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異業種のプロフェッショナルから学ぶ接客術【1】|元ラグジュアリーブランド人事責任者・青栁伸子

はじめまして、こんにちは。コンサルタントの青栁 伸子(あおやぎ のぶこ)と申します。この度縁あってFashion HRでのコラムを担当させていただくことになりました。

私のラグジュアリーリテール業界における様々な経験(接客販売業の応援団として、人事部門の責任者として、経営陣のサポーターとて、先輩社員として、お客様として、などなど)で感じたことが、ファッション業界で仕事をする皆さんのヒントになれば幸いです。どうぞよろしくお願いします。

今回のコラム執筆者

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合同会社NOBuコンサルティング|青栁 伸子さん

東京都生まれ。人事・総務・ITを専門分野とするコンサルタント。日系企業、日系ベンチャー企業での人事経験を経て、1999年にラグジュアリー・リテール業界へ転身。エルメスジャポン、ボッテガ・ヴェネタジャパン、フォリフォリジャパンの各社で人事・総務部門の責任者として、人材育成・組織開発・制度設計などにあたる。同時にビジネスパートナーとして、経営陣に対して人事的な側面からのサポートを行い、会社の業績向上にも寄与。特に接客販売職の「専門職」としての地位確立、処遇の改善、女性が無理なく永く働ける環境づくりなどに注力。2015年にコンサルタントとして独立。

プロの仕事とは

今回のテーマは「プロの仕事とは」です。

このコラムでも使用しているプロフィール写真は、先日プロにお願いして撮影したものです。写真映りに全く自信がなかった私でも「こんなに自然に笑えるんだ……」と思える、本当に素晴らしい仕上がりです。少なく見積もっても3割増しにステキに撮れています。コンサルタントとして初めて仕事をするクライアントから「プロフィール写真をください」と依頼があり、慌てて撮影スタジオを探して、予約、撮影、データ納品まで3日。というスピード対応でしたが、プロに任せたことで『安心』の仕上がりになりました。

どこのスタジオに頼むか、から始まった私の「プロフィール写真撮影騒動?」を通して、私が感じた「プロの仕事とは」をお伝えしたいと思います。

〜どこに頼むかが大問題〜
普段の何気ない会話が種まきになる。

アクセスの良さなどから「銀座で撮ろう」と決めてまずはネットで検索。コストやHPの雰囲気、過去の撮影事例などを参考に2社に絞りました。写真スタジオが専業のA社と、今回お願いした「資生堂ザ・ギンザ」に絞りました。最終的な決め手になったのは「そのブランドに対する親和度・信頼感」でした。

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「資生堂ザ・ギンザ」には美容室もあり、私自身も過去には顧客でしたし、今、お願いしている美容師さんもここの出身です。つまり『ここに頼めば大体こんな感じの仕上がりになるはず……』ということが想像できたのです。A社はHPでも華やかな仕上がりの写真が多く少し派手になるかも、という危惧があったのも事実。新しいことにチャレンジする、またある程度のコストがかかる場合、案外、人はコンサバティブ(保守的/安全第一)になるものだ、と実感しました。

──人が何か買物をしようと思う時(いわゆる目的買い)、『何を』『どこで』買うかは悩みの種になります。

「これを」が決まれば「どこで」に悩み、「あそこ(店やブランド)で」が決まれば「何を」に悩む。これがギフトになれば、悩みは益々深くなります。

そんな時に頼りになるのが「あ、あの人に相談してみよう」や「あのブランド(店舗)ならば目的の物が見つかる気がする」というような<ブランド・店舗・スタッフ>に対する安心感、信頼感です

