ブランドの戦略の要、ブランドマネージャーに必要なスキル

ブランドマネージャーは、約90年前、世界恐慌の真っ只中にあったアメリカで、ブランドの資産価値を高めて他社と差別化をはかるためのポジションとして発足。さまざまな企業が制度として取り入れることで世界各国に広まりました。日本でも近年、大手を中心に導入している企業が多く、アパレル業界でも売り上げを大きく左右するポジションとして注目されています。本記事ではブランドマネージャーの仕事や必要とされるスキルについて紹介します。

【目次】
・ブランドマネージャーとは
・主な仕事内容
・異業界・職種転換からも転職できる？
・必要なスキル

ブランドマネージャーとは

ブランドマネージャーはマーケティングやブランディングで自社商品の魅力を発信する役職です。アパレル業界においては、ブランドの商品開発の際にコンセプトを立案するなど、方向性を決定づける責任者であり、事業の中心的な役割を担います。企業内でブランド運営を担当する部署はブランドマネージャーの指示に従って作業を進めるため、総合職の中でも特に多様な能力が求められます。基本的にブランド内に1人のポジションですが、ブランドによっては役職を細分化させ、専門領域に沿ったディレクターがいる場合もあります。

主な仕事内容

ブランドマネージャーは、自社ブランドのマネジメントにおける作業を全般的に担当します。まずは市場調査によるマーケティング戦略でターゲット層を明確にし、商品開発や価格の設定、広告展開などに対するプランを練り上げます。企業によってはデスクワークだけでなく、ブランドマネージャーが店長や運営本部と連携をとりながら店頭に立つ場合があります。店頭ではマネキンやディスプレイなどで売り場を効果的に装飾するVMD（ヴィジュアルマーチャンダイジング）やスタッフの育成、問題点の改善など、指導をメインに行なって販売の強化にあたります。これらの作業と伴走する形で新商品のコンセプトを立案し、顧客層や販売規模を見立てるブランディングを行って商品価値の創出に取り組みます。ブランディングで商品の独自性を高めることは、過剰な競争を避け、販売網の安定化に繋がるため、アパレルの企業戦略においては非常に重要な業務となっています。D2C事業を展開している企業であれば自社ECサイトの運営責任者を任されることもあります。

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異業界・職種転換からも転職できる？

ブランドマネージャーの転職は、経験者を優遇する傾向にあります。しかし、ブランドマネジメントやブランディングは業務内容が多岐にわたり、異業種であっても一般企業に勤めていれば、営業や広報、進行管理など、なにかしら近い業務に携わっている可能性があります。企業側はブランドマネージャーとしての経験以上に、どのような職務能力を有しているかに着目するため、自分の持つ専門的なスキルをしっかりアピールすれば採用の可能性が高まるでしょう。

必要なスキル

ブランドマネージャーになるためには、特に資格などを取得する必要はありません。しかし、事業の根幹に関わる仕事であるため、ファッションの知識だけでなく、経営者側の目線をもってブランドの資産価値を創造する能力が求められます。

業務内容のメインとなるブランディングでは、消費者にインパクトを与える企画を生み出し、訴求力の高いデザイン、キャッチフレーズなどをまとめあげるというプロデューサー的な能力が必要となってきます。作業にあたって多くのスタッフを管理する立場となるため、チームリーダーの素質や他部署との連携をスムーズに行えるコミュニケーション能力も重要視されるでしょう。自身の舵取りで業績が大きく変わるため、ファッションはもちろん、経済や社会の情勢にも目を向けられる情報収集能力も必須です。

マーケティングについては、自社＝Company、競合＝Competitor、顧客＝Customerという3つのCから市場を考察する「3C分析」や、その商品を使うことでもたらされる利益・恩恵を意味する「ベネフィット」など、基本的な理論は知っておきたいところです。

関係各所にプレゼンテーションを行う際には、商品やブランドの魅力を効果的にアピールできる能力とともに、損益などのデータを示す必要となってきます。数字に関する具体的な根拠が示せるよう、財務的な知識も身に着けておきましょう。

TEXT：伊東孝晃

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