山崎さんに聞く、仕事と家庭の両立のためのQ&A
ユナイテッドアローズ(以下、UA)最年少、女性初の執行役員で4月から新たにUA本部副本部長に就任した山崎万里子さん。現在一児のママでもあり、育児と両立させながら副本部長としての重責を担う毎日を送られています。
今回お届けする【番外編】では、Fashion HRに寄せられたリアルな働くママたちの抱える悩みについて山崎万里子さんに回答していただきました。自身が経験したことで分かった仕事と家庭の両立のための解決策は働くママの参考になるでしょう。
Q1: 「出産、復職後の職場はどのくらい理解してもらえるのでしょうか?対応が不安です」
「大丈夫、大丈夫ではないとは一言では言えないところですね。もちろん会社としては最低限のインフラを用意していたとしても、それ以上の事は個人によるところが大きいので、産休に入る前までに作り上げてきたお仕事と信頼関係によると思いますよ。やっぱり一仕事して、きっちり準備してきたら、その人をサポートしようと周りも動いてくれるはず。出産を経て復帰したいのならば、その前にしっかりと仕事することだと思います。「あの人が復職してくれなきゃ困る! 」という仕事の仕方をすることが一番復職をスムーズにする方法だと思います」
Q2:「 産休後の職場での付き合い方、産休中のコミュニケーションの取り方とは?」
「育休中は制度として基本的に会社側からコンタクト取ってはいけないと思うんですよね。UAでは、復帰後スムーズに環境に慣れてもらえるよう、育休中のメンバーに会報紙を配布していて、1年の間に何が起こっているのか最低限は把握してもらうようにしています」
Q3:「自分の時間はありますか?息抜きはできていますか?」
「ないですよ(笑)。自分の時間と言えば通勤時間くらいですね。でも私は産休中と、復職後とどちらがリフレッシュできているかと言われると、今なんですよ。むしろ仕事が息抜きなんですよ(息抜きっていうのとは少し違うかもしれませんが)。とてもリフレッシュできています。
私が子育てしていて一番参ったなって思ったのは、子どもは予測不可だということ。次に何やるかわからない、明日元気かもわからない。そういう存在と24時間どっぷり一緒にいることはやはり大変!会社に戻ってきて一番に思ったのは、周りには健康な大人しかいなくて、話をすればわかりあえる。解決可能な課題があるということ(笑)。どんな問題があっても解決できるということをむしろ新鮮に感じています」
Q4: 「産休前体調が不安定になるのですが、頑張らなければいけないプレッシャーもあります。どのようにうまくやるべきでしょうか」
「命を生むということなので、体調が不安定になるのは当然。仕事のストレスをなくそうとするとそのことが余計ストレスになります。やはり妊娠中仕事をしたり、仕事をしながら子育てしていると解決できない問題をゼロにすることはできません。だから頑張らなくちゃというストレスはあって当たり前。
子育てのストレスを0にすることは不可能ですから。ストレスやプレッシャーがある中で自分の良いコンディションをキープするにはどうしたら良いかを考えることが大切だと思います」
Q5: 「急な子どもの病気などの対応に不安を感じています」
「馬力をあげることですね(笑)。私の場合、両親にもサポートしてもらっていますが、それ以外のもたくさんのアウトソーシングに登録していて、病気の時は専門のベビーシッターにお願いするなど、緊急時などに備えるセーフティーネットをたくさん準備しています。
全部自分でやろうとしたら無理です。今働く女性は短い時間で仕事をしてその前後で100%の子育てをやろうとしています。私は基本的に子育ては一人でするものではないと思っています。母親という責任感で、自分ですべて背負いこんでしまうと首を絞めることになります」
(2015年8月に誕生したお子さんと旦那さまと撮影)
働くすべての女性にメッセージ
−最後に、働く女性たちへメッセージをお願いします。
私は、10年に1回くらい、自分に負荷をかけてステージを変えるということを意識しています。社会人になり、大変だったけどそこを突破したから成し得たことがありました。
1度目は管理職を目指して権限委譲を学んだこと。2回目はマーケティングの部門になった時。そして3回目は今です。0歳児を育てながら仕事をするということ。人生で一番大変だった時とは?と聞かれたら確実に今なんですよね。でも、自分で選択しているんです。1回目と2回目までは大変さにへこたれそうな気持ちがあったんです。でも今は笑えるんです。すごい状況にある自分を笑えるって、経験を積んでタフになった証拠だと思います。
子育てしながら仕事するって面白い、笑えることなんだよって思えるようになりました。一皮むけるのも体験からだと思います。そんなことでへこたれている場合じゃない。状況は変えられない、楽しめるかへこたれるか、変えられるのは自分の心の持ちようだけだと思っています。
今回のインタビューは、働くすべての女性、特に出産を控える方やワーキングマザーにとって力強いメッセージになったのではないでしょうか。
これまでの豊富な経験を糧に、育児と仕事の両立の大変さを笑ってこなしているという山崎さん。ここに至るまでに相当な努力と苦労があったことは想像に難くありません。そしてその苦労を楽しめるのは、その先にご自身が望む新しい未来が待っていることを知っているからなのでしょう。
山崎さんの新たなステージでの活躍がますます楽しみです。
(Interview&Edit : Fashion HR編集部)
今回お話を伺った山崎万里子さんの著書
『仕事の不安を一つひとつツブしていくやり方〜五つの壁の乗り越え方』
(株)ユナイテッドアローズ最年少・女性初の執行役員の山崎万里子さんがクリエイティブ&マネジメントの極意を伝授する一冊。