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何のためにある?有名ブランドのセカンドライン

Robert – stock.adobe.com

高級ブランドがカジュアルテイストの商品を販売するためのサブブランドとして打ち立てるセカンドライン。有名ブランドの多くがセカンドラインを展開することで若年層を中心とした客層を獲得しています。中にはメインブランドを上回る知名度を持ったセカンドラインもあるなど、その存在はファッション・アパレル業界を活性化させる上で重要な役割を果たしています。

【目次】
セカンドラインとは
セカンドラインの意味と目的
代表的なブランド

セカンドラインとは

高価な価格帯のブランドが、幅広い層に訴求するために普及版の商品を打ち出すのがセカンドラインです。1990年代からさまざまなブランドがセカンドラインを発足させ、アパレル業界全体のバリエーション拡大に大きく寄与してきました。高級ブランドには固定のファン層があるため、そのままのイメージで低価格商品を製造すると、反発を招く可能性があります。しかし、セカンドラインでは、元のブランドイメージを保ちながらカジュアルなテイストを取り入れることで「廉価版」ではない、「サブブランド」という路線を確立。異なる客層をターゲットにしていることを明確に打ち出します。商品開発においては、素材の質をワンランク下げ、縫製などの作業工程を簡略化させるといった工夫を凝らすことで低価格での販売を実現させています。セカンドラインの同義語として「ディフュージョンブランド」という名称もあります。


セカンドラインの意味と目的

ブランドがセカンドラインを展開する主な目的は、新規顧客の開拓です。主に若年層をターゲットにすることでブランドを認知させる糸口とし、ゆくゆくはメインブランドのユーザーへと移行させる狙いもあります。肌着やスポーツウェア、トートバッグといった生活に密着した商品を幅広く取り扱っているブランドもあり、有名ブランドのセカンドラインとは知らず商品に触れているといったケースも多く見られます。「エンポリオ・アルマーニ」や「ポロ・ラルフローレン」などは、ファッションに興味がない人でも一度はその名を聞いたことがあると思われ、セカンドラインの最たる成功例といえるでしょう。

ブランドの認知拡大に重要な役割を果たしているセカンドラインですが、近年ではアウトレットショップが台頭してきたことで状況が変化しつつあります。アウトレットではメインブランドの商品を安価で購入することができるため、価格帯を理由に購入していた客層によるセカンドライン離れが顕著になってきています。そのため、ブランドも独自性が薄いセカンドラインを廃止させる傾向にあり、メインブランドと異なるカラーを明確に打ち出したものが生き残り、存在感を増しています。


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代表的なブランド

ブランドイメージを尊重しつつ、カジュアル向けに制作されているセカンドライン。最後に、セカンドラインの代表的なブランドをいくつかピックアップ。特徴やデザイン、有名なシリーズなどを紹介します。

MIU MIU(ミュウミュウ) 【PRADA(プラダ)

プラダ創業者の孫娘であるミウッチャ・プラダによって1993年に発足。厳密にはセカンドラインではなく、プラダの姉妹ブランドという位置づけになります。プラダの高級感とは対象的にカジュアルテイストを打ち出し、「マテラッセ」や「ミュウワンダー」といったバッグが代表的なシリーズとして知られています。素材や製造工程がプラダと同様のため、価格帯に大きな差はありません。

 

See By Chloe(シーバイクロエ) 【Chloe(クロエ)

2001年に発足したシーバイクロエは、クロエの高級感を受け継ぎつつ、親しみやすいテイストを前面に押し出しています。Oリング・組紐を象徴的に使用することでデザインの独自性を明確化。「Joan」「Hana」などのシリーズが定番で、フェミニンなコーディネートを自然に作り上げられるアイテムを揃えています。価格帯は2〜5万円ほどで、ドレスなど高価なものでも8万円台で購入できます。

 

EMPORIO ARMANI(エンポリオ・アルマーニ) 【GIORGIO ARMANI(ジョルジオ・アルマーニ)

「ジョルジオ・アルマーニ」のセカンドラインとして高い知名度を誇っているのが「エンポリオ・アルマーニ」。20万円台が大半のメインブランドに対し、2万円程度から商品を揃えていることで若年層からの支持が厚いことが特徴です。靴下やアンダーウェアであれば3000円程度から購入でき、ジャケットやドレスなども10万円台までで豊富にラインナップされています。

 

RED Valentino(レッド・ヴァレンティノ) 【Valentino(ヴァレンティノ)

イタリアを代表するラグジュアリーブランド「ヴァレンティノ」。そのセカンドラインとして2003年に発足したのが「レッド・ヴァレンティノ」です。アイテムはレディースのみで展開し、クラシックなスタイルにファンタジックな要素をミックスさせるなど、ポップで遊び心にあふれたデザインが特徴です。一部で高価な商品もありますが、ウェアであれば2〜10万円台までで一通り揃っています。

 

POLO RALPH LAUREN(ポロ・ラルフローレン) 【RALPH LAUREN(ラルフ・ローレン)

ポロのプレイヤーと馬が描かれたロゴでおなじみの「ポロ・ラルフローレン」は、1967年に「ラルフ・ローレン」がネクタイを販売する際、「ポロ」のブランド名を使用したことが始まり。イギリスのトラッドとアメリカ東海岸のアイビールックをかけ合わせ、アメリカントラッドを象徴するブランドとして親しまれています。スポーツウェアなども取り揃え、Tシャツであれば1万円程度から購入できます。

 

Versus Versace(ヴェルサス ヴェルサーチェ) 【VERSACE(ヴェルサーチェ)

ヴェルサーチェのセカンドラインとして1989年に発足。初期はジャンニ・ヴェルサーチの妹であるドナテラ・ヴェルサーチがデザイナーを務めていました。一時期はアクセサリーのみの展開となっていましたが、2009年にはウェアコレクションが復活。ヴェルサーチの特徴である「高級感+ロックなテイスト」を継承し、若年層でも購入しやすい価格帯で商品を揃えています。

TEXT:伊東孝晃

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