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滋賀に広がるめくるめくるピンクの世界!デザイナー・森菜実子が語る夢の叶え方

バンタンデザイン研究所を卒業後、バイヤーを目指してアパレル企業に就職。退職後はバックパッカーとして海外を巡り、そこでの体験を形にしたいという想いからアクセサリーブランド「Mu-Mu」を立ち上げたデザイナーの森菜実子さん。2020年には滋賀県彦根市でショップ「Mu-Mu pink♡♡♡」をオープンされました。年齢や住む場所を問わず夢は叶えられるということを体現し続ける森さんに、キャリアや夢を実現するための考え方についてお話を伺いました。

――ファッションの目覚めは?

幼い頃からこだわりは強かったですね。例えば七五三の時の写真を見ると、黒と赤の可愛いワンピースを着ているのに、なぜか真っ白なヘッドドレスを付けているんです。不思議に思って母や祖母に聞くと、「あんたがこの白いのじゃなきゃ嫌だって、離さんかったんやで」と言われて(笑)。自我を持ってからのファッションへの目覚めでいうと、小学校の制服が途中から私服に変って、「可愛くしたい!」と思ったことだと思います。

――いつからファッションの道を志したのですか?

ただただ「ファッションが好きだから」という理由と、ずっと海外に興味があったので、バイヤーになれば海外に買い付けに行けるんじゃないかという浅はかな考えで(笑)、高校生の時にファッションの道に行くと決めて、バンタンデザイン研究所に入りました。バイヤーになりたかったので、1年生はファッションビジネス専攻、2年生はファッションビジネス専攻バイヤー科に進みました。

――卒業後は「アッシュ・ペー・フランス株式会社」に就職されました。実際にアパレル業界で働いてみていかがでしたか?

アッシュ・ペー・フランスは海外のアイテムをセレクトしていて、当時はヨーロッパのアイテムが多かったんです。「ここに就職すればバイヤーとしてフランスに行けるんじゃないかな!?」とポジティブ思考で(笑)、理想とのギャップで苦しむことはありませんでした。働くということに対しての先入観もなく、「社会に出るってこういうものなんだろうな」とすんなり受け入れることができましたね。

――退職を決意するきっかけはなんだったのでしょうか。

20歳の時に入社して、約5年間働いて、販売員からバイヤーになる道のりの遠さに気付きました。私はずっと関西の店舗で働いていたのですが、バイヤーになるためには東京の本社で内勤をするのが基本的なルートだと入社後に知りました。店舗ごとに副店長と店長がいて、その上に商品をセレクトする人、さらに上に関西の店舗を統括するトップの人がいて、ようやく東京本社に辿り着くんです。

――本社への異動希望は出さなかったのですか?

ある時、新規店舗の立ち上げメンバーになり、店内のディスプレイを担当しました。それが本当に楽しかったんです。そして「店長をやってみないか」と声をかけていただいたんですが、そのモチベーションがあまりなくて…。当時バックパッカーとして世界を旅していた今の夫、そして「Mu-Mu」のプロデューサーでもある伊藤に相談したら「なりたくてもなれない人がいる。もっとよく考えなさい」と叱られました。そして自分がなぜアッシュ・ペー・フランスに入社したかを考えた時、海外に行きたいという強い気持ちを思い出して、翌日には店長辞退どころか退職報告をすることに。退職後は伊藤と合流して、世界を巡るようになりました。

――旅の期間はどのくらいですか?

約10ヵ月ほどだったと思います。半年ほど南米に行って、そのあとトルコやブルガリアを巡り、東南アジアやネパールにも行って、日本での当たり前が当たり前じゃないことを痛感しました。自分が海外に行きたいと望んで叶えられることがいかに幸せで恵まれたことなのかを噛みしめました。貧しい生活も、考えられないくらい裕福な生活も、楽しいことも、悲しいことも、沢山この目で見ました。

――海外から戻って、ブランドを立ち上げられました。旅の中でそういった想いが出てきたのでしょうか。

それが、旅の中ではそこまでは考えられなかったんです。でも帰国してから「いい経験だったな」という自己完結で終わらせてはいけないと思いました。じゃあ自分に何ができるのかと考えた時に、アッシュ・ペー・フランスでアクセサリーを取り扱っていたこともあり、自分の想いをアクセサリーで表現しようと思ったんです。直接的に南米や東南アジアの要素を取り入れるというわけではなく、旅の中で自分が経験したものを表現したいなと。

――アクセサリーの作り方はバンタンデザイン研究所で?

