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「雇用契約書にサインしたが、入社辞退したい」注意点は?

内定を貰い、雇用契約書にサイン。あとは初出社日を待つだけ!という段階で、まるでマリッジ・ブルーのように「この会社に決めて良かったのかな…」と悩みはじめてしまった今回のご相談者さん。この段階で入社を辞退してしまうと、どのような問題が起きてしまうのでしょう。そして、それを避ける方法とは?

今回はファッションと法律を考えるWEBサイト「FASHIONLAW.JP」メンバーであるのニシムラミカさんと弁護士 河瀬季さんのお二人に、法の専門家の立場からアドバイスをいただきました。

内定が決まり、内定企業側より「雇用契約書」をいただいたのでサインをしたのですが、実はこの後に及んで入社を迷い始めてしまいました。仮にもし、実際に入社をしなかった場合、何か問題は起きますか?どういったリスクが考えられるでしょうか。

「契約違反」として損害賠償を請求される危険があります。 「退職」の手続を行ってリスクを回避すべきでしょう。

サインをしてから働かないと「契約違反」になる

雇用契約書に”入社の意思を示す”サインをしてしまった以上、その会社(仮に「A社」とします)とあなたの間で、労働契約は既に成立している……と、少なくとも基本的には考えざるを得ません。そして、労働契約が成立している以上、あなたには「A社で働く」という責任が生じます。A社で働かないとあなたは「債務不履行」「契約違反」をおかしたことになってしまうのです。

A社は採用を決めてから、あなたのために机を用意したり、あなたに担当していただくつもりで仕事を受注したりしているかもしれません。理屈の上では、A社は入社しなかったあなたに、それらのお金を損害として賠償請求することができてしまいます。

退職すれば損害賠償責任は生じない

しかし、正社員には退職の自由があります。働き始めたらいつでも辞める自由がある以上、働き始める前にだってそこで働くことをやめる自由はあります。したがって、退職する時と同じように処理をすればOK。すなわち、A社に御社では働かないということを通知すればよいのです(方法については前回記事参照)。

これで契約は一定期間経過(契約で何も定められていなければ2週間)後に終了し、損害賠償請求を受けることはなくなります 。

「賠償金を払え」と念書の差入を求められるケースも……

しかし「やめます」と通知しても、必ずしも円満にことが終わるとは限りません。企業側もあなたの雇用にかけた費用が大きければ大きいほど、いい顔はしないでしょう。電話がかかってきたり会社に呼び出されたりする……だけでも胃が痛いものですが、「賠償金を払え」と念書の差し入れを迫られてしまうかもしれません。もし、企業側の圧力に負けて「損害を賠償します」という念書を差し入れてしまった場合、どうなるのでしょう。

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圧力に負けて念書を差し入れてしまったら?

実際にこのような念書の効力が問題となった事件があります。

裁判所は「この念書は有効であり、支払い義務がある」と認めました。金額については、念書記載の額を裁判所が減額したものの(200万円支払いの念書だったが、70万円に減額された)、支払い義務自体は認められてしまったのです。

この場合、ポイントは2つあります。

  1. 気まずくても、「御社には行きません」という旨を企業にしっかりと連絡し、場合によっては形に残すこと
  2. どんなに圧力をかけられても損害の支払い義務を認めるような書類にサインはしないこと

もう一つ、例えばA社でへの転職を辞退したい理由が「他の会社(「B社」とします)で働きたいから」という場合、あなたは「B社に何か迷惑がかかるのでは……」と心配になるかもしれません。 しかし、「契約」というのは、あくまで「その契約をした両者だけ」を拘束するものです。どういうことかというと、あなたとA社の契約は、あなたとA社を拘束するが、B社を拘束しない。つまり、B社に「あなたがA社で働くことを妨害しない義務」のようなものは原則的になく、A社がB社に対して損害賠償等を請求することはできないのです。 だから、法律的に言えば、「B社にへの迷惑をかけるかも」という心配はありません。

とはいえ、これらはあくまで「法律的には」という話。一度雇用契約書にサインをしたA社に入社しなかったことによって、あなた自身の評判が落ちてしまうことや、B社に入社したことによってA社とB社の仲が悪くなってしまうというようなことは考えられるかもしれませんね……。

今回お話を聞かせてくれた方

FASHIONLAW.JP 弁護士 河瀬 季さん

弁護士 河瀬 季さん

監修:ニシムラミカさん

本記事は2014年5月27日に公開されたものです。

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