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「ウーマノミクスに向けてキャリアと子育てを考える」H&Mジャパン社長エドマン氏とゴールドマンサックス証券副会長キャシー氏が登壇|WEF公開シンポジウムレポート

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ファッション関連分野で働く女性の活躍支援団体、一般社団法人ウィメンズ・エンパワメント・イン・ファッション(以下、WEF)主催の公開シンポジウムが開催。WEF設立の目的は女性がワークとライフの優れたシナジーを達成し、生きがいのある人生を送れるようなサポートをすること。過去約2年間の活動で、様々な業界で活躍する女性のメッセージを発信してきました。第6回目の今回は、世界トップクラスの証券会社ゴールドマン・サックス証券株式会社の副会長キャシー松井さんと、ファッション小売業として世界トップグループのH&Mジャパン代表取締役クリスティン・エドマンさんを迎え講演が行われました。

ウーマノミクスという言葉の産みの親であるキャシーさんの講演では「日本女性の就業率が男性と同じくらいになれば国のGDPが13%上がる」、エドマンさんからは「女性のマインドセットを変えることが必要。まずはここにいるあなたから、“You can”、企業は“We must”」という印象的な言葉が届けられました。

今回は、シンポジウム後半にファッション・ジャーナリストでWEF理事の生駒芳子さんをコーディネーター役として迎え行われたパネルディスカッションにフォーカスを当てレポート。二人のグローバル・エグゼクティブは、キャリアと子育てをどのように考えているのでしょう。

ワークライフバランスの哲学

生駒芳子さん(以下、生駒):まず、お二人の自身のワークライフバランスの哲学についてお聞かせください。

クリスティン・エドマンさん(以下、エドマン):一番大切なのは「プランニング」。プランニングというと硬いイメージがあるかもしれませんが、我が家では1月に1年間の家族のスケジュールを決めます。そこで、子どもの春休みや学校行事、発表会などに合わせて先に休みをブロックして、どんなに仕事が忙しくても必ず休まなければならないようにしています。これをしないとどんどん仕事のスケジュールをブロックされてしまいます。これはすごく難しいことですが、必ずやっていることです。

生駒:俯瞰して物事を見ることが大切なんですね。キャシーさんはいかがですか?

キャシー松井さん(以下、キャシー):私たちは2つ、人生で重要な決断をしなければならないことがあります。まず、1番重要なことはなんでしょう?

それは、「パートナーの選び方」です。私の夫はドイツ人ですが、幸いなことに私が仕事をしたいこと、仕事をしながら子育てをしたいという考えを理解してくれました。一生一緒にいる人と理解を深めることはとても重要です。そしてもう一つ、「ワークライフバランス」についてですが、私のボキャブラリーの中に「バランス」という言葉はありません。なぜなら、バランスという言葉のイメージは常に50対50、30対70のように“完璧”ですよね。女性は特に完璧主義で、バランスを意識するとストレスを感じてしまいます。

Done is better than perfect」という言葉がありますが、完璧じゃなくても良い。頭を切り替えることが大切なのです。

仕事と家庭、どっちが楽?

生駒:お二人にとっても意地悪な質問ですけど(笑)。仕事と家庭、どっちが楽ですか?

エドマン&キャシー:(お二人とも即答で)仕事です!

生駒:お二人とも同意(笑)!私もそうなんです。これ以上説明がいらない程の即答でした。ところで、お二人とも異文化の中で育ってこられましたが、海外で鍛えられたことはキャリアのパワーになっていますか?

エドマン:そうですね。常にオープンマインドで、フレキシブルに色々なポイントビューができるようになりました。それはエグゼクティブになっても役立っていることです。ですから、これからキャリアを築く女性たちにはぜひ海外に行くことをお勧めしたい。いろんな視点で物事が見れるようになることは、ビジネスでも人生でもすごく大切なことです。

キャシー:日本の一億層活躍計画もありますが、やはり企業の将来の成長拠点は海外になっていくと思います。グローバル人材は単に国籍や育ちだけではなく、本当の意味で広い視点で物事を考えられる人。日本は言ってしまえば人材しか資源が無い国です。そういう中で最も優秀な人材を自分たちの会社に呼ぶためにも、ダイバーシティの取り組みがあるのです。女性、男性、LGBTに関わらず、優秀な人材が呼べるような会社づくりが必要になってくるのではないでしょうか。

価値観を変えるためにはトレーニングも必要

生駒:よく日本でグローバルというと英語に考えが行きがちですが、私はマインドの方が大切なんじゃないかと思っています。グローバルなマインドを広げていくポイントはどんなことでしょう。

エドマン:H&Mでは社員を海外に行かせるチャンスを与える環境をつくっています。例えば、日本のスタッフに海外転勤や研修などを経験してもらうことは大きな成長に繋がります。彼らが行くことで本国側も日本の視点で考えることができますし、本人だけでなく会社にとっても非常に良いことなのです。