パーツを組み合わせて小物を作る授業はあったのですが、それ以外は知識も技術もありませんでした。アッシュ・ペー・フランスで商品をしっかりと見ていたので、「ここはこんな風に処理していたな」と思い出しながら作り始めました。

――ブランド立ち上げ時点でテーマカラーはピンクに決めていたのですか。

小さい頃から無意識にピンクを選んでいて、そこからずっとピンクが好きでした。ブランドとしても、ポップアップの際の備品や、お客様に商品を発送する際の梱包材を準備するタイミングで、つい好きな色であるピンクを選びがちだったんですよね。そのうちにお客様からピンクが目印だと言っていただくようになり、ブランドカラーがピンクになりました。

――ブランドはどのようにして軌道に乗せられたのでしょうか。

今年でブランド11年目を迎えるのですが、設立当時はInstagramやYouTubeもまだ黎明期で、今のようにWEBで認知拡大をするのは難しくて…。最初はお友達のお誕生日にプレゼントをしていたんです。それを見た方からリクエストをいただくようになり、個人販売をスタートしました。ちょうどその頃にオンラインショップ開設プラットフォームの「BASE」と出会い、Mu-Muのオンラインショップもオープン。そしたらある日、購入通知が次々と届いて「何事!?」と。今でいうインフルエンサーの方がMu-Muのアクセサリーを着けてくださったことで、そのファンの方々が購入してくださり、一気に認知が広がりましたね。

――店舗「Mu-Mu pink♡♡♡」を滋賀県でオープンした理由は?

夫が滋賀県出身で、結婚のタイミングで移住しました。私の制作活動は場所を選ばないのでどこでも大丈夫だと思っていたんですが、実際に暮らしてみるとやはり都会のようにはいかなくて、カルチャーショックを受けました。制作している時は楽しいんですけど、例えばちょっとお買い物にいこうかな、という時にかなり選択肢が限られてくる。このままでは辛くなるので、これからも滋賀県で暮らしていくなら、一番楽しいと思える、自分の思う可愛いを詰め込んだお店を作ろうと思ったんです。

――自分の居場所は自分で作る、ということですね。

そうです!本当にありがたいことに原状復帰不要のテナントを借りることができ、外装や内装、インテリアなど細部までこだわりました。その分もちろん多くの費用はかかりましたが、もし同じようなことを都会でしようと思うと何億円もかかってしまうと思います。地方であっても原状復帰不要のテナントと出会うことは難しいかもしれませんが、それでも都会よりはきっとチャンスが多い。だから自分のお店を持ちたいという夢がある方には「都会に拘らないで」と強く伝えたいです。今はネットがあるので、やり方次第でお客様は遠方から来てくださいます。その仕組みはもちろんしっかり考えないといけませんが、夢はありますよね。

ただ、決してお客様の数は多くないです。沢山の方にきていただくようなお店づくりはしていなくて、この世界観に強く共感してくださった方がずっといらしてくださるので、必ずコメントやDMに返信をするなど、小さな当たり前のことを徹底してやっています。

――お店は月に2~3日、1日に4名様限定なんですよね。

都会でポップアップをすると、一人ひとりのお客様にしっかりと時間を使うことが難しいんです。ご挨拶だけで終わってしまったりするのが辛くて。でも、このお店ならゆっくりお話しをして見ていただいて、私の大好きな紅茶を大好きなカップで召し上がっていただける。お店をオープンするまでの7年間、培ってきたお客様との関係性をあてはめたお店です。

――「お買い物」というエンターテインメント体験をする場所なんですね。

よくテーマパークに行く感覚だと言っていただきます。予約をして、準備をして、新幹線に乗ってきてくださるんです。13時オープンの17時クローズなんですけど、皆様オープンからクローズまでいらっしゃいます。

――読者へのアドバイスをお願いします。

私のモットーは「悩むなら行動する」。行動しないとわからないことの方が多い。情報は溢れているけれど、情報だけではなく行動して自分の感情に目を向けて判断してほしいです。アパレルだけでなく、どんなことにも大切だと思います。

――今後の展望は?

今、タイのお洋服ブランド何社かとご一緒しているんですが、タイの可愛いブランドを知ってもらえるようにしたいですね。あとはティータイムがすごく好きなので、いつかティーカフェもやってみたいです。アクセサリーを軸に、常に新しいことにチャレンジしていきたいですね。最近は浴衣をつくりました!私はもうすぐ38歳で、年齢的には決して若い世代ではないと思うんですけど、楽しんでやっているというのを体現することで、お客様に安心だったり、「楽しんでいいんだ」という気持ちを感じていただけたらいいなと思っています。


森 菜実子 もり・なみこ

バンタンデザイン研究所を卒業後、アッシュ・ペー・フランス株式会社に就職・販売職を務める。

退職後はバックパッカーとして海外を旅し、帰国後は旅の中で感じたことをアクセサリーで表現しようとアクセサリーブランド「Mu-Mu」をスタート。

2020年には滋賀県彦根市に店舗「Mu-Mu pink♡♡♡」をオープン。

現在はオリジナルアクセサリーはもちろん、海外ブランドのアイテムもセレクト。

完全予約制でティータイムまで楽しめる独自の営業スタイルを確立し、ファンの心を掴んでいる。

Instagram:https://www.instagram.com/namikomori/


TEXT:鷲野恭子(ヴエロ)

PHOTO:大久保啓二

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