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アパレル業界を土台から支えるテキスタイルデザイナーの仕事。世界で活躍するデザイナーたち

生地の素材や縫製、染織などを統括し、アパレル産業の土台となる部分を支えているテキスタイルデザイナー。アーティスティックな感性に加え、ビジネス的な素養も求められるこの業種の成り立ち、そして、世界を股にかけて活躍する日本のテキスタイルデザイナーについても紹介します。

【目次】
テキスタイルデザインとは
テキスタイルデザイナーの仕事内容
求められるスキルや資格は?
代表的な日本のテキスタイルデザイナー

テキスタイルデザインとは

テキスタイルデザインは、アパレルで使用する織物や繊維(テキスタイル)に関するデザインの総称とされています。柄のデザインと捉えられることが多いのですが、業務的には、素材選びや加工技術といった生地にまつわる全般を取り扱い、私たちの生活と密接な関係にある業種といえるでしょう。なお、テキスタイルの中でも、カーテンやソファといったインテリア関連のものは「ファブリック」と呼ぶのが一般的とされています。

テキスタイルの発祥は考古学の分野に及ぶほどの歴史を持ちますが、工業・産業が発展して以降の現代的なテキスタイルデザインに目を向けると、日本での始まりは明治期。1872年(明治5)に京都府から選ばれた3名の織物技術者や職人が、織り技術の習得と機械購入のためにフランスに留学。8ヶ月の修行を経て、ジャカード・バッタン機、金筬、紋彫機などを持ち帰ります。その後、組み立て・模造を行って、国産では初めてとなるジャカード織機が誕生し、布の織り方が一気に拡大。染職人や失職した絵師たちが模様の考案を行う図案家という職域へと広がっていき、日本におけるテキスタイルデザインの原型が形成されていきます。


テキスタイルデザイナーの仕事内容

テキスタイルデザイナーの仕事は、新たな商品企画が持ち上がった時点で、ファッションデザイナーや企業の担当者と入念な打ち合わせを重ねることから始まります。デザイン画のアイデアをベースに、素材となる糸、生地の織り方や染め方などを選定し、テキスタイルデザインの方向性を確定。この際、流行の配色や機能性も考慮するのが重要なポイントとなってきます。

方向性が定まったら服飾生地の卸しを行うテキスタイルコンバーターや工場と生産の前準備を進めます。その後、試作品の制作へ突入。製造業者に指示を送りながら何度も修正を重ね、ようやく生産の段階へ。ここでもプロダクトマネージャーと連携を取りながら生産の状況や品質管理に気を配ることが必要とされます。


求められるスキルや資格は?

優れた色彩感覚や芸術的センスのほか、染色など工芸分野の才能も求められるテキスタイルデザイナー。その職に就くには、美術大学、専門学校などで基礎知識を学び、アパレル、繊維のメーカーに入ることが通例とされています。しかし、織物機械や原料など、現場に入ることで知り得る専門知識が膨大なため、仕事を任せられるようになるまでは、大多数の人が相応の下積み期間を要します。

プリント柄などのデザインを作成するには、手描きだけでなくパソコンのスキルが必須。IllustratorやPhotoshopといったグラフィック系のソフトは、制作に必要な機能を使いこなせるようにしておきましょう。

職務を行う上で資格などは要しません。しかし、業者との交渉や生産管理といったビジネス的な業務も多く含まれるため、繊維関連の知識を全般的に学んで活かせる衣料管理士(テキスタイルアドバイザー)は、ぜひ取得しておきたいところです。


代表的な日本のテキスタイルデザイナー

最後に、活躍する日本のテキスタイルデザイナーを何名か紹介します。

脇阪克二

1968年、フィンランドの代表的ブランド・マリメッコで日本人初のテキスタイルデザイナーとなった脇阪克二さんは、アメリカ・ニューヨークでのキャリアを経て1986年に帰国。陶芸や絵本などにも表現を広げ、現在は京都でSOU・SOUのテキスタイルデザインを手掛けています。マリメッコの「ブーブー」に見られるようなポップで遊び心に満ちたデザインを特徴としています。

石本藤雄

東京藝術大学を卒業後、広告デザイナーを経てフィンランドに渡った石本藤雄さんは、1974年〜2006年までの32年間、マリメッコのテキスタイルプリントデザイナーを務めていました。同社の代表的な図案「Onni」に見られる草花や自然をモチーフとしたデザインが持ち味。陶芸の制作も行っており、2020年に帰国してからは、故郷の愛媛県でギャラリーの運営などを行っています。

鈴木マサル

多摩美術大学を卒業後、粟辻博さんのもとでデザイナーとしてのキャリアを歩み始めた鈴木マサルさんは、1995年に独立し、2005年から自身のブランドOTTAIPNU(オッタイピイヌ)を主宰。2010年からはマリメッコのテキスタイルデザインも手掛け、今治タオルやユニクロ、JRなど、多様な業種とのコラボレーションも展開。東京造形大学でも教鞭をとっています。

清家弘幸

大阪モード学園を卒業後、1993年に有限会社セイケを起ち上げ「SEIKE」ブランドを展開している清家弘幸さん。「ISSEY MIYAKE PERMANENTE」などのデザイン・ディレクションのほか、日本各地の織物の産地で開発事業を行い、故郷の滋賀県では、知事のサマーエコスタイルスーツの企画・デザインを担当。鈴木マサルさんと同じく東京造形大学の教授を務めています。

須藤玲子

武蔵野美術大学のテキスタイル研究室で助手を務めた須藤玲子さんは、1984年、株式会社「布」の設立に参加。現在は、同社の取締役デザインディレクターを務めています。染織においては、日本古来のものから最先端まで幅広い技術を用いて、テキスタイルの新機軸を提示。ニューヨーク近代美術館、メトロポリタン美術館など、22の世界的美術館に作品が永久保存されています。

島塚絵里

中学2年制でフィンランドへのホームステイを経験した島塚絵里さんは、2007年、本格的に移住を果たし、アアルト大学でテキスタイルを習得。卒業後はマリメッコのデザイナーとして勤務し、2014年に独立してからは、国内外のさまざまなブランドにデザインを提供。ムーミンとのコラボレーションや自身のテキスタイルブランドのプロデュースも行うなど幅広い活躍を見せています。

氷室友里

多摩美術大学に在学中、交換留学生としてフィンランドのアアルト大学でテキスタイルを学んだ氷室友里さんは、2016年に独立し、自身のテキスタイルブランド・YURI HIMUROでの商品開発や企業とのコラボレーションなどを展開。牧歌的な景色を描いた図案や二重構造のテキスタイルなど、独自の感性で、実験的かつ温かみのある作品を生み出し、幅広い年齢層に支持されています。

TEXT:伊東孝晃

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