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ファッションの魅力を描く漫画家たちVol.2 坂本拓

ファッションに関する仕事というと、ショップの販売員など各ブランドで働くスタッフをイメージする人が多いと思いますが、世の中には様々なファッションに関わる仕事が存在します。そんな中から、イラストとストーリーでファッションの魅力を伝えることができる「漫画家」にインタビューをする企画をスタート。漫画家から見たファッションや「好きを仕事にすること」についてお話をうかがいます。

第2回は、2015年~2018年まで週刊ヤングジャンプで連載していた『潔癖男子! 青山くん』がアニメ化、現在はファッション好きの主人公がとある一人の男性と出会い、変化を遂げていく『服福人々』を連載中の坂本拓さんです。


漫画家になると決意し、なぜか坊主に…?

Q.漫画を描き始めたきっかけは?

元々絵を描くのが得意で、小学校3年生くらいから漫画を描き始めました。中学生までは漫画家になりたいと思っていたんですが、当時主流だった“つけペン”を全然うまく扱えなくて、自分には向いていないのかな…と、一度は漫画を描くのを辞めてしまいました。

Q.そこからどのようにして再び漫画を描き始めたのでしょうか。

高校を中退して、19歳くらいまでフリーターをしていたんですが、ずっと「“なりたい自分”はここにはない」と感じていました。周りの友達が進学したり就職したりと次のステップに進んでいくのを見て、自分だけ取り残されているような気持ちになって…何かしなきゃと焦った時に「あ、そういえば漫画描いてたな」と思い出したんです。小学生の頃、描いた漫画を友達に見せると友達がすごく喜んでくれたこととか。今思うとそれが自分の中での自信になっていたのかもしれません。もう一度漫画を描くと決めた時、それまでやっていたタバコやスロットを止めて、なぜか坊主にしました(笑)。とにかく何か変えたいっていう気持ちがあったんだと思います。

大切なのは「自分でしっかり選択したかどうか」

Q.前作の『潔癖男子!青山くん』はサッカーがテーマでした。今回『服福人々』でファッションをテーマに選んだ理由は?

『潔癖男子!青山くん』の連載が終わり、次の作品のテーマを決める会議の中で「何か今したいことないの?」と聞かれて、「誰かと一緒にお買い物に行きたい」と答えたことがきっかけでした。僕は元々ファッションが好きだったんですが、誰かとファッションについて共有してこなかったんですよね。自己主張がうまくないので、ファッションのコミュニティになんとなく怖いというか、苦手意識があって…。お買い物ってやっぱり一人の方が楽なんですけど、もし価格帯、ペース、趣味嗜好、性格…そういうお買い物にまつわる色々な感性がマッチする人がいたらきっと楽しいだろうなって。

Q.まさに主人公のサクと廻谷の関係ですね。

そうです!僕、一度ファッションを諦めた時期があったんですよ。高校生の時にちょっとサルエルっぽい奇抜なパンツを履いているのをクラスメイトに見られて、揶揄われたことがショックで…。高校生になると周りに自分より遥かにおしゃれな人がたくさんいて、圧倒的な差を感じてたこともあり、ファッションに対して楽しさよりも苦しさの方が大きかった気がします。どれだけおしゃれを突き詰めても自分の中身が伴っていないと思うようになって…。でも、無意識にファッション関連のサイトや好きなブランドのアイテムをチェックしていて、やっぱり自分はファッションが好きなんだと実感しました。そういう経験もあって、僕と同じように一度ファッションを諦めた人に喜んでもらえるような漫画が描きたいと思ったんです。

Q.廻谷からサクへのファッションアドバイスは実践的で、実際に試している読者の方も多いと思います。

『服福人々』はファッション指南的な側面もありますが、あまり押し付けにならないように気を付けています。描いていくうちに、大切なのは「自分でしっかり選択したかどうか」で、どんなファッションでも自分自身が納得していれば良いなと思うようになったんですよね。それぞれ“なりたい自分”があって、そこに向けて選んだものを尊重した方が絶対にファッションは面白いなって。

漫画家志望に囲まれた刺激的な暮らし

Q.坂本さんはトキワ荘プロジェクトの卒業生。同じ漫画家を志す人たちに囲まれて暮らす生活はいかがでしたか?

