冬のファッション小物で欠かせないのがマフラー。防寒具として便利なだけではなく、コーディネートを華やかにしてくれます。そこで今回は、マフラーの由来・歴史や種類、定番の巻き方、今期のトレンドまで紹介します。マフラーの巻き方はついワンパターンになりがちですが、同じアイテムでも巻き方を変えるだけで印象が変わり、ファッションをより楽しむことができます。さまざまな巻き方を覚えて、この冬のおしゃれを楽しみましょう。
【目次】
・マフラーの由来&歴史
・マフラーは和製英語?
・マフラーの種類
・フリンジマフラー
・ティペット
・スヌード
・ストール
・マフラーの巻き方
・ニューヨーク巻き
・ミラノ巻き
・ウェンディ巻き
・ワンループ巻き
・エディター巻き
・ポット巻き
・今期のトレンドマフラー
マフラーの由来&歴史
「マフラー」の由来は、ラテン語で「包んで覆う」を意味する“maffle(マフル)”という言葉が語源となっています。起源については諸説ありますが、15世紀頃にヨーロッパで女性が顔の下部を白い四角い布で覆うものを「マフラー」と呼んだとされています。
その後、17世紀に貴族を中心に首元を装飾するための布で、現在のネクタイの原型である“クラバット”が「マフラー」をルーツに生まれ、18 世紀末のフランス革命時に黒い布で顎から首に巻き付ける、現在のスタイルに近いものに変化していきました。この頃からカシミア製や毛皮の襟巻きもドレスの防寒具として普及し始めました。19世紀になると、肩かけとしてショールが一般人にも浸透し始め、レースなどの装飾性の強いものが人気で、あくまでも女性のファッションの一部として使用されていました。戦争の時代に入ると戦場で包帯がわりに使用されるなど、役割を変えながら現代の「マフラー」へと進化していきました。
日本では、1461年に「一休和尚」が詠んだ歌に「襟巻」と云う記述があることから、この時代から「襟巻き(首巻き)」と呼ばれる防寒具が存在していたようです。明治時代に入り、西欧諸国との交流が本格化すると、肩掛けと呼ばれた「ショール」がもたらされ、1873年には、初めて毛皮の襟巻き「マフラー」が販売されました。その後、長い間マフラーは防寒を目的とした「襟巻き」として、男女関係なく使われてきました。
マフラーは、首に巻きやすい形状で作られており、縦幅が約30〜50cm、横幅が約160〜180cmの細長い長方形がスタンダードなシルエットとなっています。薄手タイプから厚手タイプまであり、素材によって印象も異なります。多く使用されている素材はウールなどです。
マフラーは和製英語?
英語圏でマフラーというと、一般的に自動車やバイクの排気口にある、音の低減と排出ガスを抑制する消音器のことを意味します。ファッションアイテムのマフラーはscarf(スカーフ)と呼ばれています。日本語でスカーフと言えば、シルクや綿、化繊などの薄手のスカーフが思い浮かびますが、冬の防寒マフラーも薄手のものも、英語では基本的に「scarf」と呼ばれています。
では、マフラーは和製英語なのでしょうか。実は、「マフラー」という名称は日本で生まれた言葉ではありません。語源については諸説ありますが、「マフラーの由来&歴史」で述べたように、英語のmuffler(マフラー)はラテン語のmuffula(顔や手を包む物)に由来していると言われています。古くは現代のマフラーを防寒具として使用し、「マフラー」と呼んでいたそう。このことから、現代でも英語圏で防寒具の意味として「マフラー」を使用しても通じるところもあるそうです。
マフラーの種類
フリンジマフラー
フリンジマフラーとは、両方の先端にフリンジがついたマフラーのこと。フリンジとは、布の端がほどけないようにするための房飾りのことです。フリンジマフラーには、ボリューム感のあるものが多く、ニットの網目が大きいほどカジュアルに、網目が細かいほど柔らかくきれいめな印象になります。
ティペット
毛皮やフェイクファーなどの素材でできた防寒アイテムのことをティペットといいます。付け襟タイプや、肩掛けするケープタイプなど、さまざまな形・長さ・幅のものがあります。毛皮・フェイクファー素材のものが一般的ですが、レース・ベルベット素材を使用した、飾り襟として使うものもあります。
首に巻いて穴に通すものや、リボンやボタン、マグネットなどで簡単に留められるタイプもあり、マフラーよりも着脱しやすいのが魅力。コンパクトなデザインが多く、エレガントな印象を与えることができます。スヌードとは異なり、かぶる必要がないため、髪型やメイクが崩れにくいのもうれしいポイントです。
スヌード
スヌードとは、首に巻く輪っか状の布のこと。ウールの毛糸やファーなど、防寒効果の高い素材で作られることが多く、生地の幅が広ければ広いほど、首を包み込む範囲が広く防寒度は高まります。また、素材によって雰囲気を変えることもできます。厚みのある生地を使用するとボリューム感が増し、ゴージャスな雰囲気に。ファー素材のものはエレガントでフェミニンな印象、ニット素材のものはカジュアルな印象を強めることができます。