キャシー:例えば、会社のダイバーシティもマインドセットというよりトレーニングが必要です。例えば、今までだと妊娠報告をしたら「OH MY GOD!」だったリアクションを、「おめでとう!いつでも戻ってきたいときは席があるから安心してね!」に変えていく必要があります。自然にできれば一番良いですが、できなければしっかりトレーニングすることが大切。これまでの価値観を変えることは簡単ではありませんが、組織内で十分できることです。

生駒:WEFを立ち上げた理由は日本女性の管理職の割合が少ないから。例えば日本では昇進の提案をすると「いいです」「私にはできません」という反応が多いと言われていますが。

エドマン:H&Mでもいつも同じような話が出ます。「やりたくない」ではなく、「できません」。このマインドを変えるためには、色んなロールモデルを身近な所に立てることが重要です。いくら私が処遇や福利厚生を与えても無理です。「あの人みたいになりたい!」「彼女がやってるなら私にもできる!」という思いが自分自身を変えるのです。

キャシー:これは日本だけでなく、世界中で起こっていること。私自身も尊敬する人から「もっとこういうこともできるんじゃない?」とプッシュしてもらいましたが、当時は皆と同じような反応でした。しかし、その人が諦めずに何度もプッシュしてくれ、私の自信をビルドアップしてくれました。女性の場合はメンター以上にスポンサーになってくれるような人が近くにいることも大事だと思います。

エドマン:まさにH&Mのネクストミー制度もそうですが、上司が部下の可能性を信じて「大丈夫!やってみたら?」と、プッシュすることが大切です

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輝かしいキャリアでの一番の失敗は?

生駒:素晴らしいキャリアを積んでこられたお二方に、またまた意地悪な質問ですが(笑)、お二人の仕事人生の一番の失敗はなんでしょう?

エドマン:誰にも頼ろうとせず、全部自分でやろうと思ってバーンアウトしかけたことがあります(笑)。一つずつ手放すことで「あ、これも手放せる、これも」って切り離すことができました。完璧じゃなくて、人に頼ることをもっとしておけばよかったという失敗です。

キャシー:私の主人は洗い物しかできないですが、例えばその洗い物に汚れがあったとして、それを伝えると怒るんです。その失敗から学んだことは、褒めること。いくら私の洗濯物がピンク色になっていても「わー、ありがとう!」と感謝すると、驚くほどその後もやってくれるのです(笑)。

生駒:日本では、子供ができると嬉しい反面「どうしよう」、「仕事辞めないといけないのか」などの恐怖を感じる人が多くいます。復帰したら自分のポジションがなくなっているかもしれないという考えについてはどう思いますか?

エドマン:H&Mで最初にネクストミー制度を導入したときも同じでした。どうして私のポジションが取られるの?という声もありました。しかし、会社が成長するためには人が成長していかなくてはならない。上司が産休を取ることで部下が新たなポジションに就ける。そして産休から戻ってきたら部下の成長によって上司は新しいチャンスが得られるのです。

キャシー:グローバルな活躍を目指す企業が多いなか、そのためには海外の人材を採用せざるおえない。そのためには会社の評価制度を変える必要があります。これはマイノリティーの人にとっては非常に良いことです。会社で最近、男性から「この会社のワークライフバランスはどうなっていますか?」と質問されることが増えています。今の若者、ミレニアル世代の人たちの考えは大きく変化しています。新たな考えを持つこのような若い世代が追い風となっていくのではないでしょうか。

生駒:最後に企業をはじめ、男性や女性たちへのメッセージをお願いします。

エドマン:先ほども申し上げましたが、やはり「You can」というメッセージを伝えたい。まず女性自身が「できる」と信じて、考え方を変えていかなければならないと思います。

キャシー:やはり仕事をしながら子育てをするということが、どれだけ“楽しいか”を伝えたいです。こんなに人生において、多くのことが学べて楽しめることは他にはないと。そして、全部一人ではできないので常に力を貸してもらえるネットワークをつくることも大切です。

 

シンポジウムの最後にはお二人のビジョンが語られました。エドマンさんの夢はスウェーデンで見たものを日本全体に広げていくこと、日本のリーダーを日本でつくること。キャシーさんは現在バングラデシュで女子大学をつくる活動をしており、テロや犯罪など世界中で起きている問題の解決を教育で解決する目標を掲げているそうです。

ビジネスリーダーでありながら、母として、女性として輝かしいキャリアを築かれているお二人。ファッション業界で働く多くの女性、男性、そして企業にとって、大きなヒントとなる力強いメッセージを聞くことができました。

今回お伺いした主催団体

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WEF(ウィメンズ・エンパワメント・イン・ファッション)

ファッション関連分野で働く女性の活躍支援団体「WEF」では、主要ポストおよび商品企画やMD分野の女性リーダーを増やすとともに、女性個人の成長・成功を助け、企業・産業の成長発展に繋げるために必要な公開シンポジウムやキャリアアップ講座など様々なプログラムを実施しています。

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