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『ヨーロピアン・モード』

東京の新宿にある服飾専門の博物館「文化学園服飾博物館」で、ヨーロッパを発信源とする約250年の女性モードの変遷を知ることができる展覧会『ヨーロピアン・モード』展が5月20日まで開催されています。

文化学園服飾博物館は、学校法人文化学園を母体とする日本では数少ない服飾専門の博物館として1979年に開館。1950年代に受け入れた日本の宮廷装束、戦前の陸軍被服廠の外郭団体である「被服協會」が収集した東アジア、東南アジアの民族衣装をベースに、日本のきものやヨーロッパのドレスなど、服飾に関する教育・研究を目的として収集された幅広い地域の服飾、染織品を所蔵。これらを見る機会として、「“衣”を通して日本と世界の文化を知る」をテーマに、幅広い国や地域のコレクションを中心に展覧会を行い、開館以来170回を超える企画展を開催してきました。これらの軌跡は、文化学園創立100周年企画「ポスターでたどる服飾博物館」と題して、現在、同博物館2階ロビーに縮小掲示されている1986年以降のポスターから知ることができます。

その文化学園服飾博物館が開催している今回の『ヨーロピアン・モード』展。宮廷が流行を生み出した18世紀のロココ時代から、産業の発達や社会の成熟とともに変化する19世紀を経て、若者や大衆が流行の担い手となった20世紀末まで、ヨーロッパを発信源とする約250年の女性モードの変遷をその社会背景とともに紹介する内容になっています。

イヴニング・ドレス 1900年頃 ジョン・レドファン

第1展示室では、250年の流行の変遷が見える各時代のドレスなどがお目見え。ロココ時代の宮廷女性の基本スタイルであるローブ・ア・ラ・フランセーズをはじめ、バッスルやペチコートで膨らみを強調するバッスル・スタイルが流行した1875年頃のヴィジティング・ドレス、手仕事で施された粋な刺繍が目を惹くベル・エポック期のパリ・モードを代表するキャロ姉妹のイヴニング・ドレスなどを見ることができます。また、第一次大戦後、女性の社会進出が進んだ中で女性たちをコルセットから解放するシンプルで機能的な革新的スタイルを提案したシャネル、第二次世界大戦後にエレガントな女性らしさを強調したシルエット“ニュールック”で一躍注目を集めたディオールのドレスも展示。ドレスという同じくカテゴリながらも、シャネルとディオールの対照的なシルエットを見比べるのも面白いかもしれません。さらに、1958年にディオールのコレクションとして発表したサンローランの出世作となった「トラペーズ(台形)・ライン」や、ファッションを大衆化した“モード界の革命児”カルダンの幾何学模様を取り入れた前衛的なデザインのドレス、1970年後半のTシャツ、ジーンズルックも並んでいるため、現代にも繋がる流行の変遷を知ることができます。

ヨーロッパのドレスはそれぞれの時代でスカートの形や丈、袖の大きさなどに流行が見られますが、これらの流行は政治的、経済的、社会的な要因が密接に関係していることから、その時代背景を知ることでまた違った見方ができるかもしれません。

【左】 壺 1918-31年 ガレ工房   /  【右】 ポスター 「四季」より「春」 1896年 ミュシャ

続いて、第2展示室では「アール・ヌーヴォー」が特集されています。19世紀末から20世紀はじめにかけて、ブリュッセルやパリを中心に、ヨーロッパの各主要都市へと派生した装飾様式のアール・ヌーヴォー。この名称は「新しい装飾」を意味し、草花の蔓や女性の髪など流れるような有機的な曲線がモチーフとして好まれ、主に建築や工芸、グラフィックの分野の様式として開花しました。ここでは、現代でも色あせない優美な工芸品の数々を紹介。アルフォンス・ミュシャの版画やガレ工房による流麗なガラスの器、を“モダンデザインの父”と称されるウィリアム・モリスが設立したモリス商会の室内装飾布「コンプトン」(部分)、昆虫や植物をモチーフとした美しいバックルやブローチなどの美麗な装身具が展示されています。またドレスも展示されているので、この様式の最大の特徴である曲線的なラインがどう表現されているのか、素材や装飾などに注目しながらチェックしてみてください。

ローブ・ア・ラ・フランセーズ 1760-70年頃

約250年の女性モードの変遷からアール・ヌーヴォーについて知ることができる本展。時代や社会背景とともに移り変わるデザイン、女性モードの変遷などについて、この機会に学んでみてはいかがでしょうか。

TEXT:金子裕希


【INFORMATION】

『ヨーロピアン・モード』

会場:文化学園服飾博物館

会期:2023年3月10日(金)~2023年5月20日(土) ※休館日:日曜日・祝日

時間:10:00~16:30 [4月21日(金)、5月12日(金)は19:00まで] ※入館は閉館の30前まで 

公式サイト:https://museum.bunka.ac.jp/exhibition/

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