ストール
ストールは、マフラーよりも縦と横に幅があり、首に巻いて使う以外にも羽織り物としても使用できます。マフラーに比べて生地は薄く、素材の種類が綿、絹、麻、カシミヤ、ウールなど、通気性の良い素材から暖かい素材まで豊富なため、季節に合った素材を選ぶことで通年着用することができます。また、柄も豊富でファッション性が高く、アレンジも利きやすいため、防寒アイテムだけでなくファッション小物としてコーディネートのアクセント使いにおすすめです。
マフラーの巻き方
ニューヨーク巻き
1)長さが左右対称になるように首に1周巻きつけます
2)マフラーの両端をクロスさせます
3)両端を1回結びます
4)手前が短くなるように重ねたら完成です
一周巻いた後ひと結びするだけで、ほどよいボリューム感が生まれる「ニューヨーク巻き」はシンプルでベーシックな巻き方。保温性とエレガントさを兼ね備え、カジュアルからドレッシーまで幅広いスタイルを作ることができます。
ミラノ巻き
1)マフラーを首にかけ、右側を長めにします
2)右側の長い方を少しゆるめに首に巻きます
3)左側に下がっている方を、首に巻いた輪の内側から引き出します
4)引き出してできた輪に反対側の端を通して完成です
別名「ピッティ巻き」とも呼ばれるミラノ巻きは、首元が緩みにくいためしっかりと防寒できるうえに、適度なボリュームと立体感により一気におしゃれ度が増す巻き方。立体的な形が特徴で、シンプルなコーディネートのアクセントとして最適。マフラーや大判ストールにも使える巻き方です。
ウェンディ巻き
1)マフラーを半分に折り左手を通します
2)そのまま少しゆるめに首にかけ、左側の折り目部分を輪にします
3)左手の輪の部分に、右側のマフラーの下側になっている方を1本だけ通します
4)左側の折り目部分の輪を広げて右手に持ちます
5)左手はつかんだまま、右手を下から上に持ち上げ、外側にねじって輪を作ります
首まわりにしっかりボリュームが出るため、小顔効果があるだけでなく、首元にかわいらしさと可憐さを演出することができます。手の込んだ巻き方をするため、形が崩れにくいのも特徴。自転車に乗るときや風が強い日でも安心です。シンプルなコーデも、ウェンディ巻きをするだけでぐっと華やかな印象に様変わり。
ワンループ巻き
1)マフラーの横幅を好みの太さに折りたたみます
2)両端を合わせて折り重ねます
3)輪の内側を手で押さえながら首にかけます
4)輪になった部分にマフラーの先をさし込めば完成
メンズ・レディース問わず定番で人気の巻き方。エレガントなコートやジャケット、スポーティーなダウンジャケットまで、様々なアウターと相性が良く、手軽に巻くことができます。重なる端の部分をずらしたり、ねじりを加えたりすれば、こなれた印象に。マフラーを2つ折りにすると生地が4枚重ねになるため、最も暖かい巻き方といわれています。
エディター巻き
1)マフラーを首にかけ、片方を長めに持ちます
2)長い方を手に持ち、少しゆるめにぐるりと1周巻きます
3)両端を胸元に降ろしたら完成
首周りのストールの締め方ひとつで印象をガラリと変えることができる「エディター巻き」。首回りをキュッとタイトに巻くとクールで大人っぽい印象に、ゆるめに巻けばエレガントで女性らしい印象に仕上がります。存在感がありながらコンパクトに収まるので、きれいめコーデやコンサバコーデにおすすめ。
首にストールを1周巻いた後、ストールの左右の長さを揃えると、よりきれいな仕上がりになります。
ポット巻き
1)マフラーを首元でゆるめに巻きます
2)首にまきつけてできた部分を1回ねじります
3)マフラーの両端をねじった輪に通して完成
首元をしっかり防寒しながら、適度なボリューム感があるもスッキリとした印象を与える巻き方。アウターの種類やコーデのテイストも選ばない万能さも魅力。最初に一周巻いた時に長さをそろえ、輪っかを大きめに作るとうまく仕上がります。
今期のトレンドマフラー
大流行となったバラクラバ(顔全体を覆う被りもの)の代わりにトレンドとなっているのが、フードとストールが一体化したフードストール(=フードマフラー)。ストールの部分は垂らしてもよいし、首もとで結ぶのもおしゃれ。ストールやマフラーを顔周りに巻いて、フードストール風にアレンジする着こなしもこなれ感が出ておすすめです。
また、今季のトレンドは、「中綿マフラー」。ダウンジャケットのような素材でボリュームたっぷりのシルエットが魅力で、巻き方はティペット同様、ループ部分のホールに通すだけ。軽量なのでアウトドアにもおすすめです。襟元のデザインが新鮮で冬コーデのマンネリも解決できます。
いかがでしたでしょうか。同じマフラーでも、種類や巻き方によってさまざまなコーディネートを楽しめます。コートとの組み合わせを楽しむのも良し、コーデに合わせるのも良し。コーデがマンネリぎみ、という方はコーデに合わせた種類を新調するのもあり。巻き方を少し変えるだけで冬の着こなしがランクアップします。
ぜひアレンジの仕方をマスターして、冬のファッションを楽しみましょう。