日頃から、何気ない普通の会話(商品に関すること以外)などで、お客様との関係を密にして、同時に自ブランド(店舗)の商品の魅力を伝えておきましょう。

その日のお買上げにつながらなくても、種まきは大切です

〜撮影の現場で(1)〜
初めてのお客様にはまずリラックスしていただくことが大事。

今回の撮影はヘア&メイク+撮影というプランで、所要時間はおよそ2時間。ヘアとメイクに1時間、撮影と写真の選択に1時間という感じです。ヘア&メイクのお二人は、普段の私のメイクやファッション、メイクで好んで使う色や仕上がりの希望、何故か花火大会の話などで盛り上がって私の緊張をほぐし、撮影中も細かい手直しのためにスタジオに居てくれました。カメラマンも身体の向きや目線などを明確に指示してくれ、思ったよりは緊張せずに撮影が進行しました。50点以上撮った中から最終的に使用するカットを選ぶ際も全員でという感じで、彼らの意見を参考にしながら納得のいくセレクションができたと感じています。

特にヘア&メイクのお二人は、それぞれの仕事をしながら一度も「これから撮る写真」の事(撮影の目的や用途、私の仕事など)は口にしませんでした。その話をすれば私が緊張してしまうことがわかっていたのだと思います。

最優先したのは「私をリラックスさせること」と「彼らとの信頼関係を築くこと」

そのせいか「こんな感じにしたい」とか「こういうものが好き」というようなことを自然に口にしていました。

初めてのお客様との接客でも、まずは「リラックス(安心)して、そこに居ていただくこと」が大事ではないでしょうか?
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〜撮影の現場で(2)〜
曖昧な表現ではなく、具体的なほめ言葉にグッとくる。

撮影が始まって感心したのは、彼らが私を【無駄に】緊張させなかったことです。なるべく自然に自分が出せるように、ヘア&メイクの二人もカメラマンもコメントをしたり笑わせたり……。また、最終カットを選ぶ際にも「このカットはこうだから良い」と【具体的な良さ】を伝えてくれたので、写真選びの参考になりました。素敵です』というような曖昧な表現は一度もありませんでした。撮影が始まる前は本当に心配で、思ったような写真が撮れなかったらどうしようと思っていたのですが「この経験にはまってリピートするお客様も多いんですよ」と言われたのも納得の、ある種気持ちの良い経験ができました。次の機会にはこのチームを指名しようと思わせるだけの本当にプロの仕事ぶりでした。

もし、撮影の現場がカメラマンと彼のアシスタントだけだったら、私はもっと緊張したと思います。ヘア&メイクの二人がいてくれたからこそ、安心していられたのです。

知っている人(それがたとえ1時間前に「はじめまして、よろしくお願いします」と言った人だとしても)がいる安心感は、接客の現場でも大事にしたいものです

もう一つは具体的な「ほめ言葉」です。撮影中「姿勢がいいですね」「そのアクセサリーが素敵ですね」などと、何がどう良いのかを伝えてくれました。これも大切なポイントです。

〜安心感という魔力・魅力〜
お客様も自分を受け止めてくれる場所には安心する。

今回の経験で一番強く心に残ったのは「安心感が心を開く」ということです

私が緊張して不安になっていることを理解してくれている、そんな状況も含めて自分を受け止めてもらっている、と感じることで安心して任せることができました。その結果がこの写真だと思います。

接客の現場でもお客さまが「私はこのお店(スタッフ)に受け入れて(受け止めて)もらっている」と感じることで、コミュニケーションがより活発に親密になるのではないでしょうか?

今回の経験はへア&メイク+撮影という私の普段のフィールド(業種/業界)とは少し異なる世界のことでしたが、フィールドは異なってもプロはプロ。接客販売の仕事にも使える技やヒントを貰うもらうことができました。

ホテルでもレストランでもあるいはタクシーでも、接客を業にしている方の中には「さすが」と思わせるプロがたくさんいます。私は「さすがだな」と思った技は必ずメモして、自分のスキルに加えることを習慣にしています。

接客販売職の皆さんもぜひ日常で得られるヒントを書き留めてみてはいかがでしょう。

《青栁 伸子さんの著書》

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『人を幸せにするMétier お客さまを虜にする最強の接客サービス』
エルメスやボッテガ・ヴェネタなど、憧れのラグジュアリーブランド。それぞれのブランドでスタッフ育成を手がけた人事コンサルタントが、顧客の心をつかむコツを伝授する。人事のプロが贈る接客販売職への賛歌。

 

 

 

 

 

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