間のクラスだったのですが、二人の子供がいる私はスケジュールを見て、「夜、週に3日間も家を空けるのは無理」と即断しました。ところが夫が私の背中を押してくれたのです。「18ヶ月間、夜に家にいないのは、長期的な視点では大したことではない。僕が協力するから大丈夫」と言ってくれました。結果、何とか乗り越えられたし、大学院に行って本当に良かったと思っています。

また、細々とでもいいからどうにか仕事を続けることでしょうか。私の場合、子どもが生まれたばかりの時期は一時的にフリーランスで仕事をしたり、自分のペースで進められる仕事を選んでいました。保育料などが高額で収入も下がってしまったので、家計的には専業主婦でいたほうが良かったのかもしれませんが、履歴書にブランクを作ってしまうと、自分の気持ちとしても再就職のハードルが高くなるように思います。

-ニューヨークの働く女性たちの子育て事情は日本とは違いますか?どんな点に違いを感じますか?

ダグラス:日本も待機児童などの問題がありますが、ニューヨークの子育て環境は日本と比べてもっと厳しいです。公立の託児所や学童保育がないので、働く女性はみな高いお金を払ってベビーシッターを雇ったり、私営の託児所に預けたりしています。なので、一部の恵まれた女性しか子育てと仕事を両立できていないのではないでしょうか。ある一定の収入がないと子供の預け先を財政面の理由から確保できないからです。一方で、子育ては女性のものといった風潮はほぼ皆無なので、夫が子育てを主に担当して妻が家計の柱を支える、といったカップルもよく見かけます。

また、家族を大切にする文化が根付いているので、男女問わず職場で与えられた責任さえ果たせば、毎日定時で帰り、夕食は家族で過ごす、というのがスタンダードかと思います。その点では、仕事を持つニューヨーカーの家庭で過ごす時間の量と質は高いのかもしれません。

著者が描く今後のキャリア構想とは?

-今後のご自身のキャリア構想についてお聞かせください。

保田:私は一度ファッション業界を離れ、戦略コンサルティングの会社で働いています。他の業界に触れ、社会の流れや会社の在り方を学んだ上で、ファッションが人の生活にどう関わっていけるのかを見つめ直したいなと思っています。将来はファッション業界全体をサポートするコンサルタントとして、私なりの新しい切り口の提案が出来ればと思います。

ダグラス:大学院を卒業してニューヨークに住んでいるのですが、ビジネス環境がめまぐるしく変わるのを肌で感じています。そのため正直、明確なキャリア構想というのは持っていませんし、あまりキャリアを決め込んでもその通りにはいかない時代なのではと思っています。ですから、自分の核となるスキルと興味(私の場合、オンラインビジネスやコンテンツ作り)を磨いて、時代のニーズを読み取り、そこに応えていくことが大切かと思っています。

ライフスタイルが多様化している現代だからこそ、自分らしい働き方、生き方があるはず。その上で何を正解とするかはその人次第です。だからこそ自分の核となる価値観を磨くことが大切であり、多彩な顔ぶれのロールモデルから学ぶことはきっと大きいでしょう。自身の道を切り拓く女性エグゼクティブのパワーを目の当たりにした著者たちの言葉には強い説得力がありました。

AUTHOR著者プロフィール

ダグラス陽(だぐらす・よう)

お茶の水女子大学卒。ファッション雑誌編集部、通信社シンガポール支局などを経て、外資系eコマース企業のマネジャー職を歴任。2014年Tomodachi/Uniqlo奨学生としてNYのFashion Institute of Technology (FIT)大学院のマネジメントプログラムに参加。現在、NY在住。

保田優衣(やすだ・ゆい)

北海道大学経済学部卒。2012年、NYのパーソンズ・スクール・オブ・デザインにてファッションマーチャンダイジング準学士号取得。その後、米国老舗ブランド「ブルックス ブラザーズ」の日本支社にてバイヤーとして活躍。2014年、Tomodachi/Uniqlo奨学生に選出され、NYのFashion Institute of Technology (FIT)大学院のマネジメントプログラムに参加。2016年4月より株式会社ICMGにてコンサルタントとして勤務中。

「NEW YORK/TOKYO ファッション業界の女性エグゼクティブたち —ロールモデルから学ぶキャリア形成のヒント−」

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ファッション業界で自分らしいキャリアを築くには? マイケル コースNY社長、ケイト・スペード ジャパンCEOなど、ニューヨークおよび東京のファッション業界で活躍する女性エグゼクティブ8人が本音で語ったキャリア形成における葛藤やその乗り越え方。女性エグゼクティブというロールモデルを示した、次世代のリーダーのためのキャリア指南書。

 

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