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サステナブルを日常に ー 服を長く楽しむために「リペア」という選択

昨今、頻繁に耳にするサステナブルという言葉。これは「持続可能な」という意味で、未来を見据えた自然環境保全のためにできる取り組みを指すもの。ファッションにおいてもサステナブルは外せないキーワードとなっていますが、ラグジュアリーブランドの中でこの流れをいち早く取り入れたのがステラ・マッカートニーやプラダ。現在では多くのトップブランドのみならず、かつては大量生産・大量廃棄が当然だったファストファッションでもサステナブルを意識した取り組みが広がっています。では実際に服を売り、買い、纏う私たちができる一番身近なサステナブルとは何か。そのひとつに考えられるのがリペアです。時にはリメイクをしながら“服を長く着る”ことを考えてみたいと思います。

【目次】
アパレル業界人として意識したい「サステナブル」
サステナブルに繋がる「5R」とは?
リペア、リフォーム、リメイクの違い
1着を長く着る「リペア」という選択
ブランドが展開しているリペアサービス
ユニクロが始めた「リ・ユニクロ スタジオ」

アパレル業界人として意識したい「サステナブル」

服飾業界人にとって耳が痛い事実に、ファッション産業が環境に与える負荷の大きさがあります。原材料の調達から製造、輸送、廃棄に至る各段階で多くの資源とエネルギーが消費され、CO2の排出量も多大。なんとファッション業界は世界第2位の環境汚染産業であると国連貿易開発会議によって指摘されています。目まぐるしくトレンドが入れ替わるファッション界では、シーズンごとに新しいデザインを世に出し消費を喚起すること。さらにはブランド価値を落とさないため、売れ残った商品は焼却などの手段で廃棄することも当たり前のように行われていました。この焼却処分については2018年にバーバリーが数十億円にも上る額の在庫を焼却したことが公となり、各種メディアやSNSユーザーから猛烈な批判を浴びています。いち早く持続可能な商品開発に取り組んできたブランドがある一方で、複数のブランドは世間の環境意識の高まりを受けてサステナブルに舵を切ったのも事実です。そして2022年現在、サステナブルであることは魅力的なブランディングをする上で不可欠な要素となりました。より環境問題に敏感な時代において、ファッションに携わる人もサステナブルの在り方を考え、実践することが求められています。

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サステナブルに繋がる「5R」とは?

日本人が年間に購入する衣服の平均購入枚数は1人約18枚。一方で手放す服が約12枚で、1年の間に1度も着用しない服が約25枚。これは環境省発表のデータですが、こうして見ると手放す枚数より購入枚数が多く、買ったものの袖を通すことのない衣類の多さに気づきます。また、手放す服の68%がゴミとして廃棄されいるのが現実。これらは個々の消費者がサステナブルファッションを意識することで大幅に改善できるはずですが、そのために必要なのが「5R(ファイブアール)」。5Rは「Reduce(リデュース)」「Reuse(リユース)」「Recycle(リサイクル)」「Refuse(リフューズ)」「Repair(リペア)」の5つの頭文字のことで、いずれもゴミを減らし環境を守る行動を指すもの。例えばリデュースは製品を作る際に使用する資源量及び廃棄物自体を減らすことで、リフューズはゴミになるものを購入したり貰わないこと。リサイクルやリペア、リユースは馴染みのあるワードですが、これら「3R」をより進化させたのが5Rです。平たく言えば、無駄な服を買わず気に入った服を手入れをしたり形を変えながら長く愛用し、最後には資源となるよう分別して廃棄するということ。服好きにとって購入枚数を減らすのは困難かもしれませんが、誰しもクローゼットの肥やしとなっている衣類があるはず。購入時にそれらに思いを馳せ、本当に欲しいか、必要なのかを見極めることがサステナブルへの一歩です。


リペア、リフォーム、リメイクの違い

商業施設に必ずといって良いほど入っているテナントに、リペア(リフォーム)店があります。購入した衣類の裾直しなどを買ってすぐにできることから、誰もが過去に利用経験があるでしょう。こういった店では、裾や袖の長さを調節するリフォームに加え、擦り切れたり破れた箇所を修繕するリペアを受け付けるほか、洋服をバッグなど別の品に生まれ変わらせるリメイクサービスがあることも。これらはいずれも服を長く使うための工夫であり、サステナブルに直結した行動でもあります。モノが溢れる現代では少数ですが、昭和の頃は子供服の破れた箇所にアップリケを縫い付けたり、サイズアウトしたセーターを解いて別の物に編み直すことは各家庭の定番でした。現代でも着物を洋服に仕立て直すのはメジャーですが、既にある衣服を手入れや工夫で使い続けることこそ、最も身近なサステナブルファッションといえるでしょう。


1着を長く着る「リペア」という選択

“一生物”なんて表現がありますが、悲しいかな服は消耗品です。袖を通す度に、洗濯を重ねる度に生地が摩耗し、購入時と同じ状態で一生着続けることは不可能。ただ、服の寿命は日頃のお手入れで延ばすことができ、そもそも買う時点で品質や縫製を吟味すればその寿命はより長くなります。手入れをし丁寧に着用していてもいずれ擦り切れや破れが出てきますが、その際に活用したいのがリペア。リペアに出す際には修繕店の技術も大事ですが、何よりも「リペアしてでも着続けたい服かどうか」が重要です。多少高くてもリペアする価値がある服選びをし、愛着を持てるものだけを手に入れること。丁寧に長く着ている洋服が多いということは、その人のセンスが確立していることでもあります。


ブランドが展開しているリペアサービス

高級品や特殊加工が施されている製品は、やはり購入店でリペアをして欲しい。消費者のそんな気持ちに応えるべく、今では多くのブランドが自社でのリペアを受け付けています。ハイブランドではエルメスやルイ・ヴィトンが有名で、本国のアトリエと同じ技術を持つ職人が仕上げるのが特徴。アウトドアで人気のノースフェイスやパタゴニアもリペアサービスを受け付けており、シューズではコンバースやJ.M.ウエストンと、多彩なブランドがリペアに対し前向きです。高価な品であるほど購入時に正規店でのリペアの可否を気にする消費者が多いため、販売者としては自社のリペアサービスや信頼できるリペア店を紹介できるよう知識を持っておきましょう。


ユニクロが始めた「リ・ユニクロ スタジオ」

2022年10月、ユニクロが東京・世田谷の「ユニクロ 世田谷千歳代店」内に、来年3月末までの実験的スペースとしてオープンさせたのが「リ・ユニクロ スタジオ」。ここではユニクロ製品のリペアを有料で実施するほか自社製品への刺繍サービスも受け付けており、サステナブルな未来に向けアップサイクルな活動をする場として話題を呼んでいます。この取り組みは既にベルリンやN.Y、ロンドンで開始されており、日本では初の導入。ファストファッションがこうして服の未来にスポットを当てることで、より多くの消費者がサステナブルを意識する機会となるのではないでしょうか。

TEXT:横田愛子

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