オフィスカジュアルという言葉が浸透してかなり経つように思いますが、実のところ業種や社風によって許容されるファッションに大きく差があるため、オフィスカジュアルは難しいと考える人は少なくありません。そもそもオフィスカジュアルとは具体的にどういうスタイルのことで、どのようにコーディネートすれば良いのか悩むことも多いのではないでしょうか。今回はオフィスカジュアルの定義や、職種によってどこまでがカジュアルなのかなど、掘り下げていきたいと思います。
【目次】
・オフィスカジュアルとは
・ビジネスカジュアルとどう違う?
・NGのラインと、押さえるべき4つのポイント
・基本のコーディネート
・職種で変わるオフィスカジュアル
・今季らしいコーディネート
オフィスカジュアルとは
そもそもオフィスカジュアルはどういった服装を指すのかというと、「ビジネスシーンに合う服装ではあるけど、スーツよりもカジュアルな装い」のこと。オフィスカジュアルと言っても、会社や職種によってどこまでカジュアルダウンしていいかには大きく差があるため、一概にこれがオフィスカジュアルです、と断定できるものはありません。一般的には職場の雰囲気に合っている清潔感のあるコーディネートであればOKですが、接客時などに失礼がないようジャケットは必要という考えも根強くあります。男性ならジャケパンといわれるジャケット×パンツの組み合わせやカーディガンにパンツ、女性ならきれいめのトップスにスカートまたはパンツというのが定番。あくまでもビジネスシーンでのカジュアルなので、派手な色や柄は避け、奇抜なシルエットのものも控えるのが無難です。
ビジネスカジュアルとどう違う?
オフィスカジュアルと並立して使われる言葉にビジネスカジュアルがあります。略して「ビジカジ」とも呼ばれ、オフィスカジュアルと同じ意味と捉えている方も多いはず。しかしオフィスカジュアルが職場内での服装だとすれば、ビジネスカジュアルの定義は取引先などの他企業を訪問できるレベルのカジュアルスタイルのことです。この場合、相手先に失礼にならないようジャケットは着用した方が良く、女性なら柔らかい色合いのジャケットにスカートやパンツが間違いないスタイル。足元は革靴やパンプスでまとめ、きちんと感が出るように心がけると良いでしょう。
NGのラインと、押さえるべき4つのポイント
オフィスカジュアルのNGラインの見極めはなかなか難しく、会社の雰囲気によって大きく異なるのが実情。例えばIT系ベンチャー企業だと、そもそもスーツ着用のルールがなく、パーカーにデニム、スニーカーというスタイルでの出社が当たり前というケースも多々あります。また、アパレルの場合も自社が扱うブランドのテイストに沿ったものであれば細かい規定はなく、自由度はかなり高め。しかし例えば金融など顧客の信頼度を重視する職種の場合、オフィスカジュアルといえども男性ならノーネクタイ程度のカジュアルダウンが無難。ファッションに関しての自由度が高い職場と低い職場によってNGラインはかなり変化します。
基本として押さえておきたいポイントは、素材感、色、柄、形の4つです。素材はなるべく上質なもの、かつ目の細かいものがおすすめで、目が細かいほどきちんとした印象になります。例えば寒い今の時期だとニットが活躍しますが、ざっくり編まれたローゲージニットはリラックス感やカジュアルさが際立ちますよね。一方、目の詰まったハイゲージニットは端正な印象を与えるため、オフィスカジュアルとして選ぶならハイゲージニット。
また、色はきれいめカラーはOKですが、派手すぎる色やインパクトの強い色は悪目立ちする可能性があるためNG。柄も同様で、ピンストライプやチェック、小さめのドットなどはOKなものの、ボーダーや大粒のドットはカジュアル色が強くなりすぎる傾向に。形はベーシックなものを選び、流行りのオーバーサイズなどもほどほどに抑えた方が良いでしょう。
基本のコーディネート
男性ならジャケットまたはカーディガン、シャツ、チノパンツなどに革靴がオフィスカジュアルの基本コーデですが、女性の場合はアイテム数が多いこともあり、もう少し幅が広がります。トップスで間違いがないのはシャツやブラウスですが、ハイゲージのニット、カーディガンも定番で、ボトムスはスカートでもパンツでも大丈夫。ただ、スカートならミニスカートやマキシ丈など極端な丈感のものは相応しくない場合も。パンツもセンタープレスが入ったものなどがおすすめです。
企業によってはデニムもOKという場合もありますが、その場合でもダメージ加工がされているものは避けた方が良いでしょう。オフィスカジュアルは会社のドレスコードから逸脱していなければ大丈夫なものの、その日に来客の予定があるなど、社外の人と会う場合は、カジュアルでもフォーマル寄りに装うのもマナーのひとつです。また、女性の場合は体のラインや肌の露出が出るものは避け、職種によっては動きやすい服装かもポイント。仕事がスムーズに進むかも見極めの一つといえそうです。カジュアルとはいえあくまでも仕事をする上でのカジュアルなので、社内のルールや雰囲気、仕事内容によってコーディネートを考えるのが良さそうです。
職種で変わるオフィスカジュアル
同じ会社に勤めていたとしても、担う職種には違いがあります。営業職や事務職、技術職など、多様な職種がありますよね。オフィスカジュアルも職種により大きく異なってくると言えそうです。例えば、社外の人と会うのが業務の中心となる営業職の場合、カジュアルとはいえ、ある程度フォーマルなコーデが必須。女性でもなるべくジャケットは着用した方が良いでしょう。その上で相手先の社風などを考慮し、男性の場合はノーネクタイ程度に留めておく判断も大切です。事務や総務なども来客対応があるため、シンプルかつベーシックが基本。逆にエンジニアやデザイナーなどの技術職の場合はもう少しカジュアルでも問題なく、社内ルールで認められているならばラフな服装でも良いことが多いです。
接客業の方は、「会社にも着ていけるコーディネート」について相談されることも多いかと思います。職種や来客対応の有無など、働くスタイルに合うイメージで提案できると喜ばれそうです。
今季らしいコーディネート
流行を追い求めることは、オフィスカジュアルにさほど必要ありませんが、やはりどこかにトレンドを取り入れてオフィスでのおしゃれも楽しみたいもの。今季であればツイード素材やニット素材のジャケット、センタープレスのあるワイドパンツ、どこかクラシカルな雰囲気のマーメイドラインのスカートがおすすめです。小物としてメガネを取り入れるのも今年らしく、無地でシンプルな装いの場合、マフラーやスカーフ、グローブなどの小物で色柄を取り入れると華やかさもプラスできます。ジャケット感覚で着られるコートの「ジャコット」をアウターに取り入れるのも素敵ではないでしょうか。秋冬はダークトーンを選びがちになりますが、白やパウダーブルーなどの明るい色を取り入れるとコーデが新鮮な印象になりますよ。
TEXT:橫田愛子