20歳から本格的に漫画を描き始めて、東京に出る自信も勇気もなくて26歳まで地元の富山で活動していましたが、周囲の友人とも段々と価値観が合わなくなってしまって…ずっと居場所がないと感じていました。26歳で東京に出て、先に上京していた友人と3人で2年間ルームシェアをしたんですけど、その時もみんな東京で自分の居場所を確立しているのに自分は…と―――ちょっと病んでたんでしょうね(笑)。漫画家としても中々結果が出なくてもう地元に帰ろうか悩んでいた時に、トキワ壮プロジェクトに出会いました。漫画家を志す人たちと一緒に暮らすというのはかなり刺激がありましたね。一番自分が共有したいことを話せるし、わかってもらえる環境。そこで“なりたい自分”に少し近付いた気がしました。

Q.賞に入選するものの、読み切り掲載にはならないという苦しい時期を過ごし、一時期は漫画をあまり描かなくなったとお伺いしました。折れそうな心をどのように保たれましたか?

とにかく描いた漫画を人に見せて、僕も色々な人の漫画をたくさん読ませてもらいました。そうしていくうちに、自分より結果を出している人と、自分が描くものにそこまで大きな差がないことに気付いたんです。ただ、結果が出なくて…。だったら文句を言えないくらいのものを作ろう!と描いたのが『潔癖男子!青山くん』でした。アニメ化までしてもらって、自分の力よりも大きい作品になったような気がします。作品にチャンスをもらったような感覚でしたね。

Q.漫画家になるという夢を叶えて、週刊連載を始めてからはいかがでしたか?

週刊連載は常に走り続けている感じなので本当に苦しくて(笑)。自分の作品ではありますが、良い作品に出会えてチャンスをもらえたので、なんとかものにしないと!という責任感が大きかったです。でも『潔癖男子!青山くん』はコメディだったので作品内で可能なかぎり遊ぶようにしていました。いろんな小ネタを入れて、自分でもくすりと笑いながら楽しんでいました。

たくさんの人に愛されるポップな作品を作りたい

Q.今後、挑戦したいことや夢は?

『服福人々』でやりたいことはできているんですけど、ふと悩む時期があって…そんな時に星野源さんの『不思議』という曲を聴いて「自分もこうありたい」と思ったんです。星野源さんは元々引きこもりで、でも今はポップスターとしてたくさんの人に愛されている。僕もたくさんの人に愛される作品を作りたいなって。『潔癖男子!青山くん』はポップさを心掛けながらも自分の実力不足を感じる部分があって、『服福人々』はどちらかというと“狭く深く”刺さる作品。そのどちらも経験できたからこそ、次こそはたくさんの人に愛されるポップな作品が作れるんじゃないかと思うんですよね。これからどうなるかわからないですが、今は“やったるぞ!”という気持ちです!(笑)


坂本拓 さかもと・たく

富山県出身。2018年まで「週刊ヤングジャンプ」にて『潔癖男子!青山くん』を連載、2017年にアニメ化。現在は「となりのヤングジャンプ」にて『服福人々』を連載中。

『服福人々』(ヤングジャンプコミックス)

鬱屈とした日常を過ごす32歳のサラリーマン佐久間の唯一の趣味は「服を買うこと」。そんな彼が元ファッションデザイナーで塗装屋の廻谷と偶然出会ったことで──!? 一人でも買いものは楽しい。でも二人で行けば、人生が変わる──。

https://www.s-manga.net/items/contents.html?isbn=978-4-08-891562-3


TEXT:鷲野恭子(ヴエロ)

PHOTO:須藤しぐま

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