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トレンドカラーの歴史

ファッション好きならよく耳にする言葉「トレンドカラー」。それは、そのシーズンを象徴する流行色のこと。しかしトレンドカラーはその季節になって作られるものではなく、実は早いものでは2年も前から決められています。ちなみに今年の秋冬は「ベリーペリ」「バービーピンク」など計6色がトレンドカラーなのだそう。色には人の気分を左右するパワーがあり、ファッションやヘアメイクとは切り離せない関係と言えるでしょう。そこで今回は、アパレル業界で働くなら知っておきたいトレンドカラーについて、詳しく掘り下げていきましょう。

【目次】
色の持つ力
トレンドカラーとは
トレンドカラーはどうやって決まる?
トレンドカラーが流行るとは限らない
「あの頃」のトレンドカラー
2022AWのトレンドカラー

色の持つ力

青なら落ち着きや知性、オレンジは快活さ、赤は情熱など、色から喚起されるイメージはまさに多彩。そのため色が持つ効果はインテリアやメイク、ファッションに活用され、空間装飾のみならずその人の個性やキャラクターを表すツールとしての役割も担ってきました。病院の壁に淡いブルーが、高級ホテルのラウンジにダークトーンが使われていたり、元気がない時に明るい色のシャツを纏えば気分が少し上向いたりするように、色は心理や感情に少なからず影響を与えています。


トレンドカラーとは

トレンドカラーはそのシーズンに流行するであろう色のことで、SS/AWのシーズンごとの色もあれば、年間を通してのものもあります。ファッション誌にも「今年の色特集」が組まれたりしますが、実はどの色をトレンドにするのかを決めるのはファッションデザイナーではなく、国内外の専門団体。主要団体は、現在17ヵ国で構成される流行色選定機関の「インターカラー(国際流行色委員会)」、インターカラーが流行色を発表したのちに日本の社会情勢に合わせ国内独自の流行色を発表する「JAFCA(一般社団法人 日本流行食協会)」、世界共通の色見本を制作する企業である「パントン」の3つです。インターカラーがシーズン2年前に、JAFCAが1年半前に流行色を発表するため、トレンドカラーは該当シーズンよりもかなり以前から選定されています。


トレンドカラーはどうやって決まる?

トレンドカラーを決める主要3団体では、それぞれ選定方法が異なります。インターカラーでは加盟する国の代表団体がそれぞれの国で決めた色を持ち寄り、6月と12月に開催される会議によって春夏と秋冬の流行色を決定します。一方、JAFCAではインターカラーの発表後に日本の世相や社会動向を踏まえ、各分野の専門家とともにカラーテーマと流行色を発表。そしてパントンは毎年12月頃に、独自の基準で選んだ来年のトレンドカラーを「パントン・カラー・オブ・ザ・イヤー」として発表しています。


トレンドカラーが流行るとは限らない

2年前に発表されたトレンドカラーを元に、ファッションやコスメ、インテリア業界などは該当シーズンに向けて流行色を取り入れた商品開発に入ります。それにより該当時期には流行色を纏った品々が店頭に並ぶわけですが、トレンドカラーが必ずしも流行するわけではありません。その大きな理由は2年間というタイムラグにあり、2年の間に社会情勢や景気などが大きく変わるため。仮に「ピンク」がトレンドカラーだったとして、その年が不景気だったりすれば、人は明るいカラーを手に取る気持ちにはなりません。色の持つ力について最初に触れていますが、消費者が選ぶ色というのはその時の心理状態にも大きく左右されるもの。ゆえに2年前に選ばれた色と今の社会状況が大きく乖離していて、ほとんど流行らないなんてことも起こり得るのです。それでもなぜトレンドカラーがこれだけ深い歴史を持っているかというと、ファッション産業を活性化させようと各国が足並みを揃えてきたから。実は国によって色の認識の違いがあり、例えば同じ「赤色」でも国によって明度や彩度が異なります。そのためインターカラーが30色以上を選び、各国が選定色を自国の色に置き換えることで具体的なトレンドカラーを決めているのです。世界中が協力しながらファッション業界を盛り上げているんですね。


「あの頃」のトレンドカラー

好景気だとミニスカートが流行ると言われますが、時代を取り巻く空気感によって流行する色も様々。トレンドカラーを見ればその時代の雰囲気が分かるという事例を年代を追って紹介しましょう。

