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㈱ユナイテッドアローズ執行役員 山崎万里子さんに聞く「仕事と育児の考え方 」|Fashion HR ワーキングママインタビュー【後編】

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㈱ユナイテッドアローズ(以下、UA社)最年少、女性初の執行役員で4月から新たにユナイテッドアローズ本部(以下、UA本部)副本部長に就任した山崎万里子さん。現在一児のママでもあり、育児と両立させながら副本部長としての重責を担う毎日を送られています。インタビュー続編では、女性が活躍できるUA社の環境について、お話を伺いました。

前編はこちら>>

UA社の学べる環境、そして女性の立場になったサポート体制とは?

−著書で、仕事の意識が低い人の増加について書かれていますが、部下の仕事に対する向上心やキャリア志向を高めるための、山崎さん流マネジメント方法とは?

無理にキャリア志向にしようとは思っていないんです。やはり会社の中には“成長意欲の強い人”と“ルーティンを確実にこなし、人をサポートしたい人”がいて、どちらも必要なんですね。お子さんを育てながら仕事をしている人もいますし、誰もがキャリア志向なわけではなく、ファーストプライオリティはバランスを取ることだという人もいます。それは人それぞれの生き方だと思います。

UA社では定期的に上司との面談を実施し、本人の志向を確認しながらなるべく対話をするようにして、どちらの選択をしても良い状況を作ることを心がけています。

−様々なキャリアに対する考え方があり、それぞれの人への対応の仕方も変えているということですね。

モチベーションを高める方法も全然違います。キャリア志向のフェーズにある人はこちらがやる気を焚きつけると後は自分で道を切り開いていきます。ですから面談では、なるべく先の話をするようにします。逆にバランスの重視のフェーズにある人は、将来的にどうやっていきたいのかなど聞いても、おそらく目の前のことで頭がいっぱいのはず。そういう状況下のスタッフには「サンキュー!」を伝えます。とにかく感謝を伝えるのです。

いろんなタイプの人間がいて会社が回るのですから、自分が今どのフェーズにいるのか把握してもらうこと、そして互いの存在に感謝を持ってもらうことが大事です。それがいいチームになっていく秘訣だと思います。

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(2016年4月1日にオープンした、ユナイテッドアローズ アトレ恵比寿 ウィメンズストア)

一人一人がチャンスをもらい成長ができる会社

−山崎さんに続き、UA社で2人目の女性執行役員が登場したということですが、UA社は女性にとって働きやすい環境だと思いますか?学べる環境など会社の福利厚生についてお聞かせください。

「両立支援」という名の、仕事と家庭を両立するためのライフライン、サポートするための仕組みが充実しています。教育の面ではコーポレートユニバーシティがあって、そこではいろんなカリキュラムを自主選択して学べる環境があります。当社は地方のお店も発達しているので、地方店のスタッフのオンラインでの受講が増えています。

−カリキュラムとは?

もちろん店舗運営についてもありますし、中級以上になるとロジカルシンキング、会計、決算、事業開発の仕組みを勉強したりもします。それは強制的に受けるものではなく、自主的に自分が選択して受けたいと思う人が学べるんです。会社が将来の幹部を育成するための制度はこれ以外にもありますし、教育には投資しています。

ただ、上級管理職以上になると会社に育ててもらう、という人はいないんですよ。そこから先は自分次第だと思います。今の執行役員の人たちは、会社から指示される人はほとんどいません。受動的な仕事のやり方ではまったく務まらないんです。会社から重責を担うチャンスをもらっている一方で、会社が育ててくれるのではなく、自分から成長して、貢献していくという姿勢が大切ですね。

−ではジュニアからミドルになるまでは会社が支援する体制を敷いていて、そこからは自分自身で成長していくということが、UA社での基本的な考えなのですね。

はい、準経営者ということになりますので、簡単に言うと起業体験をさせてもらっていると思うんです。幹部クラスが会社から与えてもらっている教育は、学校に行かせてもらうというより体験ですね。全部の権限をもらえるので、何に投資するのか、人の採用に関して、店舗の出店計画についてなど、すべて自分自身なんです。経営者に対するアプルーバルは年度の部門の経営方針と計画です。アドバイス的な指示は時にはありますが、何か大きな指示が入るのは、基本的に言った通りのことができていない時だけですね。

−女性であることで何か差を感じたことはありますか?

男性と女性の差はまったくないです。私ももう1人の女性幹部も「女性として苦労した点はありますか?」とよく聞かれますが、まったくないです。女性活躍推進というよりも、私たち幹部クラスになると男女活躍の上で、男女の差がないということです。ただ会社全体でみると女性の部長職は少ないので、4月1日から女性活躍推進法に対して、UA社としてもアファーマティブアクションとして一定率人数を増やしていくプランがあります。

「管理職に就くこと=活躍」ではない

−UA社としては女性活躍に積極的なプランをお持ちなんですね。

根本的な私たちの人材に対する考え方として「管理職に就くこと=活躍」というわけではなく、超優秀なバイヤーや、超優秀な販売員、超優秀なディレクターといった人が、お金の計算をしている管理職よりも断然重要だ、ということです。大上段としては、管理職、専門職と両方を大事にしていきます。その上で、立法されたので女性活躍推進に対する対策も考えているということです。

−出産を迎える女性にとっての対策とは?

特殊なことはないです。ただ、基本的に出産を経た約95%の女性従業員が復職をしています。このことからもUA社は女性が働きやすい環境だと思います。

しかし本部はやりやすくても、店舗は月曜から日曜まで営業していて、22時まで営業しているところもあります。その中でこれだけ女性を抱えることって結構ハードルが高いですが、各本部も店舗のマネージャーも勤務時間をうまく考慮して、各スタッフのライフステージに合わせてカバーし合う体制を作っていく。その繰り返しです。20代後半から40代前半がうちの社員のほとんどなので、常に誰かしら産休・育休を取っています。だから特別なことではない。ある程度数年間はサポートし合うということです。
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(ユナイテッドアローズ アトレ恵比寿 ウィメンズストア)

−復職率の高さは特筆すべきものがありますね。

戻ってくることができる環境が整っていて、仕事もきちんと用意してあるということの証だと思います。インフラはとても充実しています。ただその先活躍できるかどうかは自身の成長次第だと思うんです。

UA社は企業理念をすごく丁寧に説明します。大きな会社になると、いちスタッフにとって社の経営理念ってすごく遠いことのように感じますよね。けれど比較的自分ごととして感じてもらえることが復職率の高さや離職率の低さにつながっているのかなと思います。常に自分が参画しているという、常に目の前の業務に紐付けて考えるという習慣がついているので。アンケートを取ると企業理念などに対する共鳴度は8〜9割と、とても高いです。

番外編に続く>>

後編ではユナイテッドアローズ社の女性が活躍できる環境づくりについてお話を伺いました。次回の番外編ではFashion HRに寄せられた「ファッション業界で働くママのお悩み」に山崎さんが答えてくださいます。お楽しみに!

(Interview : Fashion HR編集部)

今回お話を伺った山崎万里子さんの著書

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『仕事の不安を一つひとつツブしていくやり方〜五つの壁の乗り越え方』
(株)ユナイテッドアローズ最年少・女性初の執行役員の山崎万里子さんがクリエイティブ&マネジメントの極意を伝授する一冊。

 

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