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ファッション史から見る有名ブランドの特徴 【後編】

国によって気候や歴史、文化が違いますが、それらの違いは各国のファッションにも大きな影響を与えています。よく目にする有名ブランドでも発祥地を聞かれると答えられる人は少ないかもしれません。各国の歴史を知れば、有名ブランドの特徴が見えてきます。後編となる今回はフランス、ベルギー、フィンランド、日本の4ヵ国をご紹介します。

 

【目次】
フランスの特徴とブランド
ベルギーの特徴とブランド
フィンランドの特徴とブランド
日本の特徴とブランド

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フランスの特徴とブランド

階級として用いられたファッション
17世紀のフランスではファッションは王宮の支配下にありました。それは外国の影響や不必要な贅沢から国を守ることを目的としていましたが、最大の目的は服装で階級間の区別をしていたからです。宮廷人のファッションは煌びやかで、使われていた美しく高価なレースはフランスの一大産業となりました。貴族は自分の財力を見せつけるためにレースを身にまとい、赤いハイヒールも貴族の特権でした。対して一般階級の人々はシンプルなファッションで謙虚さが求められる格差があったのです。

オートクチュール発祥の地
顧客の注文に合わせてオーダーメイドで一点物の高級服を仕立てるオートクチュール発祥の地であるフランス。世界的に有名なCHANEL やChristian Dior、SAINT LAURENTもオートクチュールからブランドの歴史をスタートさせています。厳選された最高級の生地を使い、華麗な装飾をふんだんに施すため1着の価格が数千万になることもありますが、上質な生地や技術というファッションの土台やルーツを保っていくために、オートクチュールは欠かせない存在でした。

女性ファッションの解放
フランスの女性は20世紀に入るまでコルセットを着用していました。コルセットはウエストを細く見せ、女性を魅力的にドレスアップしましたが、肋骨が変形するなど体に大きな負担がありました。そんな女性を解放したのがファッション業界近代化のパイオニアと呼ばれるファッションデザイナー、ポール・ポワレと、CHANELのデザイナー、ココ・シャネルです。ポール・ポワレはオートクチュールの創始者であるシャルル・フレデリック・ウォルの元で学んだノウハウを生かし、コルセットのないスカートを生み出しました。さらにココ・シャネルがコルセットのない洋服にジャージー素材を取り入れたことで女性のファッションが急激に変化します。1966年には、イヴ・サンローランが既製品を扱うブランドを立ち上げオートクチュールの規範を脱し、大量生産を可能にしたことでフランスのファッションをマーケティングの領域へ拡大。数々のデザイナーによる革命でファッション業界が拓け、名だたるブランドが育っていきました。

代表的なブランド
CHANEL、LOUIS VUITTON、Christian Dior

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ベルギーの特徴とブランド

芸術の国ベルギー
ベルギーは西洋絵画の歴史において非常に多くの有名画家を生み、「芸術の国」とも呼ばれれています。350年以上の歴史を持つデザイン&アートが著名な王立大学「アントワープ王立芸術アカデミー」もあり、画家のゴッホも卒業生です。アントワープ王立芸術アカデミーのファッション科も有名で、世界で最も権威があるファッションの教育機関として知られています。卒業生にはベルギーを代表するブランドのMaison Margielaのマルタン・マルジェラ、Dries Van Notenのドリス・ヴァン・ノッテンがいます。90年代には新しいモードの波としてアントワープ出身のデザイナーがパリのモードシーンを席巻しました。

前衛的なファッション
ベルギー発のブランドは芸術の国から生まれたこともあり度々「前衛的」と評されます。Dries Van Notenは異文化のテイストを哲学や思想と共にファッションに取り入れ、異素材をミックスするなど、一筋縄ではいかないデザインが魅力です。Maison MargielaはDries Van Notenと同じくモードと呼ばれることもありますが、古着を再構築したデザインや未完成風のテラーリングで「反モード」の姿勢を貫いてきました。ジャン=ポール・ゴルチエにアシスタントとして弟子入りした際も、他のデザイナーたちがどうしても師匠に似た作風になっていく中で、マルタン・マルジェラだけは師匠とまったく逆のものを作ったと言われています。

代表的なブランド
Dries Van Noten、Maison Margiela、Raf Simons

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フィンランドの特徴とブランド

デザイン先進国
フィンランドは寒冷な気候と厳しい環境の中でも、自然を愛し、故郷に大きな愛情を持っている人が多いと言われています。人々が故郷を愛する理由の一つに、フィンランドが富の不均衡を防ぎ、社会階級を固定させない平等主義国家であることが上げられます。1917年に国家として独立したフィンランドですが、その6年も前にデザインが担うべき役割を認知させることを目的としたOrnamo(オルナモ)という名のデザイン協会が発足しています。デザインにおいても多くの人が平等に共有しあえる製品のクオリティをできるだけ高めようとしたのです。

雄大な自然が生むインスピレーション
フィンランドの自然はフィンランドの人々にとって現代社会の喧騒を忘れさせてくれるオアシス。雪に覆われた銀世界、キラキラと輝く湖面などはいつの時代も芸術家たちのインスピレーションをかき立ててきました。それはファッションについても同様で、Marimekkoのアートともいえる大胆なテキスタイルは、フィンランドの風景や郷愁の想いからインスピレーションを受けていると言われています。

サステナブルな服作り
フィンランドのファッションを語る上で「サステナブル」は欠かせません。Marimekkoと同じくフィンランドを代表するブランド・ARELAは洋服に耐久性を求め、最高の天然素材を使用することで魅力的なデザインでありながら長持ちするアイテムを制作しています。また、長持ちの観点で繊細なニット製品には独自のケアサービスも提供。ブランドの手元を離れた後も、アイテムに対して責任を持っている、フィンランドらしいブランドです。

代表的なブランド
Marimekko、ARELA、イヴァナ・ヘルシンキ

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日本の特徴とブランド

高い技術力
日本は縄文時代から他国から伝来した文化を多く受け入れ、その文化を日本流に変化させるのが得意でした。外来物を自分たちが使いやすいように変化させていくうちに高い技術力が培われ、鎖国時代はその技術を他国の影響を受けることなく育てていきました。例えば今や日本の伝統である「いけばな」も「茶道」も元々中国の文化でしたが、中国ではどちらも継承されておらず、日本にだけ伝統として残ったものです。日本のファッションはとにかく縫製が丁寧で、「MADE IN JAPAN」は今や一種のブランドとなりました。ユニクロは日本の高い縫製技術に加え、大量生産で価格を抑えたことで他国のファストファッションとは一線を画す存在となっています。

黒の衝撃
もちろん、日本のブランドは縫製技術以外でも世界に高く評価されています。元々、ファッション業界では煌びやかなものこそがファッションとされていました。しかし、Yohji YamamotoとCOMME des GARCONSは当時のパリコレでタブーとされていた「黒」を全面に押し出した作品を発表したのです。これは「黒の衝撃」と呼ばれ、ファッション業界の既成概念を覆したとまで言われています。

デザインと技術が織り成す世界
三宅一生は衣服をファッションとしてだけでなくデザインとして捉えています。「プリーツ・プリーズ」の絵画のように色鮮やかな色彩はデザインとしての「美」を彷彿とさせます。また、洗っても崩れない特殊なプリーツ加工によって生まれる美しいシルエットは、まさに技術大国・日本だからこそ成せる業と言えるでしょう。

代表的なブランド
ユニクロ、ISSEI MIYAKE、COMME des GARCONS、Yohji Yamamoto

 

 

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