1960年代 

東京オリンピックが開催され日本は高度成長期真っ只中。上り調子の経済を象徴するかのようなビビッドカラーやビタミンカラーが流行色に選ばれています。

1970年代

オイルショックやGNPが初めてマイナスに転じ、世間に浸透した節約思考、円高不況などが影響したこともあってナチュラルカラーやアースカラー、カーキ、オリーブなど暗めの色が流行色に。

1980年代

DCブランド全盛期でモノトーンブームが到来。景気が回復の兆しを見せ、空前のバブル景気にわいた時代。これを象徴するように明るいパステルカラーやビビッドカラーがトレンドとなりました。

1990年代

湾岸戦争やソビエト連邦の崩壊、バブルの崩壊に加え、阪神大震災などが世界状況だけでなく国内の世相にも暗い影を落としました。その影響か自然回帰のアースカラーやグレー、黒、白、紺といった落ち着いた色が流行しています。

2000年代

リーマンショックに東日本大震災、平成から令和への改元。コロナウイルスの蔓延や2度目の東京オリンピック開催。また、スマホやSNSの普及によって「映える」ことが重視されるようになり、目を惹くネオンカラーがトレンドに。


2022AWのトレンドカラー

インターカラーが1963年、JAFCAが1953年に設立されたことを考えると、かなり古くからシーズンごとのトレンドカラーが設定・発表されてきたことがわかります。ここで現代に戻り、2022年AWのトレンドカラーを見ていきましょう。「ベリーペリ」、「バービーピンク」、「ファイアーレッド」、「ロイヤルブルー」、「サンシャインイエロー」、「リラックスグリーン」の6色がこの秋冬のトレンドカラー。全体的な傾向としては明るく鮮やかなトーンが多い印象で、今季のランウェイでも上記のカラーを取り入れたファッションが続々と登場しています。では早速、各色の特徴と着こなしのコツを紹介します。

「ベリーペリ」

クールかつ女性的なエレガントさを併せ持つ青みがかったパープル。

・上品さを活かすならワンピースやスカートで大胆に取り入れ、クールにまとめたい場合はシャツやスカーフなどの上半身に投入を。ベージュや白との相性も抜群。

「バービーピンク」

マテル社が発売しているバービー人形の衣装を彷彿とさせるポップで鮮やかなピンク。

・華やかさを全面に押し出したいなら洋服で、アイキャッチなポイントを作りたいならバッグやシューズで取り入れるほか、ヘアカラーのインナーカラーにも最適。

「ファイアーレッド」

その名の通り燃え盛る炎のようなオレンジみのあるレッドで、和名では緋色。

・インパクトあるレッドは差し色にもってこいで、派手色に抵抗がある場合はソックスなど面積が小さなもので挑戦を。また、リップカラーなら手軽に取り入れられます。

「ロイヤルブルー」

イギリス王室のオフィシャルカラーにも使用されている濃くて鮮やかなブルー。

・端正でトラディショナルなカラーだけに、面積が広いジャケットやコートのアウターにもぴったり。インナーにはライトグレーや白など明るい色で抜け感をプラスし、軽さを演出するのが今年流。

「サンシャインイエロー」

陽だまりのような温かみのあるパステルトーンに近いイエロー。

ベージュ要素もあるため合わせやすく、6色のトレンドカラーの中でも挑戦しやすい色。柔らかな色の印象を活かすニット製品を選べば優しい印象に、アクセントカラーにするならベルトやシューズで取り入れると軽やかに見えます。

「リラックスグリーン」

パステルトーンで軽やかかつ抜け感のある淡いグリーン。

先シーズンから人気のグリーンが濃くはっきりとした緑だったのに対し、今季は薄くライトなグリーンが主役に。色の持つ軽やかさを活かし、シアーなブラウスや薄手のニットなどだとコーデに取り入れやすいです。

ちなみに、2023年のトレンドカラーも既に発表されており、来季はチェリーレッドやマドンナブルー、グラスグリーンといったビビッドな色味がラインナップ。トレンドカラーを着るか着ないかはさておき、メイクの一部などスタイリングの一部に取り入れるだけでトレンド感のある装いになるのかもしれません。

TEXT:横田愛子

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