アパレル・ファッション業界の求人・転職ならFashion HR

記事一覧

デザイナーの親族が立ち上げたブランド【前編】

ブランドのコレクションなどを見ていて、デザインや雰囲気は全く違うブランドなのにどこか似ているなと感じたことはありませんか? 実はデザイナーは憧れのデザイナーに弟子入りをしてノウハウを学ぶ人も多くいます。職人としての側面が強いデザイナーの世界では“教えてもらう”のではなく“見て学ぶ”のが基本。そうして技を盗んでいくうちに隠された哲学や美学に気付き、無意識のうちに師匠から弟子に受け継がれていくのだとか。そのため、好きなブランドを追っていくうちに好きになったもう一つのブランドが、実は師弟関係だった…なんてことも少なくないのです。中には親子や姉妹でデザイナーをやっているという人もいますよね。親族であればより濃く美学や哲学が受け継がれていくもの。今回はデザイナーの親族が立ち上げたブランドについて紹介します。

【目次】
『MARNI』と『PLAN C』
『Yohji Yamamoto』と『LIMI feu』
『RYOTA MURAKAMI(pillings)』

『MARNI』と『PLAN C』

『MARNI』

コンスエロ・カスティリオーニが1994年に創業したイタリアのラグジュアリーブランド『MARNI』。当初は、夫のジャンニ・カスティリオーニが社長を務めるイタリアの毛皮メーカー『CiwiFurs』のビジネスのひとつとして立ち上げられ、毛皮と革製品のみのアイテムでスタート。その後、トータルアイテムが揃うブランドとなり1999年に独立ブランドとなりました。2001年からはメンズ・ウィメンズの両方を展開していますが、特にウィメンズの柔らかい素材使いと、チェックやストライプなどのカジュアルなデザインの対比が魅力で、上品でありながら親しみやすいデザインが特徴です。2017年秋冬コレクションからは、フランチェスコ・リッソが新しいクリエイティブ・ディレクターに就任しています。

『PLAN C』

『MARNI』創業デザイナーのコンスエロの娘であり、長年『MARNI』でキャリアを積んできたカロリーナ・カスティリオーニが2018年に立ち上げたブランドが『PLAN C』。鮮やかな色使いやテキスタイルでモダンな雰囲気を持ちながら、シルエットや素材使いはエレガントさを感じさせるブランドです。2019年に世界初の旗艦店を東京にオープンさせたことも話題となりました。凛とした雰囲気と遊び心たっぷりのデザインは『MARNI』を彷彿とさせ、カロリーナ本人も母であるコンスエロから十分に影響を受けたと語っています。『MARNI』のシンプルながらも構築的なスタイルを受け継ぎ、『PLAN C』ではさらにスポーティな要素をふんだんに取り入れることで唯一無二の世界観を完成させました

Check

さらに興味深いのが『PLAN C』のバッグやトップスに描かれている、今やブランドアイコンとなったキャラクター。これはカロリーナの娘であるマルガリータ(当時5歳)が描いたイラストで、マルガリータの兄や想像上の友人を描いたものなど、イマジネーションに溢れた可愛らしさが『PLAN C』のデザインによくマッチしています。もちろんマルガリータはまだデザイナーではありませんが、既にコンスエロとカロリーナの遺伝子を脈々と受け継いでいるように感じますね。また、コンスエロの義娘シンシア・ヴィルチェス・カスティリオーニは、『ALIITA』というジュエリーブランドを立ち上げています。


『Yohji Yamamoto』と『LIMI feu』

『Yohji Yamamoto』

日本のモードファッションを語る上で欠かせないのがデザイナーの山本耀司が手掛ける『Yohji Yamamoto』。1981年、当時まだ無名だった『Yohji Yamamoto』が『COMME des GARCONS』と共にパリコレで起こした“黒の衝撃”はあまりに有名なエピソード。既成概念の破壊、反骨精神、脱構築が根冠にある『Yohji Yamamoto』のアイテムはオーバーサイズで大胆で無骨なスタイルが魅力です。

『LIMI feu』

デザイナーの山本耀司の娘である山本里美は、ヨウジヤマモト社で2年間パタンナーを務めたのち1999年に『Y’s bis LIMI』を立ち上げ、現在は『LIMI feu』に。山本里美は父である山本耀司のことを「カリスマであり、異次元の人」と語っています。彼女自身と父の間にある越えられない壁に悔し涙を流したこともあるのだとか。そんな彼女が手掛ける『LIMI feu』はウィメンズラインのみの展開で、黒を基調とした体と布の間に空気をはらむシルエットは『Yohji Yamamoto』に通ずるものがあります。

Check

この2つのブランドが大きく異なるのはデザインへのアプローチ。女性にこうあって欲しいというビジョンを描いてデザインする『Yohji Yamamoto』に対して、『LIMI feu』は山本里美自身が実際に着用してみて、女性としてどう感じるかを確かめ修正していくことで「こういうデザインにしたから、この服はこういう女性にきてほしい」という風な『Yohji Yamamoto』とは真逆のアプローチになっているそうです。


『RYOTA MURAKAMI(pillings)』

現在は『pillings』に名前を変えましたが、前身である『RYOTA MURAKAMI』はなんと親子デュオによるファッションブランド。デザインの制作に行き詰まった息子・村上良太がデザインの制作で行き詰った際に、実の母である村上千明にデザインを依頼したことがきっかけで2014年にスタートしました。村上千明は、村上良太が幼い頃、彼の服や鞄をすべて手作りし、服の穴や傷は動物のアップリケで補修していたのだとか。『RYOTA MURAKAMI』のアイテムは鮮やかな水色のニットに、可愛らしいピンクのさくらの大きなアップリケが施されているなど、ピュアでユーモア溢れるデザインが多く見られます。

Check

2018年からは村上良太が単独でデザインし、2020年にブランド名を『pillings』に改名。『pillings』の由来は毛玉を意味する“pilling”に複数形の“s”をつけることで“毛玉のように関係性から生まれるものを表現したい”という想いが込められています。『pillings』は温もりを感じさせるローゲージニットやレトロなフラワープリントなど、ノスタルジーでキュートな世界観。ブランドが変わっても母と二人三脚で積み重ねてきた“関係性”をどことなく感じさせるブランドです。

Fashion HRはファッション・アパレル業界に特化した求人情報サイトです!

FHR_top

ショップスタッフや店長などの販売職から、PR、MD、VMD、営業、総務/経理、秘書、ロジスティックスなどのバックオフィス職まで、外資系ラグジュアリーブランドから国内有名ブランドまで求人情報を多数掲載中。早速、会員登録をして求人をチェック!

   
無料会員登録する

記事一覧